人気ホラーゲーム『Poppy Playtime』開発元、Googleと“偽ゲーム”配信元を訴える。「名前などそのまんま盗用」の偽物アプリを放置したとして
『Poppy Playtime』を手がけるデベロッパーのMob Entertainmentが現地時間1月15日、Googleおよび別のゲーム販売元を相手取り訴訟を提起したという。Mob Entertainmentは、Google Playに存在する『Poppy Playtime』の“偽ゲーム”について、Google側が適切に対処できなかったと主張しているとのこと。Torrent Freakが伝えている。
『Poppy Playtime』は、一人称視点のホラーパズルアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは、架空のおもちゃメーカーであるプレイタイム社の工場で起きた社員失踪事件の真相を探るべく、工場跡を探索することとなる。ブギーボット、ハギーワギー、キャットビー、ポピーといったおもちゃたちがプレイヤーを狙い襲い来るなか、装備を駆使してパズルを解いていくのだ。
本作は章立てとなっており、2021年にPC(Steam)向けにチャプター1がリリース。続くチャプターと平行して、2022年以降よりiOS/AndroidおよびNintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けにも展開された。本作は本稿執筆時点で、Steamピーク時同時接続者数約1万4000人を記録(SteamDB)。Steamユーザーレビューでは8万件以上を集め、うち83%が好評とする「非常に好評」ステータスを得ている。また、本作は国内でもプライズ商品やポップアップストアの展開が見られるなど、高い人気を誇るIPとなっている。
『Poppy Playtime』開発元のMob Entertainmentが今回、そうした本作の人気にあやかる“偽ゲーム”の取り締まりに絡んで、Googleととあるデベロッパーを提訴したという。海外メディアTorrent Freakが、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に現地時間1月15日付けで受理された訴状をもとに伝えている(資料PDF)。同資料によれば、訴えられたのはGoogle Playを管理運営するGoogleおよび、Daigo Game 2020なる謎の販売元を運営する匿名の個人だ。
Mob Entertainmentが問題としているのは、Daigo Game 2020がGoogle Playにて配信するゲームアプリ、その名も『Poppy Playtime: Chapter 3』および『Poppy Playtime Chapter 4』である。同アプリは名前はおろか、アプリアイコンやスクリーンショットなども本家『Poppy Playtime』のアセットを“丸パクリ”していると見られる。まったく無関係な他社が、権利者のMob Entertainmentに断りなく、勝手に偽の『Poppy Playtime』を配信しているわけだ。
筆者が確認したところ本稿執筆時点で“偽物”は未だにGoogle Playにて配信中。「Poppy Playtime Chapter 4」といった検索ワードでは、本物にまぎれて偽アプリが検索結果に顔を出している。また、Google Playの検索サジェストに「本物」といったワードが出てきたり、Web上では偽アプリに対する注意喚起の国内ページが見られたりする現状も。偽アプリ両方をあわせて110万ダウンロード以上されているようであり、被害も発生していることだろう。
また、裁判資料によれば、いずれの偽アプリも無料で配信されているものの、起動してみるとゲームの体をなしていないという。そして「Guide wuggy playtime mod」なる要素に対する30ドル(約4688円)から95ドル(1万4847円)の課金に誘導されるそうだ。
そして裁判資料によれば、偽アプリの『Poppy Playtime: Chapter 3』は、本物のAndroid版『ポピープレータイムチャプタースリー』に先駆けて配信されていた様子だ。Mob Entertainmentも偽アプリの存在を認識しており、2024年10月31日にはGoogleに向けて取り下げの要求を送っていたとのこと。しばらく後にGoogleによって偽アプリ『Poppy Playtime: Chapter 3』はストアから取り下げられるものの、数日後にはまったく同じURLにて偽アプリが再度配信開始されたという。
そしてMob Entertainmentは2024年12月13日、偽アプリの“復活”をGoogleに報告し対処を求めた。しかしその後、Google側からは使用フォームの変更の願いなどが来たものの、アプリの取り下げはおこなわれていない様子。また、12月30日には偽の『Poppy Playtime Chapter 4』の取り下げ請求がおこなわれたものの、前述の通り同アプリは現在まで配信が続けられている様子。Mob Entertainmentによる訴訟は、こうした状況に業を煮やした結果なのだろう。
Mob Entertainment側は今回の訴訟にて、前述のような経緯を鑑みてGoogle側にも著作権侵害についての責任があると主張。Daigo Game 2020とGoogleに対して、侵害された著作物ごとに15万ドル(約2344万円)の損害賠償を要求し、以後著作権侵害をおこなわないよう求めている。
なお『Poppy Playtime』の新チャプターはPC版から先行配信されるスケジュールとなっている。偽アプリの配信は、そうした状況を悪用して本物との混同を狙ったものかもしれない。さらに『Poppy Playtime』のチャプター4にいたっては、本稿執筆時点で本物は未配信であり、2025年1月30日にPC(Steam)向けに発売予定だ。モバイルアプリストア上で見かけても購入しないよう、注意してほしい。