老舗米ゲームメディアGame Informerが“いきなり”廃刊。編集スタッフも「寝耳に水」で怒り隠せず

GameStopは、同社が刊行しているゲーム雑誌「Game Informer」について、日本時間8月3日、廃刊することを発表した。

GameStopは、同社が刊行しているゲーム雑誌「Game Informer」について、日本時間8月3日、廃刊することを発表した。また海外メディアKotakuが伝えるところでは、現地時間の8月2日に突然閉鎖が伝えられたようで、関係者も困惑や怒りを隠せないようだ。

Game Informerはアメリカで販売されている、月刊のゲーム雑誌だ。内容としては最新ゲームや業界関連情報、レビューや考察記事など、幅広いトピックを取り扱っていた。同誌は1991年8月に創刊。今年で刊行33周年となる。2011年には発行部数800万部を突破し、全米で3番目に購読されている雑誌となっていた。Webサイトも1996年から運営が開始されていた。なお出版はアメリカにてビデオゲームやゲーム関連製品、家電製品などを取り扱う小売業者のGameStopが担当していた。


そんな長い歴史をもつGame Informerだが、日本時間8月3日に突如公式サイトと公式Xを更新。「The Final Level: Farewell(最終ステージ: 別れ)」として、33年の歴史に幕を閉じることを発表した。

この閉鎖にあたっては、関係者も寝耳に水だったようだ。Kotakuの関係者への聞き取りによれば、現地時間の8月2日金曜日、Game Informerのスタッフは、親会社にあたるGameStopの人事統括本部長との会議に呼び出されたようだ。この会議の中で、Game Informerが即時廃刊となり、刊行に携わっていたスタッフの全員が解雇され、そして退職金の支給がおこなわれると伝えられたという。このことが告げられたとき出張中のスタッフもいたというところからも、この出来事の唐突さがうかがえる。

突然の廃刊には、関係者も怒りを隠せない模様。コンテンツディレクターのKyle Hilliard氏は、次号にあたる368号が7割程度完成しており、すでに表紙も決まっていたと明かした。そしてそれが日の目を見ないまま突然の閉鎖となったことに悔しさをにじませている。また元動画プロデューサーのBen Hanson氏は、GameStopと同社のCEOであるRyan Cohen氏に対し、「Fuck you」と直接的な言葉で怒りを表明している。


この廃刊に関しては、親会社であるGameStopの業績不振が関係していると思われる。GameStopは2000年代からアメリカ以外に展開するゲームの小売業者や、オンラインメディアを続々と買収していた。一方でゲームの小売業としては、ダウンロードソフトの台頭もあり2016年にはホリデーシーズンの売り上げが約16%減少し、株価も16%下落。2017年にはマイクロソフトがXbox Game Passを発表したことで株価が8%下がるなど、事業の拡大と世界的なトレンドの転換により、苦境に立たされていた。

そうした流れもあってか、GameStopは2019年に全従業員の約14%にあたる120名規模のレイオフ(一時解雇)を実施し、2022年にも従業員をレイオフしていた。また今年についても、その規模は非公開ながら、従業員のレイオフを実施すると予定していたようだ。Game InformerもこのGameStopの不振を受け、閉鎖の判断に至ったのかもしれない。

近年、海外におけるゲーム開発会社、ゲームパブリッシャーのレイオフや閉鎖といったニュースがたびたび報じられている。今年ではマイクロソフトのレイオフにともない、Tango Gameworksなどが閉鎖されたことが記憶に新しい(関連記事)。こうしたレイオフの流れはいまだに継続しているようで、海外におけるゲーム業界の苦境は、制作側だけでなく、メディアや小売店といった側にも波及しているようだ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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