硬派RPG老舗Obsidianの重役、「こぢんまりとした生存戦略」を明かす。無理せず100年生き残る方法

『Avowed』などを手がけるObsidian Entertainmentの重役が、ゲーム開発者イベント「D.I.C.E. Summit 2025」にて同社の生存戦略について語った。

『Avowed』などを手がけるObsidian Entertainment(以下、Obsidian)の重役が、ゲーム開発者イベント「D.I.C.E. Summit 2025」にて同社の生存戦略について語った。PC Gamerなどが伝えている。

Obsidianは、米国を拠点とする2003年創業のデベロッパー。『Fallout: New Vegas』『The Outer Worlds』、最新作『Avowed』などRPGを中心に多数の作品を手がけてきた、経験と実績ある開発元だ。2018年からは、マイクロソフトに買収されXbox Game Studios傘下のスタジオとして活動している。

『Fallout: New Vegas』

今回、「D.I.C.E. Summit 2025」にてObsidianの業務部門VPであるMarcus Morgan氏と、開発部門VPであるJustin Britch氏が同スタジオの生存戦略について語った。今年の同イベントのテーマは「Built to Last(長持ちするように作る)」、すなわち持続可能性(サステナビリティ)にまつわる談話が複数メーカーからなされた。

Morgan氏らはまず、Obsidianを自分たちの寿命よりも長く継続させて「100周年」を迎えさせたいとの構想を語り、「本気でそう考えている」と念押しした。そうしてスタジオを長生きさせていく上での鍵となる戦略が「lean and invested」だという。すなわち、無駄を削ぎ落として(lean)事業体としての規模をコンパクトにし、スタッフを手厚く労って(invest)大切にしていく、という方針だろう。

『The Outer Worlds』

Morgan氏らによれば、近年のObsidianのなかでは複数の海外オフィスを立てるといった拡大路線も検討されていたという。しかし、規模拡大と引き換えにObsidianの社内文化が薄れていくのを避けるため、別スタジオのパートナーシップへと舵を切ったそうだ。

また、「拡大しすぎない」との方針は開発タイトルにも反映されているとのこと。Obsidianのタイトルは、「超巨大スケール」や「最高品質のグラフィック」といった要素の盛り込みをあえて避けているようだ。Britch氏によれば、同スタジオ作品の開発にあたっては、作品が大ヒットではなく「そこそこヒットする」と想定した上で、どの程度開発に投資するかを慎重に検討するという。

そうした考えもありObsidianは、莫大な資金と開発期間を投資して大ヒット作開発を狙うハイリスク・ハイリターンな方針ではなく、「そこそこ売れるゲーム」を無理のない範囲の短いスパンで提供していく姿勢を取っているようだ。また、Morgan氏らは「業界最低の離職率」を目指しているとのこと。Obsidianはあくまでも“こぢんまり”と無理のない範囲で、安定して作品を届けていく方針なのだろう。

『Avowed』

昨今のいわゆる「AAA級ゲーム」については、費用や期間など開発リソースの肥大化がしばしば取り沙汰されている。一部ゲーム開発者からは、今後はそうした大規模タイトルではなく、やや規模を縮小した「AA級ゲーム」が台頭するとの見方も出ている(関連記事)。リスクの高い拡大志向を避け、規模を絞って取り組むObsidianの姿勢は、そうした時流にも沿った生存戦略といえるだろう。

なお、Obsidianの最新作『Avowed』はPC(SteamMicrosoft Store)/Xbox Series X|S向けに2月19日発売予定。またXbox Game Pass向けにも提供される。 現在プレミアム エディション購入者向けの先行アクセスが実施中。日本語表示については、約1か月後の対応となる予定だ。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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