『ファイナルファンタジーVII リメイク』の戦闘は、“『モンハン』開発経験”がスクエニの技術と化学反応して生まれた。カプコン出身のバトル担当者が、海外メディアに明かす

『ファイナルファンタジーVII』のリメイクシリーズにてバトルディレクターを務める遠藤皓貴氏が、同シリーズの戦闘システムの開発経緯などを海外メディアのインタビューで明かした。

ファイナルファンタジーVII』(以下、FFVII)のリメイクシリーズにてバトルディレクターを務める遠藤皓貴氏が、同シリーズの戦闘システムの開発経緯などを海外メディアのインタビューで明かした。独特な戦闘システムが生まれた背景には、同氏のカプコン時代の経験も活かされていたようだ。

『FFVII』のリメイクシリーズにおいては、グラフィックがフル3Dに刷新され、ターンベースだった戦闘がデフォルトではアクションベースにがらりと変化。全3部作となる予定で、現在『FFVIIリメイク』および『FFVIIリバース』の2作品がリリースされている。

リメイクシリーズにてバトルディレクターを務めるのが遠藤皓貴氏だ。同氏は元カプコンで『モンスターハンター3(トライ)』のプランナーなどを務めたほか、『モンスターハンター:ワールド』のリードゲームデザイナーを担当した経歴をもつ人物。スクウェア・エニックスへの入社後すぐに『FFVIIリメイク』のバトルディレクターを担当し、『FFVIIリバース』にも引き続きバトルディレクターとして携わっている。

『ファイナルファンタジーVII リバース』


そんな遠藤氏に向けて、海外メディアInverseが取材を実施。このなかでは『FFVII』リメイクシリーズにおけるバトルシステムの開発秘話が語られている。まず、同氏が『FFVIIリメイク』の開発に参加したのは同作の開発初期だったそうだ。アクションベースの戦闘システムとなることはすでに決まっていたものの、具体的には定まっていなかったという。

遠藤氏は『FFVIIリメイク』の戦闘システムを構築するにあたり、『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズのほかのタイトルを参考にしすぎないようにしたと述べる。リメイクとして新たな可能性を広げられるように、偏りのないフラットな目線をもつための方針だったそうだ。

そうした中でリメイクシリーズの独特な戦闘システムが生み出された背景には、先述した遠藤氏の経歴があるようだ。『モンスターハンター』シリーズでさまざまなアクション要素に携わって蓄えてきた知識に、スクウェア・エニックスがもつ独自の技術やスキルが組み合わさり、“化学反応(chemical reaction)”が生じたとのこと。つまり『モンスターハンター』シリーズにも『FF』シリーズにもないような、新たなシステムが生まれたということだろう。

『FFVIIリメイク』および『FFVIIリバース』には、溜まるとアビリティや魔法などを発動できるATBゲージや、仲間にコマンドで指示を出せる『FF』風のシステムも存在。一方で操作キャラの切り替えも可能で、その際にはキャラが扱う武器ごとにがらりとアクション性が異なる仕組みもある。アクションをベースにしつつも回避やカウンターだけでは立ちいかず、戦略や知識も重要といった、独特な戦闘システムといえるだろう。そうしたシステムは、遠藤氏のカプコン時代の経験も活かされつつ構築されたようだ。


ちなみに過去の公式動画「シナリオ×ワールド×バトル 『ファイナルファンタジーVII リバース』 こだわりの掛け算と限界への挑戦」においても、リメイクシリーズでの戦闘システム開発の裏側が語られていた。こちらの動画でリメイクシリーズのディレクターを務める浜口直樹氏が伝えたところによると、『FFVIIリメイク』においてはバトルの「気持ちよさ」がどうしても上がらず、全体的なバトルのクオリティをもう一段引き上げるためにしばらく苦戦していた期間があったという。

浜口氏によると、そうしたなかで遠藤氏がチームに合流し、同氏が半年ほどで解決したのだという。ちなみに当時遠藤氏の加入について開発チームでは「カプコンから凄い人が来る」「アクションマスターが来る」といったニュースになっていたそうで、噂に違わぬ手腕で当初の課題が解決されたわけだろう。カプコンで同氏が培ったアクションゲーム作りのノウハウが活かされたこともうかがえる。ちなみに遠藤氏によれば、本作のアクションだけではない戦略性もある戦闘システムが作られた背景には、オリジナル版『FF7』の持ち味を残す狙いのほか、ちょうど転職したタイミングということもあり新しいことをやりたいという想いもあったという。

オリジナル版から大きく仕組みの変わった『FFVII』リメイクシリーズの戦闘システム。独特なシステムが構築された裏には、カプコン出身のアクションゲーム作りの専門家といえる遠藤氏の貢献があったようだ。“化学反応”から生まれたというリメイクシリーズの戦闘システムが、シリーズの最後を飾る第3作でどのような進化を遂げるのかも注目されるところだろう。

『ファイナルファンタジーXVI』


ちなみにスクウェア・エニックスには同じくカプコン出身の鈴木良太氏も在籍。カプコン時代には『ドラゴンズドグマ』第1作などに携わったほか、『デビル メイ クライ 5』のゲームデザイナーを務めた人物であり、スクウェア・エニックスでは『ファイナルファンタジーXVI』にてコンバットディレクターを担当した。同作も従来のシリーズから打って変わってアクション性のある独特な戦闘システムが特徴。実績のある開発者を迎え入れつつ、アクション性という新たな息吹がもたらされているのは近年の『ファイナルファンタジー』シリーズの注目点と言えそうだ。

ファイナルファンタジーVII リバース』および『ファイナルファンタジーXVI』はPS5/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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