『原神』運営元がチート業者に勝訴、損害賠償額は約1億6000万円。賠償金は「当初の30倍」に
オープンワールドアクションRPG『原神』向けのチートツールを開発・販売していたグループを相手取り、運営元HoYoverseを擁するCOGNOSPHEREが昨年カナダにて提訴していた件について、勝訴していたことが明らかになった。COGNOSPHERE側の法律事務所DLA Piperが12月5日に公表している。
本件は、『原神』のゲーム内にてスキルなどのクールダウンをなくしたり、スタミナを無制限にしたり、無敵にしたりといった不正行為を可能とするチートツールを巡るもの。被告の開発グループは、7日間7.99ドル(約1200円)、30日間19.99ドル(約3000円)のサブスクリプション形式にて、チートツールを販売していたとされる(関連記事)。
COGNOSPHEREは昨年11月28日に、チートツール開発・販売グループを相手取り、カナダの連邦裁判所にて提訴。著作権侵害や著作権法に反する技術的保護手段の回避行為などについて訴え、損害賠償金の支払いなどを求めた。その後裁判所では非対面にて審理が進められ、グループのひとりであるJoaquin Soriano被告に対し、今年11月25日に判決が言い渡された。なお、グループのほかのメンバーについては、未だ身元が判明していない模様である。
COGNOSPHERE側の法律事務所DLA Piperの発表によると、判決ではSoriano被告らによる著作権侵害行為が認定され、150万カナダドル(約1億6000万円)の損害賠償金の支払いが命じられたとのこと。また被告には、さらなる権利侵害行為を禁じる命令も下されたという。さらに裁判記録によると、被告らが所有・管理している、違反行為にかかわる製品やデバイス、技術などの、原告COGNOSPHEREへの引き渡しも命じられたとされている。
『原神』においてCOGNOSPHEREは、これまでにリーク情報を扱うSNSアカウントやコミュニティに対する取り締まりを続けてきた。そして今回、チートツールについての対処に乗り出した格好だ。被告となったグループに対して同社は、再三にわたり警告をしていたものの、一時的な対応のみで活動をやめなかったことから裁判に発展。結果として大きな代償を払うこととなった。
本訴訟においてCOGNOSPHERE側は、5万カナダドル(約540万円)以上の損害賠償金の支払いを求めたが、判決ではその30倍の金額の支払いが命じられた。DLA Piperは、このような多額の賠償金は、権利侵害行為に手を染めようとする人への抑止力になるとし、そうした行為には重大な法的な結果が待っていることが証明されたとコメント。また今回、ゲームの開発者やユーザーの努力や公正なプレイを阻害し、不正にアドバンテージを得ようとする者に対して、訴訟を起こす筋道を確立できたとした。
『原神』は、PC(Epic Gamesストア/HoYoPlay)PS5/PS4/Xbox Series X|S/iOS/Android向けに、基本プレイ無料にて配信中だ。