米連邦取引委員会、偽レビューやレビュー爆撃などを取り締まる規制を発効。「AI生成など架空レビュー売買」も「お礼で釣る好評依頼」も「SNSフォロワー売買」もダメ

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米連邦取引委員会(Federal Trade Commission、以下FTC)は10月22日、ウェブ上の不正ユーザーレビュー対策などを盛り込んだ、新たな規則(Rules)を発効したと発表した。この規則変更では、企業などによる「好評/不評レビューの購入」といった行為を禁止。ほかにも、オンラインレビューの真正性を保護するさまざまなルールが盛り込まれている。

FTCは、米国における商業活動を監督する機関。反トラスト法(いわゆる独占禁止法)などに基づき、企業などによる不正行為がないか、監視・抑制する組織だ。今回FTCが新たに発効した規則は、今年8月に内容が最終決定されたものとなっている。

FTC委員長であるLina Khan氏は8月、同規則についての背景をSNS上で説明。消費者がオンラインレビューを頼りに、製品を比較したり購入したりしている現状に触れ、企業による不正レビュー行為が消費者を騙し、公正な事業者に損害を与えるとした。そうした状況を防止するための規則が、今回発効されたわけだ。

Khan氏の今回のSNS投稿では、規制変更によって禁止された行為が解説されている。まずは「偽レビューや“お客様の声”などの作成・売買の禁止」が明示された。対象となっているのは、AI生成の架空人物によるレビューや、製品に触れたことがない人物によるレビューなど。そうしたレビューを作成・販売する行為も、購入することも禁止。企業内のスタッフにレビューをさせたり、偽物と知りながら“お客様の声”を広めることも禁じられている。

続いては、「好評/不評レビューの購入」が禁じられている。この規則では、企業がユーザーに向けた報酬や動機づけを使い、特定の感情を示すレビューをさせる行為を禁止。明示的にであれ暗黙であれ、報酬を“エサ”に好評・不評のレビューをおこなわせる行為が禁止される。

こうしたルールにより、Amazonといった通販サイトなど、ウェブ上で横行する偽レビューの作成・売買が明確に禁止されることとなる。また、金券や割引などと引き換えに好評レビューを依頼する行為も禁止となった。そして、好評レビューのでっちあげだけでなく、不評レビューを投じさせるネガティブキャンペーンのような行為も禁止となったわけである。ほか、「内部関係者であることを秘匿したレビュー」「脅迫などによる不評レビューの削除強制」「SNSのフォロワー数の売買」などさまざまな不正行為が新たに明示的に禁止された。

なお、ユーザーレビュー機能をもつSteamは昨年、同プラットフォームでの不正レビュー行為について明確に禁ずるようガイドラインを改定。偽レビュー行為や、レビュースコアの作為的な操作を禁止とした(関連記事)。ゲーム販売プラットフォームの周辺でも、不正レビュー行為は問題となっているわけだ。

FTCが今回発効した規則は米国内向けであり、あくまでも一般個人ではなく主に事業者・企業を対象としたものだろう。しかし、こうして悪質業者への包囲網が狭まっていくことによる、不正レビューの減少は期待できるかもしれない。