『PAYDAY 3』開発者、“なぜ失敗したか”をしみじみと反省。発売時は「自信満々でライブしたらステージ崩壊して客が逃げたバンドみたい」だった


Starbreeze Studiosが手がける『PAYDAY 3』は発売当初、多数の不評が寄せられ評価・プレイヤー人口含め苦闘。現在は評価含め上向き傾向となっているタイトルだ。そんな本作がいかに失敗し、いかに改善の道へと至ったかを、開発元スタッフが海外メディアPCGamesNのインタビューにて振り返っている。

『PAYDAY 3』は、2023年9月にPC(Steam/Epic Gameストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売されたオンライン4人協力プレイ対応のクライムFPS『PAYDAY』シリーズの最新作だ。本作は前作『PAYDAY 2』から数年後の世界を描いており、PAYDAYギャングと呼ばれる強盗集団の物語を追っていくこととなる。

前作『PAYDAY 2』は、Steamではピーク時で最大同時接続者数約25万人を数えた人気作(SteamDB)。評価も高く、本稿執筆時点でのSteamユーザーレビューでは、約43万件中90%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。

そんな人気作の続編として多数ファンから期待を受けた『PAYDAY 3』は、リリース直後から多方面で苦戦することとなった。発売当初にはマッチングエラーが多発し、追加・変更されたシステムについても問題点の指摘が多発。一時はSteamユーザーレビューの好評率が25%ほどにまで落ち込む有り様だった。そうした中、開発元Starbreezeは改善を約束し、アップデートを重ねてきた。Steamユーザーレビューでの好評率も徐々に高まり、レビューステータスは「やや不評」から「賛否両論」に(関連記事)。本稿執筆時点で最近のレビューは約1000件中72%が好評とする「やや好評」ステータスとなっている。

そうして『PAYDAY 3』が辿ってきた道について、本作リードプロデューサーのAndreas Penniger氏とコミュニティヘッドのAlmir Listo氏が振り返り語っている。Penniger氏によれば、ローンチ時の開発陣は前向きで「俺達はロックバンドだ、新アルバムを携えて、いざステージに打って出るぞ」といった気持ちだったという。ところが「ステージは完全崩壊して、客は誰もいなくなった」と、独特の表現で当時の思いを振り返っている。

Listo氏によれば、ローンチ直後の『PAYDAY 3』は重大な技術的問題に見舞われ、数週間はプレイが難しい状態が続くことが予期されたという。また、開発陣は不評の原因は技術的問題だけでなく、ゲーム内容にもあると分析したとのこと。同氏は「プレイヤーたちに質の悪い体験を届けていた」と振り返っている。また、本作のそうした問題の多くは、事前調査が足らなかったために発生していたと考えているとのこと。『PAYDAY 2』の成功に自信をもちすぎ、性急な判断をしてしまったそうだ。

Linto氏は「まるでゴール直前でこけたようだった」と、当時の気持ちを表現している。そうした危機的状況の中、『PAYDAY 3』開発チームはコミュニティと真正面から向き合うことを心がけたという。また、改善を進める中で徐々に自分たちの作品を客観視できるようにもなったとのこと。また、Penniger氏は、「コミュニティを理解し、『PAYDAY 2』を成功に導いた要素を分析し『PAYDAY 3』に現代的に盛り込むこと」を学んだとしている。

一方でPenniger氏は『PAYDAY 3』の現状について「二重人格(a split personality)のような状況である」と表現。Linto氏と共に、さらなる改善とコミュニティの信頼回復に向けて意欲を見せている。

『PAYDAY 3』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。