『ヘルダイバー2』の「火炎放射器」、アプデの“炎の仕様変更”でひっそり実質弱体化。批判集まるも、開発元CEOは「新要素実装のために調整も必要」と丁寧に返答


デベロッパーのArrowhead Game Studiosは8月6日、『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』に向けて大規模アップデート「自由の激烈(The Escalation of Freedom)」を配信開始した。同アップデートでの“不具合修正”により、戦略支援武器である「火炎放射器」が実質弱体化。一部ユーザー間で噴出した批判に対して、Arrowhead Game StudiosのCEOが返答を寄せている。

本作は、見下ろし視点型シューター『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。プレイヤーはスーパーアース連邦のエリート部隊ヘルダイバーの一員となり、宇宙生物のムシ(ターミニッド)や、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。自由と管理民主主義を守るため、銀河を舞台とした戦いに身を投じるのだ。PC版とPS5版の間でのクロスプレイがサポートされており、最大4人でのオンライン協力プレイに対応している。


今回のアップデートは過去最大規模のアップデートと謳われている。新たな最高難易度となる「難易度10 – スーパーヘルダイブ」の実装や、新種の敵などさまざまな新要素が登場した。また武器や敵などの多岐にわたるバランス調整や、不具合修正も実施されている。

なかでも、戦略支援武器である「火炎放射器」が“不具合修正”による影響を受け実質弱体化。一部ユーザー間には落胆や不満の声が広がっている。というのも今回のアップデートでは、炎のエフェクトがより現実的に挙動するように調整されたという。装甲や静止しているオブジェクトなど、炎が通過しないはずの物を通過して広がらないように修正されているとのこと。従来の火炎放射器はムシ陣営の「チャージャー」などの敵の装甲を貫通してダメージを与え、比較的容易に処理できる点が強みとなっていた。アップデートにより装甲を貫通できなくなり、実質大幅な弱体化となったかたちだ。

この変更を受けて、ユーザーコミュニティの一部では波紋も広がっている。もともと火炎放射器は射程が短め、かつ炎によって自分もダメージを受けるリスクがある武器だ。炎が装甲を貫通しなくなる修正によって使いどころがさらに狭まった点を残念がる声も見られる。“プレイヤーの楽しみをすべて弱体化し続ける方針なのか”といった不満の声もみられる。


こうした反応に対して、Arrowhead Game StudiosのCEOであるShams Jorjani氏が返答(関連記事)。スタジオの開発方針を改めて示している。同氏はユーザーからの批判を「もっともな主張だ(fair point)」としつつも、本作が常に新展開を続けていることを留意してほしいと説明。銃や敵が新たに実装されれば既存の要素すべてに調整が必要になりうるため、時には強すぎるものが弱体化される可能性もあるとしている。一方でチームとしては「弱体化し続ける(constant nerf)」方針は望んでいないとのこと。

Jorjani氏の述べるように、新要素の実装にあたって火炎放射器の弱体化が生じた可能性はある。というのも本作に向けては8月8日には新たなプレミアムウォーボンド「自由の炎」が実装予定。火炎系の武器と炎耐性のある防具が中心のウォーボンドだ。たとえば戦略支援ではない通常武器となる火炎放射器「トーチャー」や、ハンドガン型の小型火炎放射器「クリスパー」などが実装される見込み。従来の“装甲を貫通する”炎の仕様を残しておくと、バランスが崩れる可能性が懸念され、調整されたとも考えられる。

なお本作では過去に「ブレイカー」「レールガン」「シールドパック」といった人気武装が弱体化され、ユーザーから批判が噴出したことがある(関連記事)。そうした背景もあり、本作では“人気武装が弱体化されがち”といったイメージが定着している側面もあるのかもしれない。一方で開発元はブレイカーなどが弱体化されたアップデートの当時、フィードバックに基づいて弱体化だけでなく強化もおこなう調整方針も示していた。同アップデートではプレイヤーの要望を反映して「レーザーキャノン」の装甲貫通力が高められたほか、今回注目されている火炎放射器もユーザーからの「ちょっと弱すぎる(little too anaemic)」とのフィードバックを受けたとして強化されていた。


今回もJorjani氏は別のXポストにて、そうした方針を改めて強調している。同氏は今回のアップデート後には多彩なフィードバックが寄せられていると報告。本作をプレイするさまざまな層がプレイスタイルに応じて、それぞれ好意的、あるいは否定的な反応を寄せているという。「すべて強化しろ」という意見もあれば「(ゲームが)簡単すぎる」との意見もあるとのこと。

またJorjani氏いわく今回は大規模なアップデートだったこともあり、どのように調整すべきかが判明するまではもう少し時間がかかるそうだ。熟練のプレイヤーからカジュアルに遊ぶプレイヤーまで、あらゆるプレイヤー層からのフィードバックを受けながら、火炎放射器も含めて新たな調整が検討されていくのだろう。とはいえ現状一部ユーザー間で強い批判も巻き起こっており、動向は注目されるところだ。

『HELLDIVERS 2』は、PC(Steam)/PS5向けに配信中だ。