テック系人気ゲームメディアDigital Foundry、なんとIGNから独立。メディア業界が“激変”する中での決断として

ゲームの技術解析系メディアDigital Foundryは8月7日、親会社IGN Entertainmentから独立したことを発表した。

海外メディアDigital Foundryは8月7日、親会社IGN Entertainmentから独立したことを発表した。

Digital Foundryは、ゲームの技術解析で有名なメディアだ。Richard Leadbetter氏によって発足したチームを前身としており、Eurogamerの一部門のようなかたちで知名度を上げていった。またYouTubeチャンネルは、現時点で登録者数148万人を誇る人気チャンネルとなっている。動画や記事にて、さまざまな技術解析動画をおこなってきたメディアだ。

そんなDigital Foundryは、Gamer Network傘下のメディアであった。Gamer Networkはイギリスに本拠を置く企業で、傘下にはGamesIndustry.bizのほかEurogamerやRock Paper Shotgun、VG247、Dicebreakerといったゲームメディアを抱えている。Gamer Networkの親会社はReedPopであったが、昨年5月、アメリカの大手メディア企業Ziff Davis傘下のIGN Entertainment(以下、IGN)に買収されたことが報じられた(関連記事)。


これに伴ってDigital Foundry もIGN傘下で活動してきたものの、Richard Leadbetter氏は今回独立に至ったことを報告している。同氏によると、長年にわたってDigital Foundry は独立を目指してきたが、ReedPop傘下の体制では自社株を買い取るかたちでの独立が不可能だったという。しかしIGNが親会社となったことで交渉が可能となり、同社の持ち株の売却を提案してくれたそうだ。Richard氏にとって人生最大の買い物であり、具体的な金額こそ言えないものの家よりも高額だったとのこと。さすがに個人では全額を賄えず、Gamer Networkの創設者であり元CEOでもあった投資家のRupert Loman氏も共同出資者になってくれたそうだ。

なおRichard氏はそこまでして独立した狙いとして、昨今のゲームメディア業界の激動を挙げている。同氏は、記事がSEOに依存する状況や、Google検索のAI要約機能によるクリック数の減少など、大手メディアほど前例のない課題に直面していると説明。Digital Foundryとしてはそうした“ゲーム”に加わらず、派手な見出しやサムネイルではなく中身の質にこだわってきたとのこと。築き上げてきたブランドを守り、ゲーム技術の過去・現在・未来を最先端で紹介するというビジョンをより明確に実現するため独立に至ったという。

今後もYouTubeチャンネルでの動画投稿や配信は継続されるほか、実機映像を交えたレトロ分野の動画など、協力者を増やしてレパートリーも広げていくことを検討中だそうだ。このほかPatreonにて支援者も募られている。

海外を中心にゲーム業界に厳しい状況があったなかでは、欧米の大手ゲームメディアのレイオフ、突然の売却なども報じられていた(関連記事1関連記事2)。Googleの変化やネットワーク広告単価の低下なども含めてメディアの体制も変容を見せるなか、独立という思い切った決断をとったDigital Foundryの今後は注目される。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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