『カービィのエアライダー』の「しかし狙いがあった」構文が爆発的ブームに。何でも“不穏化”ねじ曲げテンプレ
『カービィのエアライダー』に登場するギャラクティック・ノヴァが、『スーパーデラックス』での登場以来、再びSNS上でネットミーム化しているようだ。

任天堂は11月20日、ライドアクションゲーム『カービィのエアライダー』をNintendo Switch 2向けにリリースした。本作はさっそく人気を博しているが、その中でも特に「ロードトリップ」に登場する一場面がネットミーム的に広まり、「狙いがあった」構文として話題となっている。本稿ではロードトリップのストーリー、およびエンディングについての重要なネタバレが含まれているため、留意されたい。
本作は、『星のカービィ』シリーズのレースゲーム『カービィのエアライド』の続編だ。それぞれ能力のことなるカービィやデデデ大王、メタナイトなどのライダーとなり、個性的なエアライドマシンに乗ってレースをする。簡単操作を採用しつつも、ライバルを攻撃してスピードアップさせるなど戦略的なゲームプレイが特徴だ。

本作にはソロプレイ用モードである「ロードトリップ」が存在。基本的には提示される3つのお題の中から好きなものを1つ選択しクリアしていく。クリアするとパワーアップアイテムが入手可能。道中ではマシンを手に入れたり、ハプニングに遭遇することもある。そうしてステージを進みながら、マシンが見据えているという彼方への旅路を歩んでいくわけだ。
そんなロードトリップにおけるワンシーンが突如としてSNS上で流行を見せ、ネットミーム化しはじめている。それはギャラクティック・ノヴァ(以下、ノヴァ)が遠くのポップスターを眺めているところに「しかしギャラクティック・ノヴァには狙いがあった」との字幕が付けられた場面だ。
このワンシーンだけに登場する何気ないセリフながら、ユーザー間では妙に人気を博している様子。用法としては、漫画や文章による投稿の末尾に付け加えることによって、今後の不穏な展開を匂わせるものが多くみられる。またノヴァとは関係なく、狙いがありそうなキャラからなさそうなものまで、ありとあらゆるものに「しかし○○には狙いがあった」と付け足す遊びとして流行を見せている。
ここまでノヴァがネットミーム的に扱われるのには理由がある。そもそもノヴァは『星のカービィ スーパーデラックス』の「銀河にねがいを」で初登場した“大彗星”であり、星の力で道を繋げて呼び出すと願いを叶えてくれるという存在だ。『スーパーデラックス』においてノヴァはカービィに呼び出されたが、ポップスターの支配を望むマルクの願いを聞き入れたことでポップスターへ侵攻。カービィによってマルクともども撃退される。エンディングにて爆散する様子は印象深いシーンとなっていたが、同作と無関係な何らかの動画の末尾に付け加えることで“強制的に大団円”を演出する、といった形ですでにノヴァ自身がネットミーム化していた。あくまで同作では善悪にかかわらず願いを叶えてくれるだけの存在といった描かれ方であったが、そんなノヴァがとりあえず爆散させられる理不尽さも笑いを誘っていたのだろう。
今回はそんなノヴァが『カービィのエアライダー』にて再登場したかたち。発売前から登場自体は示唆されていたが、今作ではさらに重要な役回りとなっている。というのもロードトリップのストーリーにおいて、エアライドマシンは突如天から降ってきた、と伝えられている。ただ実はこの現象は偶然ではなく、「ゾラ」と呼ばれる半生命体をきっかけとしたものだった。自力で移動できないゾラは自由に動き回りたい願望を持ち、それが夢の泉を介してノヴァへと届く。願いを聞き入れたノヴァは、自身の内部でエアライドマシンを作り、ポップスターに投下した。
ところがノヴァはそれだけにとどまらず、ポップスターに作業用マシンを投下。ゾラを解体し「ギガンテス」へ改造。ポップスター上の全生命の抹殺を目論む。ここで本性が明かされる際に挿入されるムービーと字幕が、まさに「しかしギャラクティック・ノヴァには狙いがあった」である。

『スーパーデラックス』では単にマルクの願いを聞き届けただけに見えたノヴァが、『カービィのエアライダー』ではゾラを解体・改造したうえに、ポップスターの生命を抹殺しようとする暴挙に出る。そうしたラスボスとしての容赦のなさや、ゾラ解体時の衝撃を受け、ロードトリップを象徴するシーンとして強く印象付いたのかもしれない。一部ファンによってこれまで“悪くないのにやたらと爆散させられがち”であったノヴァが、今作では「狙いがあった」として、“悪意”ともとれるキャラクター性を発揮した予想外の展開もネットミーム化の背景にありそうだ。大団円のために爆散させられていたところから一転、不穏な流れに急展開させる役回りとして人気を博しているかたち。
なおロードトリップにおいてライダーたちは最終的にノヴァを撃破することになる。本作では本当に悪者として爆散させられるノヴァを拝めるわけだ。このほかBGMを含め各所には『スーパーデラックス』の要素も盛り込まれており、同作のプレイヤーにとっても懐かしいものとなっているだろう。
今回『スーパーデラックス』から29年、同作リメイク版である『ウルトラスーパーデラックス』からは17年振りの登場となったノヴァ。そんな大彗星が再びネットミームとして話題となっているのは、『カービィ』シリーズ最新作である『カービィのエアライダー』ではそのラスボスっぷりを遺憾なく発揮した結果かもしれない。
『カービィのエアライダー』はNintendo Switch 2向けに販売中だ。
【UPDATE 2025/11/25 17:17】
ロードトリップのネタバレについて、エンディングに関する説明が含まれていることを冒頭に明記




