開発中止された10年開発サンドボックス『Hytale』、惜しまれすぎて“救済運動”に発展。『Stardew Valley』開発者など大物業界人が反応示す
Hypixel Studiosは6月24日、『Hytale』の開発を中止すると発表。大きな反響を呼び、『Stardew Valley』の開発者など複数の業界関係者が、復活に向けた支援をおこなう可能性を示唆している。

Hypixel Studiosは6月24日、『Hytale』の開発を中止すると発表した。Riot Games傘下の同スタジオで開発が続けられてきた本作の開発中止は大きな反響を呼び、『Stardew Valley』の開発者など複数の業界関係者が、復活に向けた支援をおこなう可能性を示唆している。
『Hytale』は、『マインクラフト』の人気サーバーHypixelの運営チームにより、サンドボックスRPGとして開発されていたゲームだ。自動生成された広大なファンタジー世界での生活や冒険を楽しめるほか、Hypixelサーバーでおなじみのマルチプレイ対戦などのミニゲームも多数用意。さらに、動画撮影やキャラクター作成、各種モデリング・アニメーション制作、ゲーム内スクリプト作成などのためのツールが提供され、自由度の高いゲーム体験が実現される計画であった。

本作は2015年にプロジェクトが始動。2018年12月に正式発表され、トレイラーで大きな注目を集めることに。その後2020年4月に、開発元のHypixel StudiosがRiot Games傘下となったことで一段と大きな期待を背負ったが、マルチプラットフォーム対応などさまざまな要因から、2021年に予定されて計画されていたリリースは延期に。そして先日6月24日、突如本作の開発中止が発表された。スタジオは今後数か月かけて事業整理をおこなうという(関連記事)。
こうした状況を受けて、Xでは「#SaveHytale」のハッシュタグとともに連日多くのポストが投稿されている。またオンライン署名サイトのChange.orgでは、本作をオープンソース化することを開発元に求める運動に対して、約1600筆もの署名が集まっている。このほかにも開発中止が決定した本作について、何らかのかたちでコミュニティに残してほしいと考えるユーザーは少なくないようだ。

こうした状況のなか、とある人物の発言が注目を集めている。2019年から『Hytale』に関する情報を発信してきたYouTuberのMyne氏は、ConcernedApeことEric Barone氏とのDiscord上でのやりとりを公開。Barone氏は牧場経営シミュレーションゲーム『Stardew Valley』の開発者だ。Myne氏は、『Hytale』に大きな期待が寄せられていたことを示しつつ「この投資はあなたにも利益をもたらすのではないか」とBarone氏に説明。同氏は「probably(たぶんね)」と回答した一方で、投資がどのような計画なのか、また舞台裏で当初なぜプロジェクトが失敗したのかを詳しく聞く必要があるだろうと述べている。あくまでも慎重な姿勢を示しており、投資するかどうかは今後の情報次第なのだろう。
とはいえMyne氏はこのやり取りを「『Stardew Valley』の開発者ConcernedApeがSaveHytale運動に加わるかどうか」として紹介。著名な開発者が引き合いに出されたことで大きな話題を呼んでいる。
このほか「Hypixel」の別名で知られ、Hypixelサーバーを運営するHypixel社の共同創設者兼CEOを務めるSimon Collins-Laflamme氏も開発中止にまつわる騒動に言及。Simon氏は『Hytale』を開発するHypixel StudiosのCEOも務めていた人物であるが、Riot Gamesの傘下へと入るに際して同スタジオを退社。代わりにAaron “Noxy” Donaghey氏がCEOに就任していた。そんなSimon氏は6月28日、『Hytale』を救済するためにベストを尽くすとポストし話題に。Simon氏は初期の同作に携わったスタッフとして、再始動に向けたアクションを起こす決断をしたようだ。Riot Games側に連絡を取るようで、返答までに数か月かかり、もし再移動となってもさらに何か月もかかると説明。また大手傘下で中止となったプロジェクトが復活する可能性はゼロに近いとして、ユーザーにはあまり期待をしないでほしいとしている。
そんな同氏の発言に対しては、資金援助を募るべく業界関係者に手当たり次第にメンションを飛ばすユーザーまで現れている。ユーザーからメンションを受けたうち、パブリッシャーのDevolver Digitalはこれに絵文字で反応。同社が出資をおこなうかどうかは不明ながら、業界も本作がもつ大きな影響力については認識している様子だ。
一方、Barone氏が言うように、開発中止の背景について明らかになっていない部分も多い。なぜ中止になったのか、またどのような状態で中止になったのかが不透明な状況だ。また、そもそも大手Riot Games傘下で長年開発が継続された末に開発中止の決断がおこなわれたこともあり、あとどれだけのリソースがあれば完成するかもはっきりしていない。投資に踏み切るにはネックとなるだろう。
もっとも、『Hytale』のIPはRiot Gamesが保有しているとみられ、買い取ることが可能かどうかすら不明だ。先述したSimon氏は同社に連絡をとるようで、今後同氏は進展についてできるだけ情報を共有していくとのこと。同氏の呼びかけやコミュニティーの運動を受けたRiot Games側の反応も注目される。