人気拡大中FPS『Splitgate 2』公式が「『CoD』は毎年同じで見分けもつかない」と挑発し、批判を浴びる。公の場+SNSでの二段構え皮肉のせいか
『Splitgate 2』の公式が『Call of Duty(CoD)』シリーズに対する“挑発的な発言”をおこない、波紋を広げている。

デベロッパーの1047 Gamesは6月7日、『Splitgate 2』をリリースした。同作のリリースに際しては、開発者が「Summer Game Fest 2025」に登壇。しかしこの際におこなわれた『Call of Duty』(以下、CoD)シリーズに対する“挑発的な発言”や、その後の公式Xアカウントのポストが波紋を広げている。
本作は、対戦FPS『Splitgate』の続編だ。本作の特徴は、プレイヤーがステージの各所に、入口と出口がつながったポータルを開けることが可能な点だ。敵の背後をとったり、緊急離脱時の退路として使ったりと、さまざまな方法で用いることができる。
また本作ではプレイヤーキャラに、固有アビリティの異なるファクション(クラス)制を導入。戦場を疾風のごとく駆け抜ける「エアロス」、時間を操る「メリディアン」、圧倒的なパワーで銃をぶっ放しながら走り回る「サブラスク」の3種類が用意されている。

本作は2024年7月に発表され、複数回のプレイテストを経ながら先日6月6日についにリリースを迎えた。プレイテスト時に用意されていた4対4のアリーナに加えて、8対8対8のオンスロートに加えて、リリース版では4人ずつの15チームが争うバトルロイヤルモードも実装。基本プレイ無料かつ前作が人気を博していたこともあってか、リリース後には連日ピーク時に約2万5000人の同時接続プレイヤーを集める盛況となっている(SteamDB)。
一方でそんな本作公式の“『CoD』批判”が物議を醸しているようだ。発端となったのは、先日おこなわれた「Summer Game Fest 2025」における、1047 GamesのCEOであるIan Proulx氏の発言だ。同氏は「Make FPS Great Again(FPSを再び偉大にする)」と書かれたキャップを被って登壇。トランプ米大統領が掲げている「Make America Great Again」にちなんだフレーズだろう。
そんな同氏は『Splitgate』シリーズを開発した理由として、『Halo』をプレイしながら育ったこと、そして「毎年代わり映えしない『Call of Duty』に飽き飽きしていた(I’m tired of playing the same Call of Duty every year)」ことなどがあったと説明。『Splitgate 2』への自信をアピールしていた。
一大イベントである「Summer Game Fest 2025」における、『CoD』シリーズへの批判も含んだ大胆な発言は波紋を広げ、同シリーズの開発者も反応。Infinity Wardにてアソシエイトレンダリングアーティストを務めるLukeことLucas Thompson氏はXアカウントにて、「『Splitgate』で“FPSを再び偉大にする”ってさ(”make fps great again” and its splitgate)」とつぶやいている。自身が携わる『CoD』シリーズが批判されたこともあってか、嫌味を込めているのだろう。
ただこの投稿に対して、『Splitgate 2』の公式Xアカウントが反応を見せた。Lucas氏の発言を引用しつつ、「あなたのチーム(Infinity Ward)はどの『CoD』作品を作ってるんだっけ?どれがどれだか区別できない」との皮肉を述べている。続けて同アカウントはユーザー反応に返答するかたちで「煽ったら煽り返されて当然」といった返答を寄せていた。つまりあくまでLucas氏に“反撃”しただけということのようだ。
このことは『CoD』シリーズの情報インフルエンサーなどからも注目され、一部海外メディアで報じられるなど波紋を広げることになった。公式Xアカウントが個人と口喧嘩のようなやり取りを始めたことから「プロ意識に欠ける」といった批判もみられる。そうした状況を受けてか本稿執筆時点で同アカウントの該当の投稿は削除されている。
なお同アカウントはこうした騒動に先だって、先述した「Summer Game Fest 2025」における発言について、Ian氏の声明を投じていた。同氏は謝罪ではないと前置きして、(発言の意図を)明確にしたいとコメント。“政治的な意味合い(political statement)”はない言葉通りの意味で受け取ってほしいとしつつ、現状ではマルチプレイFPSが停滞しているとの見解を示した。あくまで『CoD』は引き合いに出しただけで、『Splitgate 2』にてマルチプレイFPSシーンを勢い付けたいという考えを主旨とする発言だったようだ。
またIan氏が述べた、「『CoD』シリーズが毎年代わり映えしない」との発言自体は一部支持する声も見られる。舞台設定などを変えつつも、ゲームプレイに大きな変化がなくマンネリ化している状況の打破はシリーズの課題としてあるのだろう。ちなみに同シリーズからは本日『CoD: Black Ops 7』が発表。2年連続で『Black Ops』シリーズ作品が展開されることになりそうだ(関連記事)。
とはいえ、Ian氏が公の場で『CoD』シリーズを揶揄する発言をしたことには変わりない。結果として『CoD』シリーズの開発者に嫌味をこぼされ、それに対して『Splitgate 2』の公式Xアカウントが“煽り返し”をしたことは顰蹙を買っている。主に海外のX上では企業の公式アカウントが日本以上に奔放な発言を見せることもあるものの、個人の投稿を引用リポストしてまで反撃するという節度を欠いた対応は問題視されたようだ。
ちなみに『Splitgate 2』については、本件とは別に装飾アイテムの販売価格を巡って物議を醸している状況もあったが、こちらについてはユーザーの批判を受けてすぐさま価格の引き下げが実施された。あわせてIan氏が動画による声明を投じており、改めて本作で“FPSを再び偉大にする”というスローガンに言及。口だけではなく行動する姿勢を見せていくと述べ、その第一歩としてユーザーのフィードバックを反映した価格変更をおこなったと説明した。
リリースにあわせておこなわれたIan氏の挑発的な発言から波紋も渦巻いている本作。先述のとおりさっそく盛況を見せている一方で、販売価格を巡る問題やさっそくチーターが現れていることなどからSteamユーザーレビューは「賛否両論」ステータスとなっている。“FPSを再び偉大にする”という野心のもとで今後どのように運営されていくかは注目されるところだろう。
『Splitgate 2』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに基本プレイ無料で配信中だ。