「GTA Tokyo」、“かなり乗り気で検討されていた”けどお蔵入りになったとの報道。幻の東京舞台の『GTA』構想
『グランド・セフト・オート(Grand Theft Auto)』(以下、GTA)シリーズでは、過去に「東京」が舞台候補のひとつとして検討されていたことがあるという。海外メディアTime Extensionが元Rockstar Gamesスタッフの匿名証言として伝えている(GamesRadar+)。
『GTA』シリーズは、主にRockstar Games傘下のRockstar Northが開発を手がけてきたオープンワールドクライムアクションゲームだ。主に米国の架空の都市や州を舞台に、犯罪に携わるさまざまな主人公の生きざまが描かれてきた。最新作となる『グランド・セフト・オートVI』(以下、GTA6)は2025年秋の発売を目指して開発中で、同作ではフロリダ州をモチーフとしたレオナイダ州が舞台になるという。『グランド・セフト・オート・バイスシティ』などに登場した、バイスシティを擁する州だ。
今回、海外メディアTime Extensionは『GTA』シリーズにて中止された構想やお蔵入りとなったタイトル・バージョンなどについての特集記事を公開。このなかでは、過去に商標登録などから存在が噂されていた“GTA Tokyo”に関する興味深い情報も伝えられている。
“GTA Tokyo”については、シリーズの販売元であるTake-Two Interactiveにより“GTA Sin City”や“GTA Bogota”といった10種類の商標と共に2003年に米国特許商標庁への登録がおこなわれていた(IGN)。また昨年末には、2022年のハッキングにて流出したとみられる『グランド・セフト・オートV』のソースコードに(関連記事)、PS2向けに“GTA Tokyo”が開発されていた痕跡があるとの主張をするユーザーも現れていた。
そうした“GTA Tokyo”にまつわる情報や噂について、Time Extension はRockstar Gamesのニューヨークオフィスに勤務していたという元スタッフに取材を実施したといい、匿名証言としてその内容を伝えている。元スタッフによれば、2001年10月に『グランド・セフト・オートIII』が発売された直後、Rockstar Games の共同設立者のひとりであるSam Houser氏はプロモーションのために何度も東京を訪れていたという。
Sam氏はシリーズにエグゼクティブプロデューサーとして携わってきた人物。そんな同氏は東京の景色をとても気に入っていたそうで、当時シリーズ作品の舞台として検討されていた都市のひとつだったとのこと。
そのなかでは東京にチームが派遣されて調査が進められ、街の地図が作成され、社会や文化の風刺の効いた物語が展開できるかどうかといったところも検討されたという。しかし東京を舞台にそれらすべてを繋ぎ合わせるのは大変だったそうで、結果として『グランド・セフト・オート』シリーズは第1作に登場した都市であるリバティーシティ、サンアンドレアス、バイスシティを中心に制作されることになったという。
ちなみに元スタッフの証言によれば、先述した2003年の“10種類のGTA”の商標登録については「先に商標を取られないための対策だった」とのこと。“GTA Bogota”などさまざまな商標が登録されたものの、あくまで取られないように取得されただけで実際にその名を冠するゲームの計画があるわけではなかったようだ。
過去の商標登録などからお蔵入りになったのではないかと噂されてきた“GTA Tokyo”。今回匿名証言ながらも、東京を舞台にしたシリーズ作品が実際に検討され、アイデアがボツになった可能性が示された格好だ。
なお、『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』では本物のギャングが声優に起用されるなど(関連記事)、風刺も交えつつ地域の文化や状況などが綿密に表現される点はシリーズの持ち味となってきた。そうした持ち味を失わないために、東京を含めアメリカ国外の都市ではなく、米国内の地域や都市をモチーフとするリバティーシティ、サンアンドレアス、バイスシティを中心に制作される開発方針がとられてきたのかもしれない。
シリーズ最新作『GTA6』では予告トレイラーの段階から、フロリダ州における実在の人物やSNS上の動画などがモチーフと見られる要素が複数ある点が注目されている。久しぶりに登場するバイスシティを含め、どのように現地の文化や状況が反映されているかも、気になるところだろう。
『グランド・セフト・オートVI』は、PS5/Xbox Series X|S向けに2025年秋にリリース予定だ。