『Balatro』開発者、思わぬ大ヒットに「実名を出してなくてよかった」と安心する。これからもゲームはひっそり作りたい
Playstackよりリリースされているローグライクデッキ構築ポーカーゲーム『Balatro』。本作を手がけたLocalThunk氏に向けて海外メディアGQがインタビューを実施した。インタビューでは同氏の『Balatro』に対する思いや、本作をリリースしてからの生活の変化などが明かされている。
『Balatro』はトランプのポーカーを題材にしたデッキ構築型ローグライクゲームだ。開発はLocalThunk氏が手がけている。本作ではデッキからカードを8枚引き、そこから最大5枚選択してポーカーの役を作る。役やカードの種類によってスコアを得られ、規定ラウンド数以内でステージクリアに必要なスコアを稼ぐこととなる。
本作は「The Game Awards 2024」の複数部門にノミネートされ、「Best Debut Indie Game」をはじめとして計3部門を受賞した(関連記事)。また本日からは、『ショベルナイト』や『Cult of the Lamb』などとのコラボカードが実装される無料アップデート「Friends of Jimbo (Pack 3)」が配信されている。
本作を手がけるのはカナダの個人開発者であるLocalThunk氏。海外メディアGQ は「The Game Awards 2024」に先駆け、同氏に対しインタビューを実施した。
このなかではたとえば「『Balatro』がいい作品になるかどうかをどうやって判断したのか」という質問に対して、LocalThunk氏は特に意識していなかったことを返答。同氏はもともとゲーム制作を趣味としており、作品を数多く作りつつも公にすることはなかったという。本作のプロトタイプも「いいゲームを作ろう」と意気込んで制作したものではなく、趣味で作ったゲームのひとつだったそうだ。しかしこのプロトタイプをプレゼントした友人から数か月後、「20~40時間ほど遊んだ」という感想が送られてきたとのこと。同氏は思わぬ評価に驚いたそうだ。ちなみに本作のプロトタイプは、「Card Game」というネーミングだったという。
『Balatro』はその後2024年2月にリリースされ、LocalThunk氏の友人による評価だけでなく、数多くのユーザーから高い評価を獲得し、一躍人気作品となった。一方LocalThunk氏はその制作者として「これ以上注目されたくない」と考えているようだ。同氏は自身の人生を「できるだけシンプルにしておきたい(as simple as possible)」そうで、自身の実生活の情報やアイデンティティに紐づかない「LocalThunk」なる名前を決めた過去の自分に感謝しているという。
さらにLocalThunk氏は、『Balatro』の成功によって人生が素晴らしく変化し、感謝もしているとコメント。ただ、本作が成功したことを残念に思う気持ちもあるという。同氏にとってゲーム制作は「エネルギー充電」のためであり、あくまで趣味だったそうだ。そのためふたたび趣味の一環で新たなゲームを手がけたい想いもあるという。次回作についてはまだ考えていないものの、誰にも見せずにデスクトップフォルダにしまっておく、自分だけのためのゲームを制作して気分転換をしたいともこぼしている。
一方でそんな同氏は、『Balatro』が一般向けにリリースした初めての作品だったこともあり、ゲームのリリースには大きなストレスもあることを思い知ったとコメント。『Balatro』のアップデートを手がけつつも、趣味として新作も開発したいというジレンマに陥っていることを明かしている。『Balatro』は大きな成功をおさめたものの、同氏のライフスタイルを良くも悪くも変えてしまった側面があるようだ。
今回インタビューによって、LocalThunk氏のゲーム制作に対する向き合い方が明かされたかたち。なお、ひとりでひっそりとゲームを制作していた頃を懐かしむような発言もみられたものの、同氏は現在配信中の『Balatro』については、今後もアップデートを続けていく意向を示している。詳細は明かされなかったものの、ジョーカーを増やすほか、ゲームプレイに変化をもたらすアイデアの実装を考えているそうだ。こちらの続報については、引き続き注目が寄せられる。
『Balatro』はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android/iOS向けにダウンロード版が現在配信中。Nintendo Switch/PS5向けにはパッケージ版も販売されている。