SIEがテンセントを訴えた“『Horizon』そっくりゲーム”、「プロモーションの一時停止」で一旦合意。両社それぞれの訴え、来年1月にまとめて審理へ

両社の代理人が裁判所に提出した文書にて、一時的な『LIGHT OF MOTIRAM』の新たなプロモーションの禁止などに合意したことが判明した。

テンセント傘下のデベロッパーPOLARIS QUESTが開発中の『LIGHT OF MOTIRAM』について、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が『Horizon』シリーズ作品に酷似しているとして今年7月に訴訟を提起。今回は両社の代理人が裁判所に提出した文書にて、一時的な『LIGHT OF MOTIRAM』の新たなプロモーションの禁止などに合意したことが判明した。海外メディアThe Game Postなどが伝えている。

『Horizon』は、SIE傘下のGuerrilla Gamesが手がけたシングルプレイのオープンワールド・アクションRPGシリーズ。これまで第1作『Horizon Zero Dawn』とその続編『Horizon Forbidden West』のほか、関連作品も展開。かつての文明が失われ機械獣が住まう世界を舞台に、主人公である狩人アーロイの旅路が描かれてきた。

『Horizon Zero Dawn Remastered』

そして『LIGHT OF MOTIRAM』は、テンセント傘下のPOLARIS QUESTが手がけるマルチプレイ対応のオープンワールドサバイバルゲームとして、2024年11月に発表された。文明崩壊後の世界をメカが野生生物のように闊歩するという舞台設定が『Horizon』シリーズに酷似。また、キービジュアルも『Horizon Zero Dawn』のものに似ているとして、発表当初から物議を醸していた。

『LIGHT OF MOTIRAM』

SIEは今年7月、カリフォルニア州北部地区連邦裁判所にて、テンセント関連企業による著作権および商標権の侵害を主張。「slavish clone(独創性のないクローン)」であり、消費者を混乱させる恐れがあるとして、『LIGHT OF MOTIRAM』のリリース差し止めや損害賠償を求めた(関連記事)。

一方のテンセント側は9月に、SIEの訴状の却下を求める申し立て(Motion to Dismiss)をおこなったものの、10月にはSIEはこれに反論していた(関連記事)。その後、SIEは新たに仮差し止め命令の申し立てを提出。著作権および商標権についての訴訟が決着するまでの間、『LIGHT OF MOTIRAM』を含む、『Horizon』シリーズからコピーまたは派生したあらゆる作品の利用禁止や、同シリーズの主人公アーロイのキャラクター商標や紛らわしい表示の使用禁止を要請。また『LIGHT OF MOTIRAM』の宣伝やリリースの停止についても求めるものだった。

『LIGHT OF MOTIRAM』

そして今回は、12月1日にSIEおよびテンセントの代理人の連名で提出された合意および命令案の内容についてThe Game Postが報道。まず合意事項としては、SIEの仮差し止め命令の申し立てが係属している間は、『LIGHT OF MOTIRAM』の新たなプロモーションや公開テストをおこなわないことや、同作の発売時期を2027年第4四半期よりも前に前倒ししないことなどが挙げられている。

また命令案の内容を見るに、テンセント側の反論書面の提出や、SIE側の再反論書面の提出、そして仮差し止め命令についての裁判所による審理期日がそれぞれ約2週間延期。さらにこれらに伴って、両社の代理人は裁判所に向けて上述した「訴状の却下を求める申し立て」および「仮差し止め命令の申し立て」を2026年1月29日にまとめて審理するように要請した。つまりもし裁判所側がこの提案を受け入れれば、同日にはこれまで両社が提出してきたふたつの申し立てがあわせて審理される見込みだ。今後訴訟が継続するかどうかといった点も明らかになるとみられ、引き続き本件訴訟の行方は注目される。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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