『GTA:サンアンドレアス』開発者、「本物のギャングを声優起用したらセリフにめちゃくちゃダメ出しされた」とこぼす。ギャングはそんなこと言わない


Rockstar Gamesで音響ディレクターなどを務めたLazlow Jones氏が海外インタビューにて語ったところによると、『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』(以下、GTA:サンアンドレアス)の開発秘話を紹介。作中の台詞を収録するために採用した“本物のギャングたち”が、当時の台本にダメ出しをして書き直しになったことがあるそうだ。海外メディアGamesRadar+が報じている。

Lazlow Jones氏は、Rockstar Gamesにて『グランド・セフト・オート』(以下、GTA)シリーズや『レッド・デッド・リデンプション』(以下、RDR)シリーズなどに関わってきた人物だ。同氏が初めて携わった作品は『GTA3』であり、以降のシリーズでも声優と作中のラジオ番組の脚本執筆などを手がけてきた。また作中のラジオ番組のほか、『RDR2』では脚本家とオーディオディレクターを務めるなど、Rockstar Gamesの手がけるタイトルに多数貢献してきた人物。同氏は2020年4月に退職し、制作会社Radio Lazlowを経営するかたわら、Rockstar Gamesの共同設立者の一人であるDan Houser氏とゲームスタジオAbsurd Venturesを設立した。

Lazlow氏が6月21日に配信されたKinda Funny Gamesのインタビュー番組で語ったところによると、Rockstar Games時代のゲーム制作においては、ゲーム内のキャラクターの台詞などで特定のアクセントや言語を必要とする場合、実際にその地域まで出向いていたと語っている。同氏が携わった『RDR2』の場合では、ネイティブ・アメリカンのコミュニティで録音するためにニューメキシコ州サンタフェに飛び立ったり、クレオールの人々と仕事をするためにニューオーリンズに旅行したりしたそうだ。加えて同氏は「ニューヨークやロサンゼルスの俳優では、そのアクセントを正しく再現することはできない」とも語り、本物の文化をゲーム内で再現することにこだわって制作したとのこと。

またスタジオのこういった姿勢は 2004 年発売の『GTA:サンアンドレアス』にまでさかのぼるとのこと。アメリカ・カリフォルニア州をモデルとした1992年のサンアンドレアス州を舞台に、黒人ギャングの青年カール・ジョンソン(通称:CJ)が裏社会で成り上がっていくさまを描いた作品だ。同氏いわく『GTA:サンアンドレアス』の開発当時、Rockstar Gamesはゲーム内でのギャングたちの台詞の収録のため、本物のギャングのメンバーを採用し、声を担当させたという。

そこでは当時のギャングたちに台本を見せたところ、「自分たち(本物のギャング)はこんなことは言わない、実際にはこう言う」と猛烈なダメ出しを受けたと明かした。最終的に同氏はギャングたちに、「自分たちが言いそうなことを言ってくれ」と指示したとのこと。そこで受けたフィードバックが、スラングにあふれる『GTA:サンアンドレアス』の台本に反映されているようだ。なお先述のとおりLazlow氏は現在Rockstar Gamesに所属していないものの、携わったさまざまなゲームの中で文化をリアルに再現しようとした自身の仕事について誇りを感じているそうだ。

『GTA:サンアンドレアス』

ちなみにRockstar Gamesが手がける『GTA』シリーズ最新作である『GTA6』の舞台となる架空のレオナイダ州には、フロリダ州マイアミがモデルとなる街「バイスシティ」が登場することが明かされている。トレイラーの映像には、実在の人物やSNS上の動画などがモチーフと見られる要素が複数ある点が注目されており、シリーズ新作でも現地の文化や状況がしっかりと再現されているのかもしれない。