Epic Gamesストアでのゲーム・アプリの販売手数料、なんと無料化へ。年間売上約1億4000万円までは手数料タダ
Epic Gamesは5月2日、Epic Gamesストアでの販売手数料を6月より変更することを発表した。あわせてEpic GamesストアWebshopsなる仕組みも導入予定。

Epic Gamesは5月2日、Epic Gamesストアでの販売手数料を6月より変更することを発表した。アプリごとに、年間売上100万ドル(約1億4500万円)に達するまでは手数料が無料となる。
Epic Gamesストアは、オンラインゲームストア/プラットフォームだ。『フォートナイト』やゲームエンジン「Unreal Engine」の開発元Epic Gamesが運営している。ユーザー向けには毎週ゲームを無料配布する施策などがおこなわれている点が特徴。また販売者向けには販売手数料の安さがアピールされており、Steamなどが採用する業界水準30%よりも安い12%となっている。UE使用者向けにはさらに手数料は安い。
今回、Epic Gamesストアでの販売手数料が6月より変更されることが告知された。アプリごとに、年間売上100万ドル(約1億4500万円)に達するまでは手数料が無料。100万ドルに到達後に、従来どおり収益の12%の手数料が発生するようになるという。
さらに6月には、Epic GamesストアWebshopsなる仕組みも導入予定。Epic Gamesストア上で、開発者が自分のウェブショップを開設できる新機能だ。EUおよび米国のiOSなどサードパーティーのサイトへの誘導が禁止されていないプラットフォームでは、ゲーム内からウェブショップに誘導してデジタル販売をおこなうことが可能になるそうだ。Epic Gamesは「AppleやGoogleなどが過度に高い手数料を課しているアプリ内課金に代わる、よりコスト効率の良い手段」として、ウェブショップでプレイヤーにアプリ外課金を提供できるとしている。またEpic GamesストアWebshopsで購入したユーザーは、すべての購入に対して5%のEpic Rewardsを獲得できるという。
なおEpic GamesストアWebshopsが導入される背景には、Epic GamesとAppleの間で争われている裁判における裁判所の新たな決定があるとみられる。米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は2021年9月、Appleに対してアプリ開発者が外部の決済手段にユーザーを誘導することを禁じるガイドラインを撤廃するよう、永久的差止命令を出していた(関連記事)。その後のAppleによる控訴も認められず、2024年1月に差止命令の発効が確定することになった。
ただ、米国のApp Storeではサードパーティーのサイトへの誘導自体は解禁されたものの、実質的に制限されている状況もあった(関連記事)。そうした中で今年4月30日に同裁判所は、Appleが差止命令に故意に従わなかったと厳しく指摘。新たな永久的差止命令を即時発行した。そしてすぐさま今回のEpic GamesストアWebshops導入が告知された格好だ。なおApple側は、裁判所の命令は遵守するとしつつも、上訴する方針であることを明らかにしている(The Verge)。今後の動向は注視されるだろう。
いずれにせよ、6月からEpic Gamesストアでは「年間売上100万ドル以下のゲーム・アプリの販売手数料の無料化」と「Epic GamesストアWebshops」という2種類の新施策が展開される。業界水準となっている30%の販売手数料に対抗する野心的な方針がうかがえ、今後Epic Gamesストアがシェアを拡大していくかどうかも注目される。