ゲームスタジオBungie、200名以上の大規模人員削減へ。“元スタッフ”らは「CEOやめろ」と強く批判


Bungieは8月1日、スタジオの従業員の約17%に相当する220名を人員削減すると発表した。同スタジオでは昨年10月末にも約100名のレイオフが実施されたことが報じられており、新たに大規模な人員削減がおこなわれるかたちだ。

Bungieは、米国に拠点を置くデベロッパーだ。かつて『Marathon』『Halo』といったFPSゲームを手がけ、現在は『Destiny 2』を開発・運営している。また、現在は前述の過去作品と同名のPvP脱出シューター『Marathon』を開発中。2022年7月にはSIEにより36億ドル(買収合意発表時の為替レートで約4140億円)での買収が完了。その買収金額の1/3が、Bungieにおける人材維持のために投入されるとも発表されていた。


今回、Bungieにて従業員の約17%に相当する220名を人員削減することが発表された。同スタジオCEOのPete Parsons氏の声明によると、幹部やシニアリーダーといった役職も人員削減の対象になるという。

声明では、『Destiny 2』新コンテンツとリブート版『Marathon』を並行して開発するにあたって、スタジオの規模を拡大せざるを得なかったと言及。しかし2023年には、業界全体の不景気や、『Destiny 2』のDLC「光の終焉」の品質面の失敗が重なっていたという。一方では『Destiny 2』のDLC「最終形態」とリブート版『Marathon』の品質を担保しながら開発するために開発期間も必要となり、野心的すぎる経営により赤字状態になっていたとのこと。ほかのあらゆる選択肢を検討してきたものの、スタジオの事業や経営をより現実的に見直した結果、苦渋の決断として今回の人員削減に至ったという。

声明では人員削減の影響を受けるスタッフ全員に最大限の配慮をもってサポートをおこなうとされている。退職金、ボーナス、健康保険を含む退職パッケージが提供される予定だそうだ。

また、Bungieでは本日以降「大きな変革(major changes)」に取り組んでいくとも伝えられている。まず同スタジオはSIEとの事業統合を強化し、今後数四半期の間にスタジオの約12%にあたる155名のスタッフをSIEに統合していくという。この方針により、今回の人員削減の規模も抑えることができたとのこと。またPlayStation Studios内に新スタジオを設立し、SFの世界観をもつ完全新作アクションゲームを打ち出す計画も明かされた。SIEとの提携を深めながら、新たな展開を進めていく方針のようだ。


Bungieでは昨年10月末にもレイオフが実施されたことが報じられていた(関連記事)。ソニーによるPlayStation関連部門全体への人員削減の一環とされ、IGNによれば、レイオフの規模は約100人に及んだという。

二度目のレイオフという背景もあってか今回の人員削減の発表を受けて、Bungieのスタッフや“元スタッフ”から経営陣への批判も集まっている。グローバルコミュニティリードのdmg04ことDylan Gafner氏は「許しがたいことだ(Inexcusable)」として今回の決定を批判。影響を受けるスタッフにできるかぎり支援するよう要請している。

元Bungieで現在はSecond Dinnerにて『Marvel Snap』のシニアコミュニティマネージャーを務めるGriffin Bennett氏は「経営陣は人員削減の責任を負わないのか」と問いかけつつ批判。同氏の在籍時の経験からか、ボーナスを控えるだけで済ませるのではないのかと指摘している。さらにリーダーシップが欠けているために開発者に影響が及んでいるとして、Pete Parsons氏に「Retire(辞めろ)」と厳しく批判。また同じく元BungieのコミュニティマネージャーであったLiana Ruppert氏も「Step down, Pete.(ピート辞めろ)」と発言しており、二度目の人員削減には元Bungieスタッフからも強い批判が集まっている格好だ。


なお海外メディアKotakuは今回の人員削減に際して、Pete Parsons氏が高額クラシックカーに230万ドル(約3億4000万円)もの大金を費やしているといった報道をおこなっている。クラシックカーの取引サイトBring A Trailerにて、同氏とみられるアカウントが複数の車を購入しているとの推察だ。そうした報道も、上記のような批判を呼び起こしているのかもしれない。

このほか解雇されることが初耳だと報告するスタッフもみられ、突然の決定に衝撃も広がっている。Bungieの声明どおり、影響を受けるスタッフらに手厚いサポートがおこなわれるかどうかも注目されるところだろう。