『ポケモン』シリーズで「各世代で出せる最大ダメージ」が徹底検証される。一番高いもので「約78億」叩き出す
『ポケットモンスター』シリーズの各世代において出しうる最大ダメージ量が、とあるYouTuberの調べにより明らかになった。その驚異的な値が話題となっている。GamesRadar+が報じている。
『ポケモン』シリーズでは、バトルでどれだけのダメージを与えたかゲーム内で表示されない仕様になっている。ダメージ量を計算する非公式のサイトなどは存在しているが、実際のところその値を目にする機会は少ない。そこでYouTuberのKing The Luck氏は、現時点でリリースされている第9世代にいたるまで、ポケモンシリーズの各世代ごとに出力しうるダメージの最大値を算出することを試みた。
King The Luck氏は検証にあたって、それぞれのわざの基礎威力よりも、攻撃の最終的な威力を変動させる倍率に着目している。たとえば、「つるぎのまい」や「いやなおと」といった能力変化技やタイプ相性、タイプ一致というような要素を活用することがダメージを増加させるのに効果的であるとのこと。要するに、どれだけ与ダメージに補正をかけられるかということがもっとも重要なポイントになるようだ。
第1世代のマックスダメージ:約22万
まず第1世代。この世代で印象的な攻撃力の高いわざといえば「だいばくはつ」だ。一見したところ大ダメージを与えられそうな「だいばくはつ」はここでは有効な選択肢ではない。たとえ基礎威力が170ダメージと大きく、ダメージ計算時に相手の防御力を半分にするという強力な効果を持っていても、相手の防御力が1になっていれば威力は変化しないためである。
くわえて、「だいばくはつ」はノーマルタイプの技であるため、相手の弱点をつくことができないからだ。また技を繰り出すポケモンについても、覚えるわざの関係により、第1世代において一番の攻撃力を誇るカイリューはこの場では望ましいポケモンではない。ゲーム内で最大のダメージを与えられるのは、なんとドードリオであるようだ。
この検証では、ドードリオに「ものまね」で「つるぎのまい」を覚えさせ、その上で「ゴッドバード」をパラス相手に発動して急所に当てることで、21万9048ダメージを与えられるという結果になった。しかし、第1世代では急所の計算においてすべてのステータス変化が無視されるため、実際の最大値はこの半分の約11万ダメージになる。それでも莫大なダメージであることに変わりはない。
第2世代のマックスダメージ:約762万
次に第2世代では、強力なわざ「ころがる」が登場する。「ころがる」は、外れるまで最大5ターンの間連続で攻撃し、毎ターンその威力が倍増するというわざだ。このわざで最大限の威力を出すために、いくつかの手順を踏む必要がある。まずハッサムを初手で出し、「つるぎのまい」を3回使わせて攻撃力を最大まで強化。その後バトンタッチをしてサイドンに交代させる。
ここで、相手はイシツブテを繰り出す。サイドンはイシツブテから「まるくなる」をコピーし、自分で使用する。次に相手をエーフィに交代させ、サイドンは「にらみつける」を6回使用してエーフィの防御力を下げる。これらの準備が完了したら、「ころがる」による攻撃を開始。エーフィは「みがわり」を発動してダメージを受けつつターンを経過させ、5ターン目の前にバトンタッチをし、ぼうぎょランクを6段階まで低下させた状態のヤンヤンマに交代する。いわタイプのころがるが、むし・ひこうにヒットし4倍弱点が炸裂。これにより、効果はばつぐんかつ攻撃を急所に当てることで、最大762万1632ダメージを出力することができる。
第3世代のマックスダメージ:約8200万
第3世代からは性格やとくせい、ダブルバトルといった要素が導入されたことで、与えられるダメージ量が大幅に増加した。第3世代における手順は以下の通りだ。まず、デオキシス(アタックフォルム)のとくせいをスキルスワップでへんしょくに変え、いわタイプへと変化させる。次に再度スキルスワップを用い、今度はとくせいをちからもちに変更。特定の相手に「よこどり」を発動させ、「まるくなる」を奪って攻撃力を強化する。
そして「ものまね」で「ころがる」を覚え、「こだわりハチマキ」を装備させれば準備完了だ。先ほどと同様、「ころがる」の5ターン目の攻撃を防御力が6段階まで下がったヤンヤンマの急所に当てることができれば、最大8186万5764ダメージを与えられるという計算結果になった。つまり、第1世代のおよそ374倍のダメージが出力できるということになる。しかし、この計算ではタマゴが孵化するときのレベルを誤ってレベル1としているため、実際の数値はこれより少し低くなると考えられる。
