“本物のLEGO”を使って遊ぶパズルゲームが試作される。LEGOで組んだ配置が、ゲーム上にリアルタイム反映
エンジニアのErik Liermann氏は5月7日、本物の「LEGO(レゴ)」を画像認識し、ゲームに反映させて解くパズルゲームのプロトタイプを披露し、注目を集めている。

エンジニアのErik Liermann氏は5月7日、自身が制作したゲームのプロトタイプを公開した。ウェブカメラに移した本物の「LEGO(レゴ)」を画像認識し、ゲームに反映させて解くパズルゲームだ。海外メディア80 Levelが紹介している。
Liermann氏は、現在自動車メーカーのフォードにてフィジカルコンピューティングデザイナーとして働くアーティスト。同氏は数年前から、画像認識やゲームエンジンを用いて現実とデジタルの融合を図る取り組みを海外掲示板のRedditで共有してきた人物だ。このたびRedditの「r/UnrealEngine5」subredditにて、本物のLEGOを用いて解くパズルゲームのプロトタイプを公開した。
この作品では、ボードにLEGOのピースを配置することで、それが道やオブジェクトとなって画面上に反映される。スライムのようなキャラクターを敵のモンスターに捕まらないように上手くゴールまで導くことが目的だ。
また本作ではLEGOのピースの色ごとにゲーム内での役割が決まっている。通常の足場となる黒いピースや、キャラクターを2方向に分裂させるオレンジのピース。さらにはワープして空中を移動させる緑色のピースなどがある。これらを制限された個数の中でボード上に配置することで、同じ色のピースが画面上にも出現するのだ。そして「LOG」ボタンを押すと対応したオブジェクトとして変換され、再生ボタンを押すことでキャラクターがゴールに向かって動き出していく。映像内では、キャラクターをオレンジのピースを用いて分裂させ敵をおびきだし、もう一方のキャラクターを緑のピースでゴールまで飛ばすようなプレイも見られた。


仕組みとしては、ウェブカメラを用いた画像認識が用いられている。画像処理ライブラリであるOpenCVで配置されているブロックの位置や色を認識し、Unreal Engineのオブジェクトとしてリアルタイム変換をおこなっているようだ。このパズルゲームはあくまでも技術デモとしてのプロトタイプであり、現状では遊べる形でリリースする予定はないとのこと。Liermann氏も「Far from polished(洗練されてるとは言いがたい)」としているように、これだけではゲームとして若干物足りなさを感じるものの、本物のLEGOを用いたゲームのユニークなアイデアとして注目を集めている。

Liermann氏は、画面を見る時間を制限しながら娘と一緒にゲームで遊べる方法を探す中でこのアイデアを思いついたのだという。実際にLEGOを組み立ててじっくりパズルを解き、その後キャラクターを見守るといったゲームプレイは、現代的なゲームの持ち味もありつつ、現実で見て、触って遊ぶ楽しさもありそうだ。Redditユーザーからは、「LEGOを使う」というアイデアが「ピースを配置する」というゲーム自体の目的に直結した動作であるとして、称賛が寄せられている。
ところで、LEGOはピースがはまる間隔が均等であるためきれいにグリッド上に並べられるという特徴もある。画像認識を用いたパズルゲームとの相性が良い可能性も考えられるだろう。また色や形の異なる豊富な種類のピースが揃っているため、新しいバリエーションのオブジェクトを導入しやすいという柔軟性の高さも理にかなっている。玩具としての人気もさることながら、ゲームの操作に用いるというコンセプトにぴったりな選択なのかもしれない。
近年では現実空間にデジタル情報を重ねる「AR(拡張現実)」技術や、それを発展させて現実空間と仮想空間の融合を目指した「MR(複合現実)」技術なども広がっており、そうした方面への応用も考えられそうだ。Liermann氏の作品はあくまでプロトタイプながら、さまざまな可能性を感じさせるところからも注目を浴びているのだろう。