見えないものの存在が消えるRPG『CASSETTE BOY』来年1月15日発売。「ある」かどうかは視点で変わる、“シュレディンガー式”ワールド

Pocketpair Publishingは12月8日、『CASSETTE BOY(カセットボーイ)』を2026年1月15日に発売すると発表した。本作は“見えていないものが存在しない”世界で繰り広げられるRPGだ。

パブリッシャーのPocketpair Publishingは12月8日、国内のゲーム開発会社ワンダーランドカザキリが手掛けるパズルアクションRPG『CASSETTE BOY(カセットボーイ)』を、2026年1月15日に発売すると発表した。対応プラットフォームはPC(Steam/Nintendo Switch/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S。コンソール版はForever Entertainmentより発売予定である。価格は1480円。Steamではデモ版が配信中だ。

『CASSETTE BOY』は、“画面に映っているかどうか”が世界の在り方を決めるパズルアクションRPG。2Dドット絵風の見た目ながらステージは3D構造で、プレイヤーはマップを回転させることで道を生み出したり障害物を消したりしながら、進行ルートを構築していく。

物語の舞台は、“見えていないものは存在しない”という特別な法則で動く不思議な世界。画面に映っていない物体は存在が確定せず、鉄球やモンスターまでもが姿を消す。そんな世界で、プレイヤーは突如失われた月を取り戻すため旅立つ主人公を操作し、崩壊の危機にある世界の真相へと迫っていく。本作の発想の源には、「私が見ていないとき、月は存在するのか?」と問いかけた量子力学の観測問題があるとされ、その思想が世界設定全体の土台となっている。

最大の特徴は、視界の有無によって世界の状態が変化する「シュレディンガーシステム」だ。『CASSETTE BOY』の世界は一見2Dドット絵風だが、実際には立体的な3D構造になっており、プレイヤーはマップを回転させながら進んでいく。画面に映っていない物体は“存在しないもの”として扱われ、さっきまで進路をふさいでいた障害物や、目の前にいたモンスターさえも、視界から外れた瞬間に消えてしまう。逆に、画面内に入れれば通路や足場が現れ、先へ進む道が開ける。本作はこの視界操作による状況変化を軸としたパズル要素に加え、モンスターとの戦闘や武器の入手を含むRPGとしての手触りも備えているのだ。

あわせて、寄り道として遊べる要素も複数用意されている。開発元によれば、作中に登場するゲーム機ではミニゲームがプレイ可能で、特定の場所からはランダム生成ダンジョンに挑戦できるという。メインとなるパズル×RPGパートに加えてこうしたコンテンツを加えることで、より長く世界を歩き回れる構成を目指しているとのことだ。

「シュレディンガーシステム」をはじめとした本作の独自性は、インディーイベントにおいても早い段階から注目を集めてきた。国内最大級のインディーゲームイベント「BitSummit Awards 2024」にて大賞を受賞し、ビジュアルデザイン部門最優秀賞にもノミネート。さらに「東京ゲームショウ2024」では、厳選されたインディータイトルのみが並ぶ「Selected Indie 80」に選出されている。国内インディーシーンで評価を積み重ねてきた作品であり、今回ついに発売日が正式発表されたかたちだ。

本作の開発を手がけるワンダーランドカザキリは、2015年にデザイン会社とシステム会社の統合によって生まれた日本のスタジオだ。過去にはローグライクRPG『ダンジョンに捧ぐ墓標』や、ダンジョンメーカー『BQM ブロッククエスト・メーカー Remastered』などを手がけてきた。いずれも2Dドット絵風の見た目を採用しつつ3Dのフィールドで展開されるゲームとなっており、同スタジオの持ち味ともいえるこのスタイルは、『CASSETTE BOY』でも採用されているようだ。なお『CASSETTE BOY』においては、代表の譽田潔氏が企画・プログラム・アート・サウンドなど、開発の全行程を一人で手掛けており、個人制作タイトルとしても大きな注目を集めている。

また本作のPC版のパブリッシングを担当するのは、『パルワールド』や『クラフトピア』で知られる国内スタジオ・ポケットペアによるレーベル「Pocketpair Publishing」。同レーベルは2025年に立ち上げられ、責任者はポケットペアのコミュニケーションディレクターJohn Buckley氏が務めている。

一方、コンソール版のパブリッシングを担当するForever Entertainmentは、ポーランド・グディニアに拠点を置くゲーム開発・パブリッシングスタジオであり、各種コンソール向けの移植作やクラシックタイトルのリメイクを数多く手がけてきた。

『CASSETTE BOY(カセットボーイ)』は、PC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに2026年1月15日発売予定。Steamストアページではデモ版も配信中。

Junya Shimizu
Junya Shimizu

ローグライクが大好きです。映画や海外ドラマも好きなので、常に時間に追われています。

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