『マインクラフト』統合版、“一時停止メニューで一時停止できる”ように。約8年を経てついに

Mojang Studiosは3月26日に『マインクラフト』に向けてアップデート「Spring to Life」を配信。そのなかでBedrock版に「一時停止機能」が実装されたことが注目を集めている。

Mojang Studiosは3月26日、サンドボックスゲーム『マインクラフト』の最新アップデート「Spring to Life」を配信した。多数の新要素が追加されているなか、プレイヤーから待望されていたBedrock版における「一時停止機能」の実装が耳目を集めている。

『マインクラフト』は、Mojang Studiosが手がけるサンドボックスゲームだ。本作の世界はさまざまな種類の3Dブロックで構築されている。破壊と創造を繰り返して、プレイヤーは思い思いに冒険や建築を繰り広げていく。アイデア次第で遊び方は無限大だ。対象機種に応じて2つのエディションが展開されており、PC向けの「Java版」とコンソールやスマートフォンでもプレイ可能な「Bedrock版(統合版)」が存在する。

先日3月23日に放送された特別番組「マインクラフト ライブ」において、今回のアップデート「Spring to Life(スプリング・トゥ・ライフ)」の詳細が明かされており(関連記事)、3月26日についにアップデートが配信された格好だ。バージョンはJava版では1.21.5、Bedrock版では1.21.70となる。なかでも注目の新機能として、Bedrock版向けに追加された「一時停止機能」が話題となっているようだ。

『マインクラフト』では、PCならEscapeキーを押すことで「一時停止メニュー」を開くことができる。このメニューを開いている間、シングルプレイ状態のJava版ではメニューの背景に映る映像がぴたりと止まり、ワールドの時間が進まなくなる。一方で、Bedrock版でも同様の「一時停止メニュー」が存在するものの、こちらではワールドの時間が止まらず進み続ける。つまり、プレイヤーが少し離席したいときには、安全のためにわざわざゲームを終了させたり、いちいち穴を掘って隠れたりするなどの工夫をする必要があるのだ。この仕様はなんと、2017年にBedrock版がリリースされた当初から約8年もの期間そのままとなっており、Bedrock版のプレイヤーの間では長年改善が希望されていた要素の1つだった。「一時停止メニュー」という名前でありながら実際には一時停止することはないという、変わった状態が続いていたのだ。

『マインクラフト』Java版

なぜこのような仕様となっていたのだろうか。これにはBedrock版のマルチプレイについての設計思想が関係していたとみられる。Bedrock版は幅広いプラットフォームで利用できるという点が特徴だ。もともとプラットフォームごとに異なる名称で販売されていた『マインクラフト』であるが、バージョン1.2.0「ベター・トゥギャザー・アップデート」を通じて、Bedrock版へと名称が統一されたという経緯がある。そのためBedrock版は異なるプラットフォーム間でのマルチプレイにも当初から対応している。

そしてBedrock版では、チャイルドアカウントなど一部例外を除き、マルチプレイのオプションがデフォルトで有効になっている。ゲーム内のフレンドやLAN上のプレイヤーがいつでもワールドに参加できるようになっているのだ。つまり「シングルプレイでも常にオンライン状態にしておく」という、他のプレイヤーとの繋がりを重視したBedrock版ならではの設計が影響して、ワールドの時間がいつでも動いているようになっていたと考えられている。

『マインクラフト』Bedrock版

今回のアップデートにより、自分がもつローカルワールドを1人でプレイしているときに限り、Bedrock版でも「一時停止メニュー」でちゃんと一時停止されるようになった。ワールドに別のプレイヤーが参加した際には自動的に一時停止が解除される仕組みになっているため、これまで通りマルチプレイには影響が出ないという。こまめに休憩をはさみながら遊ぶプレイヤーにとってはかなり快適度が増すだろう。なおこの「一時停止機能」は安定性確保のため、まずは一部のユーザーを対象に少しずつ展開され、2週間かけて最終的には全てのプレイヤーに開放していくとしている。

ちなみに、『マインクラフト』の「一時停止メニュー」を巡っては、これまでいくつかの奇妙なバグが見つかってきた。Java版においては、「一時停止メニュー」の中の「統計」ボタンを繰り返し押すことで、止まっているはずのワールドの時間が1フレームずつ進むという不具合がある。このバグは今回配信されたバージョン1.21.5でも修正されていない。なおユーザーの研究により、このグリッチを活用してエンダードラゴンを一撃で倒すテクニックなども発見されている。“ただ一時停止するだけ”と言っても奥が深く、今回の機能追加も開発者たちが頭を悩ませた末にようやく実現に至ったのかもしれない。

「Spring to Life」アップデートでは今回紹介した「一時停止機能」だけでなく、Java版・Bedrock版ともに多数の新要素が追加されている。動物モブの亜種の追加や没入感のある環境音の実装など、既存のバイオームに新たな価値をもたらす大型アップデートだ。詳細はJava版パッチノート(英語)およびBedrock版パッチノート(英語)を確認されたい。

マインクラフト』はJava版がPC向けに配信中。Bedrock版(統合版)はPC/iOS/Android/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switchなどに向け配信中だ。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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