Mobius Digitalは9月20日、パブリッシャーのAnnapurna Interactiveの全スタッフが退職した件についてコメント。スタジオは問題なく、新作の開発を継続していると伝えている。
Mobius Digitalは、宇宙探索アドベンチャーゲーム『Outer Wilds』などを手がけた米国のスタジオだ。Loan Verneau氏と、俳優としても知られるMasi Oka(マシ・オカ)氏により2013年に設立された。
『Outer Wilds』は同スタジオ初のPC/コンソール向け作品として2019年にリリース。英国アカデミー賞ゲーム部門ベストゲーム賞など数々の賞を獲得するなど、非常に高い評価や人気を獲得してきた。なおMasi Oka氏はエグゼクティブプロデューサーとして、Loan氏はゲームデザイナーなどとして同作に携わっている。
そんな『Outer Wilds』のパブリッシングを担当していたのはAnnapurna Interactive。映画会社Annapurna Pictures傘下のゲームパブリッシング部門だ。同作のほか、猫アドベンチャー『Stray』、パズルゲーム『Cocoon』といった、高い評価を受けるゲームを数多く世に送り出してきたパブリッシャーである。
一方で先週9月13日、突如Annapurna Interactiveの“すべてのスタッフ”が辞職したことが報じられた(Bloomberg)。同スタジオでは、かねてより社長であるNathan Gary氏やそのチームが、ゲームパブリッシング部門を独立法人として分離させるべくAnnapurna PicturesのCEO・Megan Ellison氏との交渉をおこなっていたという。しかし交渉は決裂したため、まずはGary氏や幹部が辞職。その後追うかたちで合計25名のスタッフが全員退職することになったとされている。
そうした状況を受けて、Mobius Digitalの今後にもファンから懸念が寄せられたようだ。同スタジオでは『Outer Wilds』に引き続きAnnapurna Interactiveがパブリッシングする新作開発がおこなわれているようで、“パブリッシャーのスタッフ総辞職”による影響を受けないか心配されたのだろう。一方Mobius Digitalは本日9月20日、「we’re okay!(大丈夫です!)」と報告。スタジオにて引き続き新作開発を進めていると表明しており、ファンへの感謝も伝えられた。
Mobius Gamesは昨年9月に『Outer Wilds』に向けておこなわれたアップデートPatch 14にて、新作の開発に本格移行するため同作での大型のアップデートを終了すると案内していた。今回の報告は新作についての約1年ぶりの続報といえそうだ。
一方で同スタジオが手がけている新作がどのようなゲームになるのかは不明だ。ちなみに過去には、Mobius Gamesにてプロデューサーを務めるJackie Kreitzberg氏が、スタジオでは1年半にわたってさまざまなプロトタイプをお蔵入りにし続けて試行錯誤が重ねられていたことを伝えていた(Game Developer)。『Outer Wilds』のヒット後に満を持して打ち出される新作ということもあり、じっくりと検討が重ねられてきたようだ。今回Annapurna Interactiveの騒動を受けても無事に開発が進められていることが明かされ、今後の続報も注目される。
なおAnnapurna Interactiveでは以前のスタッフがすべて退職したものの、新たにHector Sanchez氏が社長に就任。パブリッシング担当する現状のすべてのゲームやプロジェクトについて、変わらずサポートを続けると表明されていた。新たな体制で引き続きパブリッシング事業は継続されるようで、Mobius Digitalを含む開発元へのサポートが続けられるのだろう。
とはいえAnnapurna Interactive では“すべてのスタッフ”が退職したこともあり、以前と同様の方針でパブリッシングやサポートがおこなわれるかどうかは注目されるところ。Mobius Digitalが開発中だという新作も含め、今後のAnnapurna Interactiveや関係するスタジオの動向にも注目したい。