第4世代のマックスダメージ:約1億700万
第4世代には、強力な新しいわざがいくつも参入する。そのうちのひとつが、「パワートリック」だ。自身のこうげきとぼうぎょのステータスを入れ替えるこのわざにより、ゲーム内で最高の防御力を誇るツボツボが、最強のアタッカーへと変貌する。さらに、同じわざを連続で使うたびその威力が増加する「メトロノーム」も有用だ。加えて新しいポケモン、チェリムが登場。
チェリムは「てだすけ」でわざの威力を増幅させることができるほか、とくせい「フラワーギフト」により味方を強化できる。これらを利用してステータスや攻撃の威力を最大限高めた上で、ツボツボが「ころがる」をヤンヤンマに対して繰り出す同様の手順を踏むと、1億694万8026ダメージを出力することが可能。ついに、ダメージ値が億単位に及ぶようになったわけだ。
第5世代のマックスダメージ:約4億8000万
第5世代ではトリプルバトルの形式が導入され、最大ダメージ値はさらなる上昇を見せる。基本的なプロセスは第4世代と同じだが、トリプルバトルの場ではチェリムが2体に増え、それぞれが「てだすけ」を使用。すると、最大ダメージは4億8126万6000を超える値を記録するようだ。
第6世代のマックスダメージ:約6億4200万
第6世代においては、専用わざ「もりののろい」を持つオーロットが活躍する。こおりタイプに弱いオンバットに「もりののろい」でくさタイプの属性を加えると、こおりタイプの攻撃で実に8倍の威力を与えることが可能になる。続けて「へんしょく」でツボツボにこおりタイプを付与。その後、「ものまね」により「アイスボール」を覚えさせる。「アイスボール」は「ころがる」と同じ効果を持つが、こおりタイプのわざだ。これをオンバットに発動させると、最大で6億4168万8012ダメージになるという結果になった。
第7世代のマックスダメージ:約4億8100万
第8世代のマックスダメージ:約2億4000万
第7世代以降はダメージを大きくするような新要素がなかったこと、ならびにトリプルバトルが廃止されたことにより、最大値はやや低下する。しかし新しいわざ「さいはい」により、「てだすけ」の効果を増幅させることができるようになった。ドーブル相手に「トリックルーム」を使用した上でこれまでと同じような手順を踏むと、最大ダメージは4億8126万6036ダメージになるようだ。第8世代においても同様の工程を経ることで、2億4063万3018ダメージを与えることができる。
このまま最大ダメージ値は低下していくのかと思いきや、その値は最新の第9世代において大きく飛躍する。ところがこの世代には、お馴染みのツボツボもチェリムも登場しない。その代わり、「ガードスワップ」と「パワートリック」を使用することで、ドーブルを最高の攻撃力を持つポケモンにすることが可能だ。
第9世代のマックスダメージ:約78億3300万
さらに、第9世代には新わざ「おはかまいり」が登場する。味方ポケモンが倒されるたび威力を増加させるこのわざの威力は、倒れたポケモンを復活させる「さいきのいのり」との組み合わせで増幅させることができる。検証ではこの「おはかまいり」を、「そうでん」によりでんきタイプのわざに変更し、「じゅうでん」などのわざを使用して強化させていく作戦をとった。しかし、「そうでん」を習得するポケモンは第9世代においては存在しない。
そこで、わざをランダムに繰り出す「ゆびをふる」で、「そうでん」を引き当てたと仮定している。これらの条件がすべて揃った場合、出力しうる最大値はなんと78億3302万6160ダメージにも及ぶという計算になった。すなわち、初代の最大ダメージの3万5760倍ほどのダメージ量ということになる。ただし、この計算ではフィールドわざの補正効果を1.5倍としているが、実際には1.3倍であることに注意が必要だ。何はともあれ、現世代では初代と比べても桁違いのスケールでバトルが繰り広げられていることがわかる。
ポケモンシリーズではゲーム内でダメージ値が表示されないためわかりにくいが、相当なダメージのインフレが起きていることがうかがい知れる。ポケモンたちのかわいい見た目とは裏腹に、膨大な量の与ダメージのやりとりが行われうることが判明したわけだ。
King The Luck氏は、この他にもポケモンシリーズに関するさまざまな検証動画を自身のYouTubeチャンネルにて投稿している。気になる方はチェックしてみてはいかがだろうか。