『鬼武者2』リマスター版、「一閃」は令和になっても気持ちいい。遊びやすさアップ・グラフィック強化もありつつ、ひと際光る「一閃」の輝き

カプコンは『鬼武者2』リマスター版を5月23日に発売予定だ。本稿では先行プレイを通した、リマスター版の感想を伝えていく。

カプコンは『鬼武者2』リマスター版を5月23日に発売予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/Xbox One。

本作は2002年にPS2向けに発売された3Dアクションゲーム『鬼武者2』をリマスターした作品だ。舞台となるのは、幻魔がはびこる戦国時代の日本。幻魔王となった織田信長は各地に侵攻し、その勢力を広げている。信長の軍勢に故郷の里が滅ぼされた柳生十兵衛は、同士たちとともに信長の討伐を目指す。

同作は主人公・柳生十兵衛のモデルに俳優の松田優作氏が起用された点などから注目を集めることに。またシリーズの特徴的なシステム「一閃」を活用した剣戟アクションや、個性的なキャラクターたちなどが好評を博し、カプコンによるとこれまでの累計販売本数は200万本を突破。『鬼武者』シリーズ最大の売り上げ本数を誇っている。

そして今回発売予定のリマスター版では、基本的なゲーム内容は原作そのままに、各要素がブラッシュアップ。原作ではいわゆるラジコン操作だったところが、左スティックでキャラを操作可能となるなど、グラフィックだけでなく操作性にも調整が施された作品となっている。

今回弊誌は、そんな本作を発売前に試遊する機会に恵まれた。そこで本稿では、本作の序盤をプレイしたレポート記事をお届けする。ちなみにプレイした筆者は発売当時に原作を遊び、数回クリアした経験がある。とはいえ遊んだのは20年以上前であり、かなり記憶は薄れている状態でのプレイとなった。今回のプレイにあたってはPC(Steam)版を使用し、操作にはXbox コントローラーを利用している。またプレイしたのは先行プレイ用のバージョンであり、製品版とは一部異なる仕様が含まれている可能性があることにご留意いただきたい。

かなり綺麗になっている

プレイを始めると、さっそくオープニングムービーが開始。信長の幻魔軍が柳生の里を滅ぼすシーンや、4人の同士たちの雄姿などが披露される。ムービーは高解像度化されており、現代のモニターでもくっきりとした表示で楽しむことができた。内容自体は原作と変わっていないはずだが、質感や表情などの描写力がかなり向上しており、原作より数段迫力を増している印象だ。

ムービーが終わると、主人公の十兵衛を操作してゲームを進めていくことになる。原作の『鬼武者2』はいわゆるラジコン操作のゲームで、十字キーで主人公の向きを調整しながら、前進と後退をおこなって操作するシステムだった。本リマスター版ではこれが改められ、左スティックで操作するシステムに変更。現代の一般的なアクションゲームらしい操作性となっている。この辺りの調整は『鬼武者』第1作のリマスター版と同様だ。

相変わらず一閃は楽しい

少し進むと信長軍の兵士が登場し、さっそく戦闘となる。まだ最序盤とあって特別な工夫はせず、攻撃ボタンを連打しているだけで問題なく倒すことができる。しかしせっかくなので、「一閃」を狙ってみることに。一閃は『鬼武者』シリーズの特徴的なシステムで、敵の攻撃がヒットする瞬間にこちらが攻撃ボタンを押すと、強力なカウンター攻撃が繰り出せるというものだ。相手がザコ敵であれば必殺の一撃となる。

原作プレイ当時の記憶では、一閃はタイミングがなかなか難しく、安定して出すためには練習が必要だった。20年ぶりのプレイでいきなり一閃を出すのは難しいと思いつつ、本作の象徴的なシステムということもあり、狙ってみたくなったのだ。すると自分でも意外なことに、一発目で一閃に成功。ザシュッと小気味よい効果音とともに敵を一撃で葬った。序盤の敵でタイミングがわかりやすいこともあるが、どうやら筆者の指は一閃を覚えていたようだ。自転車の乗り方を忘れないように、一閃のタイミングも忘れないもの……なのかもしれない。

懐かしの町に感動

ステージを少し進めるとストーリーが進行し、十兵衛は「高女」という名の鬼の女性に遭遇。不思議な玉をひとつ授かり、信長を討つためには5つの玉が必要であると教えられる。そして玉の手掛かりを求めて旅することになった十兵衛は、今庄の町に到着する。今庄は金山でにぎわう鉱山町で、本作の主な拠点となる場所である。ここでは住民と会話をしたり、本作のいわゆる仲間キャラにあたる同士たちにプレゼントできるアイテムを買ったりすることができる。

原作プレイ当時の筆者の記憶はだいぶ薄れており、特にステージ構成の記憶はだいぶ曖昧になっている。しかし何度も行き来した今庄の町のことは覚えていた。作りは当時のままだが質感がかなりリアルになっており、存在感も当時よりグッと増しているように感じる。懐かしの町が綺麗になって令和の世に再登場し、ちょっと感動してしまった。しばし景色を堪能した筆者は、ストーリーを進めることにした。

