リアル自由ライフシム『inZOI』開発者いわく、これまでの最大の学びは「『ザ・シムズ』がやっぱり凄い」こと。しかし“先人がやめたオープンワールド”に、あえて挑む

『inZOI』は、今年の3月28日で早期アクセス配信開始から1周年を迎えた。それに伴うQ&Aセッションにて、ディレクターのキム・ヒョンジュン氏から、制作における苦労などが語られた。

KRAFTONが手がけるライフシミュレーションゲーム『inZOI』は、今年の3月28日で早期アクセス配信開始から1周年を迎えた。それにあわせて同社のソウルオフィスにて実施されたQ&Aセッションでは、本作プロデューサー兼ディレクターのキム・ヒョンジュン氏の1年の振り返りも伝えられた。本作開発からローンチの苦労や、『ザ・シムズ』への畏敬の念などが語られている。

『inZOI』は、Unreal Engine 5による高精細なグラフィックと、自由度の高いライフシミュレーション要素を特徴とする作品だ。プレイヤーは「Zoi」と呼ばれるキャラクターを作成し、神の視点から彼らの人生を導くこととなる。本作では街の住人たちは自由意思に基づいて行動。仕事やレジャー、交流などを通じて、各々の日常を過ごす。その中では結婚や出産、病気、交通事故など、現実さながらのイベントも発生。またSNSではさまざまな話題やゴシップが飛び交う。さまざまなハプニングも起こるZoiたちの生活の様子を眺めて楽しむ。

そんな本作は2025年3月28日にSteamにて早期アクセス配信が開始。リリースから一週間で100万本を売り上げたことが報告されるなど人気を集めた(関連記事)。過去には最高で8万7000人を超える同時接続プレイヤー数を記録(SteamDB)。一方で早期アクセス配信ゆえに配信当初にはコンテンツ不足気味な点には指摘も寄せられることになった。

とはいえ昨年8月には新都市「チャハヤ」を中心としたリゾートでの暮らしを堪能できる無料DLC「アイランドバケーション」が配信。またその後も大型アップデートでコンテンツの拡張が進んでおり、本稿執筆時点で全体の評価としては、約2万7000件のSteamユーザーレビューのうち76%が好評とする「やや好評」ステータスとなっている。

今回本作が早期アクセス配信から1周年を迎えたことを受け、KRAFTONがソウルスタジオにてQ&Aセッションを実施。IGNが本作のプロデューサー兼ディレクターを務めるキム・ヒョンジュン氏にこれまでの歩みなどを訊いている。

まずキム氏はライフシミュレーションというジャンルの難しさを振り返った。もし開発前まで時間を戻してもう一度本作を作り直すかと聞かれたら、ためらうだろうと述べている。

またキム氏は特に「オープンワールド」のライフシム制作が非常に困難な取り組みであることを吐露。そのため“先人”たる『ザ・シムズ』シリーズにおいても、『ザ・シムズ3』から『ザ・シムズ4』にかけてオープンワールドからロードを挟んでエリアが切り替わる形式に移行した理由が理解できるという。『inZOI』のこれまでの早期アクセス配信を通しての最大の学びとして、『ザ・シムズ』が30年間もライフシムの代表作として君臨し続けている理由が分かったことを挙げている。

なおキム氏は本作を早期アクセス配信としてリリースした背景についても言及。自身がゲーム業界で歩んできた約29年というキャリアを踏まえても、本作は実際に作ってみて初めてその規模の大きさを実感したそうだ。結果として『inZOI』は早期アクセス配信なしでは“きちんと作り切ることができない(I couldn’t do it properly)”ことに気づいたのだという。そのため、早期アクセス配信直前にデモ版をリリースしたといい、あわないプレイヤーに避けてもらう狙いもあったとのこと。また欠点の多くある状態でのリリースとなり、早期アクセス配信として“テスト”をしてくれているプレイヤーに対し申し訳ない思いも常にあるという。

なお本作については先述したとおりアップデートを重ねて着実にコンテンツの拡充が進められてきた。またSteamニュースにて今後の開発ロードマップも示されている。4月にキャリアシステムの拡張として面接、昇進、休暇、リモートワーク、フリーランス制度などの新コンテンツが導入。これを皮切りに、5月には高校のシステムが導入され学園生活が楽しめるようになり、7月には旅行や刑務所システム、9月には祝日システムの導入など、さまざまなコンテンツが順次追加されていく模様だ。低スペックのハードウェアに向けたグラフィックオプションやメモリリークの解決など、システム面の改修にも取り組む旨が伝えられている。“制作の苦労”も見えた本作の、今後の歩みにも注目されるところだ。

『inZOI』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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