HDD大手メーカー、なんと「読み書き速度4倍」となる新技術発表。お値段急騰中のSSDの“代わり”を目指す

HDDのパフォーマンスと容量を両立する新技術が発表され、注目を集めている。

Western Digital(以下、WD)は2月3日、米国ニューヨークにて「WD Innovation Day 2026」を開催した。そこではHDDのパフォーマンスと容量を両立する新技術が発表され、注目を集めている。

HDDはPCやサーバーの記憶装置として用いられるパーツだ。アクチュエータに繋がったアーム上のヘッドが、高速で回転する円盤上を動くことで、データを読み書きする仕組みとなっている。その安さから、主に大きなデータを保存する用途などで採用されている。

Image Credit: Western Digital on YouTube

一方、速度の面ではSSDに軍配が上がり、コンシューマー向けPCではメインのストレージとしてSSDを搭載することが主流となっている。たとえば現在一般に普及しているPCIe 4.0対応のM.2 NVMe SSDでは、読み書きで7000~8000MB/秒程度の速度が出るのに対し、HDDの速度は一般的には200~300MB/秒程度。技術の進歩とともに年々性能は上昇しているものの、ストレージの容量の増加傾向に対して、その速度上昇傾向は緩やかになっているようだ。

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今回WDは「WD Innovation Day 2026」にて、そうした従来までのHDDの弱点を改善するための2つの新技術を発表。公式ブログでより詳細な解説がおこなわれた。一つ目の技術は、アクチュエータが載る回転軸を対角にもう一つ配置する「Dual Pivot Technology(DPT、デュアルピボッド技術)」だ。これにより、読み書き速度は従来製品の最大2倍になるという。アクチュエータを2基搭載するデュアルアクチュエータ技術自体は2020年前後から存在し、製品化もされていた。一方でデュアルピボット技術においては、回転軸(ピボット)を2つに分割。アクチュエータを2箇所に分けて配置することで、ディスク間の間隔を詰められるという構造上のメリットがあるとのこと。より多くのディスクを搭載することができるようになるため容量の増大にもつながり、パフォーマンスと容量の両立を実現しているわけだ。

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そして2つ目は、複数のトラック上の複数のヘッドで同時に読み書きができるようにする「High bandwidth drive technology(HBDT、高帯域ドライブ技術)」だ。従来のHDDではトラック追従の難しさから、多数搭載されているヘッドのうち、同時に動作させられるヘッドは1つだったという。これに対して、トラックの追従精度を向上させることで、複数のヘッダを同時に動かすことに成功。消費電力を上げることなく速度を向上させられるそうだ。現時点では2つのトラックへの同時アクセスによって最大2倍の速度向上が可能だといい、将来的には8つのトラックにまで拡張し、最大8倍への帯域幅を確保することができるそうだ。

前述したDPTとHBDTを組み合わせることで、従来の4倍にあたる1.2GB/秒もの読み書き速度を達成。これまでSSDが担っていた領域にまで用途を広げることを目指しているとのこと。なお、WDはこの新技術を採用したHDDについて、AI学習などをおこなうデータセンターをターゲットとしているが、今後一般向けにも活用が進む可能性はあるだろう。

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ちなみにHBDTは顧客検証が始まっている一方で、DPTは研究段階にあり、利用可能になるのは2028年との計画が明かされている。これら2つの技術を採用した製品が実際に登場するまでにはしばらく時間がかかりそうだ。

ところで、昨今では半導体メモリ製品の品薄により、SSDの価格が世界的に高騰(関連記事)。こうした状況が深刻化する中では、より安価に大容量をもたらすHDDの需要も高まるとみられる。もしもSSDに匹敵するパフォーマンスを低コストで実現できれば、将来HDDがPCのメインストレージとして採用される未来もあるのかもしれない。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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