同士であるマゴイチとエケイと知り合った十兵衛は、探している玉のひとつを持っていた通りすがりの女性の姿を追い、金山に向かうことに。金山内には幻魔らが多数存在しており、道中では会話イベントやカットシーンが発生したり、流れで同士と共闘したりすることになる。ときに仲間と協力し、敵を通常攻撃で蹴散らしたり一閃を狙ったりしながら、奥へと進む。

便利になっているシステム

しばらく進むと初期装備の刀に続き、氷属性の槍「氷刃槍」を入手。原作では武器の切り替えには逐一メニュー画面を開く必要があったが、本リマスター版ではプレイ中のボタン操作で切り替えられるようになっている。各武器はモーションや特性が異なるため、気軽に使い分けながら戦えるようになったのはありがたい変更だ。

さらに進むと本作最初のボス「ギンガムファッツ」が登場し、戦闘になる。ボス戦ということで、さっそく筆者は「鬼武者変身」を実行して攻撃を重ねていく。『鬼武者2』では敵がときどきドロップする紫の魂を5つ集めることで、一定時間変身して無敵になることができるのだ。原作では魂が5つ溜まった瞬間に自動で変身したため、狙ったタイミングで使うのが難しいシステムだったが、本作では好きなタイミングで変身できるように調整されている。心置きなくボス戦などの難所に温存できるようになっているわけだ。

鬼武者形態で攻撃しかなりのダメージを与えたはずだが、さすがに一回の変身で勝てるほど甘くはなく、変身解除後もギンガムファッツとの戦闘は続行する。今度は一閃を狙うものの、タイミングが合わずに被弾し、一転ピンチになる。やはり一閃は、タイミングを覚えていれども難しいことは難しい。

しかしそこに同士のエケイが登場し、助太刀してくれた。本作では同士たちに「絆値」がそれぞれ設定されており、特に仲の良い同士はプレイヤーを助けに来てくれることもある。今回はエケイと協力して戦い、問題なくギンガムファッツに勝利。同士との共闘という、『鬼武者2』の持ち味も感じられる場面だった。その場に倒れていた町の人を救助した十兵衛たちは、いったん町に戻ることになる。

救助した人の話では、探している女性は金山のさらに奥に向かったという。また3人目の同士にあたるコタロウも登場し、さらに話がにぎやかに。さっそく金山の奥に向かうと、信長の居城「岐阜城」につながっている。徐々に強くなるザコ敵と戦いつつ、今度は岐阜城を探索していくことになる。

岐阜城を進むと、探していた女性が幻魔に襲われているところだった。助けに入った十兵衛はいざこざの後、自称・幻魔界最高の剣士、ゴーガンダンテスと戦闘になる。しかしゴーガンダンテスの実力はこの時点の十兵衛を圧倒しているようで、攻撃はクリーンヒットしない。それでもしばらく戦っているとカットシーンとなり、十兵衛らは逃走することになる。

町に戻った十兵衛は、助けた女性・オユウから玉を受け取り、2つ目の玉を手に入れる。オユウも信長を狙っていると聞いた十兵衛は、以降協力して戦うことに。オユウも同士となって、本作4人の同士が出揃ったかたちだ。

さらに十兵衛は町民から、見知らぬ女性が広場で自分を待っていると聞き、話に行ってみることに。そうして大きな傘を持って佇む女性に話しかけたところ、そこで待っていたのは……といったところで、今回の先行プレイの範囲が終了となった。

良いところはそのまま、より遊びやすく美しく

原作のプレイ経験がある筆者の感想としてまず目についたのは、グラフィックが当時の印象を保ったまま、全体的に美しくなっていたことだ。時折挿入されるカットシーンで、キャラたちの表情の変化が多彩なことにも驚かされた。眉の動きによる微妙な表情の変化などが描写されており、もとがPS2のゲームであることを時に忘れるほどだ。キャラの感情を見て取ることができ、特にあるキャラが号泣するシーンは筆者の心に迫るものがあった。なおそうした表情の変化自体はオリジナル版から変わっておらず、リマスターによる高解像度化に伴って分かりやすくなった部分だという(弊誌合同インタビュー記事)。

プレイ面では、左スティックで操作可能になっていることは大きな変化だ。固定カメラの切り替えで進んでいく形式はそのままで当時の名残も感じさせるが、全体的な遊びやすさは格段に増している。また当時から変わらないものとして、やはり一閃の爽快感は格別だ。現代ではパリィで攻防するカウンター重視のアクションゲームも少なくないが、連鎖一閃なども交えたスピード感と爽快感ある剣戟バトルは、『鬼武者2』ならではと感じている。発売後、さらにやりこむのが楽しみになる先行プレイ体験だった。

鬼武者2』リマスター版はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/Xbox One向けに5月23日に発売予定。同日には前作リマスター版とセットになった「鬼武者1+2 パック」も発売される。

Akihiro Sakurai
Akihiro Sakurai

気になったゲームは色々遊びますが、放っておくと延々とストラテジーゲームをやっています。でも一番好きなのはテンポの速い3Dアクションです

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