ゲーム開発者間で「自作品の一番変なところスピード紹介」が流行る。“ウサギのお尻で金儲け”など奇抜ゲームシステム大集合

インディーゲームスタジオや個人ゲーム開発者を中心として、SNS上で自作のゲームを紹介する新たなムーブメントが起こっている。しかし紹介できるのは「一番変な要素」、かつ5語以内で端的に説明するという“ルール”が設けられているようだ。

今回のムーブメントの発端とみられるのは、『SHADE Protocol』を手がけるデベロッパーのLittle Legendaryの投稿だ。『SHADE Protocol』は機械の敵と戦うサイバーファンタジーな世界観を持つメトロイドヴァニア・アクションゲームだ。本作にてプレイヤーはZuraとなり、知覚力を持つ金属「Elythium」の反乱による、人類および自由意志を持つ機械の滅亡に抗う。

Little Legendaryは11月19日、X上で『SHADE Protocol』を紹介。「My game’s weirdest feature explained in 5 words or less:(私のゲームのもっとも風変わりな点を5語以内で説明すると)」という前置きを添え、SNSに動画を投稿した。なお5語以内で説明された本作の特徴は、「Cut the World in half!」、つまり「世界を真っ二つに切り裂く!」という点がアピールポイントのようだ。

というのも本作の主人公Zuraは現実を書き換える能力を有しているといい、画面全体を斜めに切り、断面を境にステージをずらすことができる。ずらした地形はそのまま進むことができ、探索時に活用できるわけだ。ステージ全体に影響を及ぼし、探索において大きな要素となるこの機能は、見た目にも派手で本作の最大の特徴と言える。

こうした端的で分かりやすい文を添えつつ、一目でトレードマークのアピールができる投稿は“構文”化し、すぐさま流行を見せている。その多くはLittle Legendaryの投稿を引用する形でポストしており、さまざまなジャンルの作品のアピールの場となっている。

たとえばゲーム開発者のNico Dug氏は、Kerris氏とともに2026年のリリースを目指して制作しているという『SUPER ADVENTURE』をアピール。端的に言うと本作は「turn around(向きを変える)」とのこと。

本作は2Dプラットフォームシューティングゲームだ。プレイヤーは、エイリアンに自宅を破壊された主人公として、エイリアンを倒しに向かう。武器には“お手玉”が可能な剣、そして射撃し続けることのできる銃が存在。

一方、自分の身を守る手段としては盾を所持している。本作では盾を背中、あるいは空いた手に携えることで、ありとあらゆる攻撃を常に自動で防ぐという。しかし敵の攻撃は必ず「背中」で受けなければならない。つまり正面を向いて攻撃し、敵の攻撃にはタイミングよく背中を向き、ぐるぐると向きを変えつつ(turn around)、戦闘をこなす必要がある。そんな本作を紹介する投稿に添付された動画の小気味よい攻防やBGMが人気を博してか、現時点で約2万2000いいね、約1400リポストを記録している。

また早期アクセス配信中の『キキキキキ(KKCKC)』を手がけるIGeGeGaeIm氏は、本作を「your Keyboard is a Battlefield(あなたのキーボードは戦場だ)」と表現。「キキキキキ」は「キーボードキーキャラクターキーキャップ」の略であり、プレイヤーはキーボードを侵略する電子機器の脅威を退けることとなる。

キーボードが戦場との表現通り、バトルはQWERTY配列のキーボード上でおこなわれる。プレイヤーはキーボードを押すことで攻撃が可能。任意のキーを押すとキャラのいる場所から、押下したキーに向けて攻撃が飛んでいく。移動、ジャンプ、攻撃を中心としたシンプルなアクションローグライクゲームでありながら、タイピングゲーム的な要素も備わることで歯ごたえのあるゲームプレイが好評を受けている。まさに見た目にも、実際の操作においても、キーボードが主戦場となっているわけだ。

そうして今回のムーブメントでは、主に特徴的なゲームシステムの作品がそれぞれ注目を浴びているかたち。とはいえ世界観や舞台設定をアピールして話題になっているゲームもあり、たとえば小人が主役のライフシム『Fourleaf Fields』の公式アカウントは「Be tiny like a bug!(虫のように小さく!)」と本作を紹介している関連記事)。またステルスローグライクゲーム『Don’t Wake the Beast』のパブリッシャーbetter. publishingは、ゲームタイトルをそのまま紹介文にしており、同作にてドラゴンが目を覚ますとどうなるかが示されている

ほかにも中世本づくりゲーム『Scriptorium: Master of Manuscripts』を手がけるYaza Gamesは、「draw butt, get paid(お尻を描くとお金がもらえる)」と同作を説明。ウサギのお尻を当てはめて絵を完成させ、やたらと褒められるシーンが紹介されており、本来のゲームプレイはともかく、ちょっと下品な挿絵も作ることができるゲームなのだろう。文字通り「一番変な要素」紹介として、的を射た投稿かもしれない。

自作のゲームを動画とともに紹介する流れはSNS上でよく見られるが、今回のような短く特徴を伝える試みもしばしば人気を博している様子だ。たとえば以前には15秒のトレイラーにて自作のゲームを紹介する流行が見られた(関連記事)。情報が氾濫するSNS上では特に、即座に分かりやすい紹介方法が遊び心を交えつつ模索されていることもうかがえる。今回のムーブメントでは本稿で紹介した以外にも多種多様なゲームが投じられているため、興味のある人は「My game’s weirdest feature explained in 5 words or less:」でX投稿を検索してみるのもいいだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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