あるゲーム開発者、“『カービィのエアライド』の精神的続編”を作っていたら本家が新作発表したので絶望。でも新作は嬉しい

『カービィのエアライダー』の新作発表に多くのユーザーが胸を躍らせるかたわら、悲嘆に暮れているとあるゲーム開発者の姿が話題となっている。

任天堂は4月2日、Nintendo DirectでNintendo Switch 2向けに『カービィのエアライダー』を発表した。22年ぶりの新作発表に多くのユーザーが胸を躍らせるかたわら、悲嘆に暮れているとあるゲーム開発者の姿が話題となっている。

『カービィのエアライダー』は『カービィのエアライド』の続編だ。『カービィのエアライド』はニンテンドーゲームキューブに向け、2003年に発売されたアクションレースゲームで、開発はHAL研究所が担当していた。3DスティックとAボタンの組み合わせのみで走行できるという簡単な操作が特徴。尖った性能のマシンやさまざまなゲームモードが人気で、続編を待ち望む声も多かった。『カービィのエアライダー』はそんな前作の、22年振りの続編となるわけだ。


先日「Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 – 2025.4.2」が放送され、Nintendo Switch 2の詳細が明かされるとともに、さまざまな新作ソフトがお披露目となった。桜井政博氏がディレクターを務める『カービィのエアライダー』がサプライズ発表されたことには多くのファンが歓喜したことだろう。そんな中、インディーゲーム開発者のIsaac Kasdorf氏はどうやら複雑な心境だったようだ。

というのもKasdorf氏は現在、レーシングバトルゲーム『Robo Ride & Glide』をPC(Steam)向けに開発している。Steamストアページによると、ワンボタンのみを用いた簡単操作で、ステータスの異なるさまざまな機体を操り、強化した機体を使ってミニゲームに挑むという作品の模様。『カービィのエアライド』の「シティトライアル」にも似たシステムのこのゲームは、同作の“精神的続編”として制作されていることが同氏によって表明されている。つまり、『カービィのエアライド』に影響を受ける作品を開発する中で、本家の新作が発表されたかたちだ。


Kasdorf氏はNintendo Direct放送後に、『カービィのエアライダー』発表を受けた心境をさまざまなかたちでXに綴っている。“インスパイア元の新作”という点で、『Robo Ride & Glide』の非常に強力な競合タイトルが出現したことへのショックも大きかったようだ。

そんな同氏は「私のゲームは“マイナス3本”売るだけでも大変なことだろう」とポスト。早くも売上を絶望視する同氏に対してはユーザーが励ましの言葉を寄せているものの、たとえば「『カービィのエアライダー』よりも先に発売したらいい」とのコメントに対して「それはありえない」と返答。『カービィのエアライダー』は2025年内に発売予定と告知されており、『Robo Ride & Glide』の発売にはまだ時間がかかる見込みのようだ。

ただ同氏も完全に諦めてはいないようで、Kasdorf氏は自身のゲームが「80ドルよりもずっと安くなるだろう」とアピール。『マリオカート ワールド』などNintendo Switch 2向けソフトが軒並み80ドル近い価格となっていることを受けての発言だ。ちなみに、同ポストでの「two cakes」とはネットミーム「Holy Shit! Two Cakes」にちなんだ表現とみられる。ユーザーからすれば『カービィのエアライド』インスパイア作品も本家の新作も、どちらにも需要があるかもしれないという期待の表れだろう。

ちなみに同氏は『カービィのエアライダー』の発表自体には胸が躍ったそうで、同作が素晴らしいゲームになるだろうとも綴っている。本家『カービィのエアライド』が大好きな想いも前提としてあるようだ。

インスパイア作品の開発中に、本家の新作が出るという“誤算”。ちなみに過去には、『バイオハザード2』の非公式リメイクが独自に開発されていたが、2015年にカプコンが公式に同作のリメイクとなる『バイオハザード RE:2』の制作を発表したことを受け、開発中止を決定するという事例もみられた。この際に非公式リメイクの開発チームはInvader Studiosを立ち上げ、オリジナル作品を開発すると決断。その後オリジナル作品『Daymare: 1998』を発売していた(関連記事)。予想外の本家の新作登場にひるまずに、独自の作品を打ち出した格好だ。

今回のKasdorf氏もめげずに『Robo Ride & Glide』の開発を進めていく様子。売上については現状絶望している様子ながら、インディー作品として安価で販売することで、うまく差別化を図る予定のようだ。ちなみに同氏については海外メディアGamesRadar+なども報じており、思わぬ形で注目も集まっている様子。同氏にとってはこれをチャンスに変えられるかが重要となりそうだ。『Robo Ride & Glide』の今後の動向を、暖かく見守っていきたい。

『カービィのエアライダー』はNintendo Switch 2向けに2025年リリース予定。そして『Robo Ride & Glide』はPC(Steam)向けに現在開発中だ。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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