『モンスターハンターワイルズ』では「黒人女性キャラが魅力的」と称賛集まる。欧米スタジオとは違うデザインで描く魅力

カプコンは2月28日、『モンスターハンターワイルズ』を発売した。本作に登場する有色人種系のキャラクターの描かれ方が、一部海外ユーザーから称賛を受けているようだ。

カプコンは2月28日、『モンスターハンターワイルズ』(以下、ワイルズ)を発売した。本作に登場する有色人種系のキャラクターの描かれ方が、一部海外ユーザーから称賛を受けているようだ。

本作は、ハンティングアクションゲーム『モンスターハンター』シリーズ最新作だ。舞台となるのは、ギルドが調査したことのない未踏の領域「禁足地」。数年前に謎のモンスターに襲われた集落から逃げのびて保護された少年ナタの証言を手がかりに、プレイヤーは調査隊のハンターとしてこの地に足を踏み入れる。


今回、とあるXユーザーが本作ではキャラクタークリエイトにおいて「黒人女性風のモデルプリセットが非常に魅力的に作られている」と紹介し、大きな注目を集めている。同ユーザーが示したのはキャラクタークリエイトのモデルプリセット18。ふわりとしたパーマの黒髪と、浅黒い肌をもつ女性型のキャラクターモデルだ。若々しく麗しい見た目のキャラクターモデルであり、寄せられた反応を見るに、同氏と同じくこのプリセットを魅力的に感じていたプレイヤーも多かった様子だ。

なお『モンスターハンター』シリーズ作品間でキャラクタークリエイトのプリセットを見比べてみると、本作におけるプリセットのデザインの方向性の変化が注目されている一因としてありそうだ。たとえば『モンスターハンター:ワールド』(以下、ワールド)においても白人と有色人種を含むさまざまなモデルプリセットは用意されていたが、基本的にプリセットは大人びたリアル系の見た目。例として黒人女性型のプリセットを『ワイルズ』と『ワールド』とで見比べると、先述したモデルプリセット18も含めて『ワイルズ』ではより若々しく、美形のプリセットが用意されたといえる。

『モンスターハンターワイルズ』のプリセット15(左)、プリセット18(右)
『モンスターハンターワールド』のプリセット1(左)、プリセット5(右)


また髪型をみると、『ワイルズ』では縮毛系あるいはドレッドヘアなどの編み込み系の新たな髪型が追加。『ワールド』にも編み込み系のヘアスタイル自体はあったものの、よりバリエーション豊かになった。そうしてユーザーが幅広く理想的のキャラを作りやすくなったことも評価されているようだ。

ちなみに昨年にも、カプコン作品の黒人女性キャラのデザインは海外コミュニティから脚光を浴びたことがあった。ゲーム業界歴10年のキャラクターアーティストDel Walker氏が経験に基づき、「(欧米スタジオでは)きれいな黒人女性キャラクターを提案しても採用されないことが多かった」との不満をこぼした際の出来事だ。同氏の経験上、美形あるいは気の強い黒人キャラを提案した場合でも、当初の提案がそのまま通ることはなく、結果として年配でどっしりと構えたようなキャラになる傾向が強かったとのこと(関連記事)。

この発言を受けて、ユーザーらが同氏を支持しつつ、美しい黒人女性キャラが登場するゲームを例に挙げて称賛する流れもみられた。たとえばあるユーザーは、Remedy Entertainmentが手がけた『Alan Wake 2』のサーガ・アンダーソンを例示。女優のMelanie Liburd氏がフェイスモデルや声優を務めたキャラだ。また、カプコンが手がけた『バイオハザード5』におけるシェバ・アローマや、『ストリートファイター6』のキンバリーといったキャラも、美しいあるいはかわいらしい黒人女性キャラとして挙げられ、賛同が集まっていた。

そうしたカプコンの過去作品と同じく、今回『ワイルズ』でも美しいデザインの黒人女性キャラがモデルプリセットとして登場したことが注目されている格好だ。またプリセットではなく作中に登場する黒人女性風キャラとしては、火窯の里アズズに登場するアイダが挙げられる。アイダは骨氏族の族長であり、先述したモデルプリセットよりも大人びた風貌。がっしりと頼もしいキャラクター性も反映されつつ、こちらも端麗な容姿を備えている。さまざまなスタイルで美形の黒人女性風キャラが描かれていることも、評価を受けているのだろう。

*アズズの描かれ方を踏まえて、(同じ有色人種として)『ワイルズ』における有色人種(POC)の表現に満足しているとの感想を伝えるユーザー


ちなみに他方では、過去にはスクウェア・エニックスが手がけた『ファイナルファンタジーVII リバース』の黒人風キャラであるレジー・ケーニギンについて、キャラデザインを称賛するユーザーが海外でみられた。ピンクの髪色などを含め、“黒人らしさ”に囚われない独創的なデザインが評価されていたようだ。

なおたとえば先述したシェバについては、美しさが称賛を受けつつも、アフリカ系人種の特徴がないといった意見も一部みられた。つまり“アフリカ系人種らしい特徴”を固定観念としてもち、それらを備えていなければ認めない、といった考えも一部存在するようだ。とはいえそもそも人種の特徴を定義することには難しさもある。アフリカ系人種に限らず、人の風貌は千差万別。細かなルーツの違いなども踏まえれば風貌で人種を定義することはできないだろう。

いずれにせよ、ステレオタイプなアフリカ系人種のイメージにとらわれない、そして美形の黒人系キャラのデザインは、特に昨今の欧米圏のゲーマーから脚光を浴びる傾向もあるようだ。ちなみに『ワイルズ』ではナタや、アズズの住人たちのほか、クナファ村の住人や編纂者のアルマなど、幅広いキャラクターが有色人種風のデザインとなっている。架空の世界を舞台としつつも、現実での多様性をキャラデザインにしっかりと反映する方針がとられたのだろう。このなかでは容姿端麗といえる人物も単なる美男美女ではなくそれぞれのキャラクター性が反映された風貌や仕草が織り込まれており、そうした作り込みもユーザーから評価を受けている所以とみられる。

モンスターハンターワイルズ』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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