『ディスコ エリジウム』開発元ZA/UMの新作『C4』発表、「失敗」を楽しめるスパイ活動RPGに。“ディスコ エリジウム 2”は目指さない

ZA/UMは3月11日、『C4』(コードネーム)を発表した。スパイ活動やチーム構築要素のある、これまでにないようなジャンルのRPGになるという。

デベロッパーのZA/UMは3月11日、新作スパイスリラーRPG『C4』(コードネーム)を発表した。あわせてメディア向けプレゼンテーションが行なわれ、その内容を海外メディアEurogamerなどが伝えている。

『C4』は、新たなジャンルを定義するRPG(next genre-defining RPG)と銘打たれている。スパイ活動やチーム構築要素があり、独創的ながらも親しみやすい舞台設定で物語が繰り広げられるという。


メディア向けプレゼンテーションでもゲームプレイに関する詳細は明かされていないながら、この作品にかけた“哲学”が開発陣によって深く語られている。プレイヤーは大きな権力に仕える中で、対立に満ちた世界を舞台にその真実や秘密を探っていくことになるが、その中で中心的な役割を果たすのは「心(mind)」だという。物質世界に対してときに脆弱で、ときに強力である「心」をどのようにコントロールするかというのが本作の重要な要素とみられる。また、「失敗」というのも同じく重要なテーマであり、他の作品であれば否定されるような失敗でも、本作においてはプレイヤーの選択として正当化されるとのこと。ここには「スパイ活動に失敗は付き物だ」という開発者たちの思想が表れているようだ。セーブとロードを繰り返さずとも、失敗を楽しめるようなゲームになるという。

本作はダイスロールの仕組みを取り入れたサイケデリックSFになるとのこと。ダイスロールについては、同スタジオの人気作『Disco Elysium(ディスコ エリジウム)』でも採用されていたシステムだ。前述の本作に込めた開発思想を踏まえると、ダイスロールをプレイヤーの選択や運命とどのように結びつけるのかというコンセプトが垣間見えるかもしれない。

また、ZA/UMのライターSiim “Kosmos” Sianamäe氏が公式発表の前に報道陣に対して語ったところによると、本作を同スタジオの過去作『ディスコ エリジウム』の続編にするつもりはなく、全く新しい作品を作るために尽力してきたという。ZA/UMのメンバーが最も夢中になっているテーマである「諜報」を3年間という時間をかけて研究してきたそうだ。同スタジオは影響を受けた作品をいくつか紹介しており、イギリスの小説家ジョン・ル・カレのスパイ小説や、フランスのスリラーTVドラマ「Le Bureau」などが挙げられた。

ZA/UMは前述の通り高い評価を受けた『ディスコ エリジウム』の開発元として知られるスタジオだ。しかし、同スタジオは内部での係争が次々と報道されてきた。2022年には主要開発スタッフが突然不当に解雇されたとして、同スタジオを相手取った訴訟を起こしている(関連記事)。さらに、同スタジオの元スタッフらによる新しいスタジオが次々と設立。また先日には『ディスコ エリジウム』に携わったという開発者が、同作の「精神的後継作」を発表している(関連記事)。

そのような経緯もあり、『C4』は『ディスコ エリジウム』とは異なる座組で開発されることになるとみられる。テーマも違う作品となるようで、続報にも注目したい。

『C4』は現在開発中。リリース日や対象プラットフォームは未定だが、米国・サンフランシスコにて来週3月17日より行なわれるGame Developers Conference(GDC)にて詳細が発表される。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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