格闘ゲームの祭典「EVO Japan」新メイン種目『ヴァンパイアセイヴァー』では「ガード不能禁止」ルールあり。ただし“申告制チャレンジ”風ルールに
「EVO Japan 2026」では、『北斗の拳』『ヴァンパイアセイヴァー』について特定のバグ技の使用の禁止を明言している。特に『ヴァンパイアセイヴァー』では“申告制”のルールも定められており、話題となっている。

Evolution Championship Series(EVO)は12月10日、「EVO Japan 2026」および「EVO 2026」のメイントーナメント種目を発表した。それぞれ種目ごとのレギュ―レーションやエントリーページの公開などがおこなわれているが、特に初めて「EVO Japan 2026」のメイントーナメント種目となった『北斗の拳』『ヴァンパイアセイヴァー』のレギュレーションがにわかに注目を集めている。
EVOは、アメリカで1995年に開催された「Battle by the Bay」を前身とする、世界最大級の格闘ゲーム大会だ。同大会は『ストリートファイター』や『鉄拳』『THE KING OF FIGHTERS』といった数々の格闘ゲームタイトルの大会として毎年夏に開催されるほか、日本では「EVO Japan」として春先に開催されている。そんな「EVO」について、本日12月10日に配信された「The 2026 Evo Announcement Show」にて、2026年に開催される「EVO」および「EVO Japan」のメイントーナメント種目となるゲームタイトルが発表された。
特に「EVO Japan」では『北斗の拳』が初めてメイントーナメント種目として採用(関連記事)。『ヴァンパイアセイヴァー』については“本家EVO”でもメインタイトルとして採用された。『北斗の拳』は2005年に、『ヴァンパイアセイヴァー』は1997年にリリースされたゲームであり、現行最新機種ではない作品のメイントーナメント種目化は話題を呼んでいた。そんな両作品について、レギュレーションが公開され、話題を呼んでいる。

『北斗の拳』は武論尊氏、原哲夫氏による同名タイトルの漫画「北斗の拳」を原作とした格闘ゲームだ。「AC北斗」の愛称でも親しまれており、高難度ながらスタイリッシュなコンボなどや、極端ともいえるゲームバランスといったユニークさで、今でも根強い人気を誇る作品。一方『ヴァンパイアセイヴァー』はカプコンからリリースされた格闘ゲームで、吸血鬼や狼男などといった、伝承上の怪物がプレイアブルキャラとなっていることが特徴。タイミングよくボタンを押すことで攻撃が繋がる「チェーンコンボ」や、攻撃してきた相手を押し返す「アドバンシングガード」を採用していることも特徴のひとつだ。
まず『北斗の拳』のトーナメントにおけるレギュレーションとしては、使用する基板の指定や、ゲームプレイ時の設定のほか、「シンの無敵バグ、レイのスライドバグ、時止め、その他ゲーム進行を妨害するバグ」を禁止する条項が設けられており、これらを使用した場合は失格になる旨が伝えられている。
シンの無敵バグは「ムテキング」とも呼ばれる、打撃の喰らい判定が無効になるバグのことだ。コンボから特定の行動を実行することにより、当身技や投げ以外の技が効かなくなるといった強力なバグ技となっている。またレイのスライドバグは「バグ昇龍」と呼ばれるもので、必殺技「南斗撃星嚇舞」の発動にあわせ特定入力をおこなうだけで、永久に攻撃がヒットし続ける技となっており、コミュニティ大会では「ムテキング」、そしてキャラの操作が不能になるバグ(時止め)とあわせ、長らく使用禁止バグとして指定されていた。それが「EVO Japan」のメイントーナメント種目となっても変わらず、禁止項目として指定されているかたちだ。

※画像は『カプコン ファイティング コレクション』収録版
また「EVO Japan」では『ヴァンパイアセイヴァー』のレギュレーションでも、特定技によるガード不能バグをレギュレーションで禁止している。具体的には「ザベルのジャンプ小K持続重ねによるガード不能を相手が行動不能時(起き上がり、吹き飛び)に重ねる事」を禁止している。
ザベルはオーストラリア出身のパンク・ロック歌手のゾンビだ。しゃがみながら移動ができ、技のリーチが長いことが特徴。発生が早い技も持ち合わせるなど、各種優秀なキャラながら、攻撃をガードできなくなる「ガード不能」な技を持ち合わせている。
ザベルのジャンプ小K(キック)については攻撃発生時から6F目(フレーム、6/60秒目)を当てることでガード不能になるというバグが存在している。また行動不能時にジャンプ小Kを重ねるとガード不能が可能になる猶予が1F分延長される。厳密にはガードする側のテクニックによりガードすることができるタイミングも存在しているものの、その対策の難易度は高く、凶悪な攻撃手段として名を馳せていた。

とはいえ、コミュニティ大会では広く認知されているとしてこのバグの使用を許容することもあった。実際にサイドトーナメントとして開催された「EVO Japan 2025」などでは、ルールとしてガード不能バグの制限がないことが記されており、ザベルのガード不能も名指しで使用可能とされていた。
ところが今回メイントーナメント種目となるにあたって、このガード不能バグを相手が行動不能時に使用する行為のみがレギュレーションで明確に禁止された。これは相手側の申告によってジャッジされることとなるといい、ジャッジによって「バグを行動不能時に使用した」と認められればザベル側選手が1ゲーム負け。一方使用していないと認められれば申告した側が1ゲーム負けとなる。
『北斗の拳』『ヴァンパイアセイヴァー』については20年以上前にリリースされたゲームであり、現行最新タイトルと異なり、アップデートによる対応は不可能。そうした状況においてゲームプレイ上の禁止行為として、スポーツのような“反則行為”として対応するのは興味深い。とはいえ、特にザベルのバグに関しては申告があるごとにジャッジが判断する必要があり、録画なども必要になるだろう。こうした対応により判断の困難さなどから、大会進行の遅延につながるといったことも懸念されている。いずれにせよ「EVO Japan」における『ヴァンパイアセイヴァー』については、これまでコミュニティ大会などでは許容されることもあったバグが禁止行為として追加されたことで、特に注目を集めているかたちだ。
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