大ヒット・ロシアンルーレットゲーム『Buckshot Roulette』最初のバージョンは”約2か月半”で開発、しかし苦労やお蔵入りアイデアもあった。開発者が明かす裏話いろいろ

『Buckshot Roulette』を手がけるインディーゲーム開発者のMike Klubnika氏が海外掲示板Reddit内で「AMA(Ask Me Anything・なんでも聞いて)」企画を実施。さまざまな質問が寄せられている。

Buckshot Roulette』を手がけるインディーゲーム開発者のMike Klubnika氏は11月7日、海外掲示板Reddit内で「AMA(Ask Me Anything・なんでも聞いて)」企画を実施した。スレッドには多くの質問が寄せられており、開発秘話などが明かされている。

本作はショットガンを用いたロシアンルーレットで勝負するゲームだ。実弾と空の弾薬がさまざまな数のバランスでランダムに装填されており、プレイヤーとディーラーが交互に、弾が実弾だと思うなら相手に向けて、空の弾薬だと思えば自らに向けて引き金を引いていく。プレイヤーとディーラーにはそれぞれ体力が存在し、被弾を重ねどちらかの体力が尽きればラウンド終了となる。

また本作にはアイテムが存在。体力を回復するタバコや、ショットガンの砲身を切って威力を2倍にするノコギリなどがある。ディーラーの手持ちアイテムも参考にしながら、戦略的にアイテムを駆使して相手を出し抜くのだ。本作に向けて11月1日に実施されたアップデートではついにマルチプレイモードが実装。最大4人での対戦も可能になった。


『Buckshot Roulette』の開発者であるKlubnika氏は11月7日、海外掲示板Reddit上でAMA(Ask Me Anything)企画を実施。パブリッシャーのCRITICAL REFLEXのコミュニティチームとともに、ユーザーより寄せられた質問に回答している。

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byu/dustycassettes from discussion
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Klubnika氏がゲームを手がけるにあたって開発期間はどれほどかかったのか、という質問については、「どのゲームも平均して1か月から2か月ほど」と前置きしつつ、『Buckshot Roulette』については「2か月と2週間」かかったと回答。同氏にとって比較的長く開発期間が取られたゲームとなったようだが、それでも200万本以上の売上を誇るゲームとして、この短さは注目に値するだろう。

また開発にあたってのインスピレーション元としては、『ハーフライフ』のユーザー制作Mod「Afraid of Monsters」や『サイレントヒル』『Postal 2』などが挙げられている。特に「Afraid of Monsters」冒頭の洗面台のシーンは、『Buckshot Roulette』シングルプレイ冒頭部分にも強く影響を及ぼしているようだ。かねてより開発においては『Inscryption』や『Hotline Miami』に影響を受けたことを語っていたが(関連記事)、今回は主にゲームの雰囲気などの観点から、新たにインスピレーション元の作品が明かされたかたち。


Klubnika氏はほかにも、ゲーム開発エンジンGodotについて触れている。Godot Engineは、PC/モバイル/Web向けゲームおよびアプリを制作できる2D/3Dゲームエンジン。オープンソースとして提供され、完全無料で利用可能だ。『Buckshot Roulette』がGodotで開発されていることは以前に伝えられていた。Klubnika氏は「もっとゲームを作る予定はあるか、そしてそれらはGodotで作られるのか」といった質問について、「どちらもその通りだ(Yes and yes.)」との答えを返した。

なおGodotはUnityやUnreal Engineに比べると、いくつかささやかな問題があるとKlubnika氏は述べている。しかしながら同氏はGodotを絶賛し「It’s a really good engine.(本当にいいエンジンだ)」との感想を残している。同氏は以前Unityを3年近く使っていたことを挙げつつ、今回きりでなくGodotも同様に、数年ほど使い続けるだろうとの見解を示した。


そして先日のアップデートで追加されたマルチ対戦の開発においては、テーブルのデザインが一番の難関だったと振り返っている。Klubnika氏いわく、アイテムのスロットが8つ、アイテムを取り出すケース、除細動器のカウンター(体力表示)などをシングルプレイのデザインに近づけつつ4人プレイに落とし込むことを目指していたものの、初期バージョンでは席が離れすぎてしまっていたとのこと。これを解消するためにテーブルを小さく設計しなおしているようだ。

本実装された現バージョンでは、代わりにアイテムの枠が小さく設計。アイテムやカウンターなどと重なるようになっており、シングルプレイのようにハッチから綺麗にアイテムを取り出せなかったという。そのためショットガンを置く場所をやや高めに作り、ラウンド間ではアイテムを垂直に回収するアニメーションとしたそうだ。数々の工夫の結果、こぢんまりとしたテーブル上でも4人対戦が実現したのだろう。


今回はKlubnika氏によって『Buckshot Roulette』における開発秘話などが明かされたかたち。同スレッドではこのほか実装予定だったアイテム「コイン」やノコギリのデザイン変更など、さまざまなこぼれ話も伝えられている。気になった方は、英語であるものの、スレッドを覗いてみるのもいいだろう。

ちなみに本AMA企画内では、Klubnika氏が手がける作品『Terminal Compression』について「一般公開はいつになるのか」との質問がおこなわれた。同氏によると今年中に公開されるとのこと。またCRITICAL REFLEXのコミュニティーマネージャーMistalleks氏によれば、今後『Buckshot Roulette』に向けて、マルチプレイへのカスタムルールの導入も検討しているようだ。さらなるアップデートも待ち構えているようで、『Terminal Compression』の一般公開などとあわせて、続報にも期待されるところだ。

『Buckshot Roulette』は、PC(Steam/itch.io)向けに配信中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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