Nexus Modsにてアダルト系Modなどのルール厳格化へ。「オーナー交代で厳しくなったのでは」とざわつくも、すぐ元オーナーが「法律のせい」と説明
Nexus Modsは7月1日、公式サイトにてガイドラインを変更しルールを厳格化すると表明。一部ユーザーより批判が寄せられ、元オーナーが直接コミュニティをなだめる場面も見られた。

Nexus Modsは7月1日、公式サイトにてアダルトコンテンツおよび違法コンテンツに関するガイドラインの変更をおこなうと発表した。これはイギリスやEUにおける新法に適応するものであるが、表現規制にあたるなどとしてユーザーの一部が過熱。元オーナーが経緯と詳細を説明し、一部ユーザーをなだめるような場面も見られた。
Nexus ModsはPC版ゲーム向けのMod共有プラットフォームだ。2001年にRobin Scott氏によって設立され、運営元はイギリス・デヴォン州に拠点を置いている。当初は『The Elder Scrolls III: Morrowind』の情報サイトMorrowind Chroniclesとして発足し、後にサポートするゲームが増加していった。TESNexusなどと名称の変更がありつつも、現在ではNexus Modsとして3700を超えるゲームのModに対応。PCゲームにおけるMod共有サイトとしては、最大手と呼べる規模を誇っている。

今回、Nexus Modsは「The Law and Adult Content」とのタイトルでニュースを投稿。今後数週間から数か月にかけて、アダルトコンテンツや違法コンテンツに関する取り組みを継続的におこなっていくと発表した。これはEUにて2022年に採択されたデジタルサービス法(Digital Services Act)、イギリスで2023年に制定されたオンライン安全法(Online Safety Act)、ならびにイギリスの規制当局にあたるOfcomが制定したガイダンスを遵守するための変更だ。
具体的には、これらの法制を遵守するにあたって、EUや英国向けに展開する企業は、違法コンテンツを速やかに削除する、あるいはユーザーが違法コンテンツへの遭遇を避けられるようなシステム/プロセスを導入する必要がある。加えて子供に有害なコンテンツ、たとえばアダルトコンテンツに子供が容易にアクセスできないような仕組みを設けるか、アダルトコンテンツそのものをサービスから削除することとなる。
なおこれまでにも電子商取引指令やイギリスで2003年に制定された通信法など、違法コンテンツやアダルトコンテンツへの指針を示したルール自体はあったものの、法整備がされていなかったり、企業に義務として課されたりするものではなかった。しかし先述したように新たな法律によりアダルトコンテンツや違法コンテンツの取り締まりが強化。Nexus Modsはイギリスに拠点を置き、EU向けにもサービスを展開していることから、これらの法令を守る必要があるわけだ。

そのため、こうした法制への対応として、今後Nexus Modsでは、より厳格に違法となるコンテンツの定義を決定すると発表。加えて児童への性的虐待コンテンツを自動検出し、削除、通報する仕組みも導入するとのこと。さらにアダルトコンテンツはタグを刷新。今後「ポルノ(Pornographic)」「極度の暴力(Extreme Violence)」などといった分類がおこなわれる。そしてモデレーターとスタッフのみがこのタグを設定できるようにし、ユーザーが個別に表示/非表示を選択できるようにするなど、各種システムに変更が実装される予定だ。
このNexus Modsの対応について、ニュースページのコメントなどでは表現規制に値するという主張が一部ユーザーによってなされている。また今回発表されたニュースではまだ「児童虐待」に分類されるコンテンツの明確な基準が示されていないことへの不安や、自動通報の仕組みによる“誤通報”の発生への懸念も見られる。イギリス・EUユーザーにとってはさらに年齢確認の必要も生じるため、個人情報の扱いを不安視する見方もあり、ニュースのコメント欄を中心に議論が巻き起こっている。
そんな中Nexus ModsのコミュニティマネージャーJustThatKing氏は一部懸念に回答。CSAM(Child Sexual Abuse Material、児童性的虐待コンテンツ)の検出について、IWF(インターネット監視財団)の提供する自動ハッシュマッチングを適用すると表明。アップロードされた画像を、法的に検証されたCSAMデータベースと照会するとのことで、“偶然”や主観的判断で検出されることはないとしている。

ちなみにNexus Modsは6月16日、創設者であるDark0neことRobin Scott氏が、精神的疲労を原因としてサイトを直接管理・運営する立場から退くことを表明した。その直後にガイドラインの変更が告知されたため、一部ユーザーからはオーナー変更によって“改悪”されたとする批判も見られる。こうした意見に対しScott氏はコメント欄にて状況の説明をおこなった。
Scott氏は、Nexus Modsはアンダーグラウンドなサイトではなく、法律を遵守する必要のある合法的なビジネスサイトであると説明。法律に従わなかった場合には多額の罰金が科され、Nexus Modsそのものが消えてしまうとしている。そのため今回の決定はオーナー変更によるものではなく、仮にScott氏がオーナーを続けたままであっても、誰がオーナーでも同様の決定をする必要があったとのこと。また法によるインターネット上の取り締まりが強まっている現状に不安や怒りを感じるのは当然と述べつつも、法は法であり、Nexus Modsは法に従う必要があると呼びかけた。
つまり今回のNexus Modsのガイダンス変更は、あくまでEUおよびイギリスでの法制定に端を発しているようだ。ただ同時期にNexus Modsのオーナーが交代していたこともあってか、さまざまな不安や批判が寄せられ、元オーナーであるScott氏が現れてコミュニティをなだめる事態にも発展した格好だ。同氏はオーナーを退任する際に、今後もコミュニティなどと関与し、サイト運営に助力するサポート役として立ち回っていくとしており、現在もサイトやユーザーコミュニティを見守っているのだろう。
なおNexus Modsは翌月に詳細を伝えるとしており、実際にNexus Modsに適用される変更の具体的な内容が発表されるだろう。今後の動向も引き続き注目される。