人気ローグライトポーカー『Balatro』開発者、「ギャンブルゲームには絶対利用させない」と断言。ギャンブル化するのが嫌すぎて遺言書にまで書いたと報告


パブリッシャーのPlaystackがリリースし、大好評を博したデッキ構築ローグライク『Balatro』。そんな本作を手がけるLocalThunk氏が、『Balatro』がギャンブルゲームになってほしくないあまりに、遺言書にまでその旨を記載したようだ。GamesRadar+などが報じている。

本作はLocalThunk氏が手がけた、トランプのポーカーを題材にしたデッキ構築型ローグライクゲームだ。デッキからカードを8枚引き、そこから5枚選択してポーカーの役を作る。役やカードの種類によってスコアを得られる。これを繰り返し、規定ラウンド数以内でステージクリアに必要なスコアを稼ぐのだ。ジョーカーカードやタロットカードといった、スコアを高めるための要素が存在しており、シナジー効果をどんどん高めて膨大なスコアを稼ぐゲームプレイが特徴だ。


本作は今年2月にPC(Steam)/PS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One向けにダウンロード版がリリース。発売から1か月で100万本を売り上げるなど、大成功を収めている。

そんな『Balatro』について8月6日、とあるユーザーが「陰謀論(conspiracy theory)」として、X上で「本作は若い世代をカジノに引き込むためのプロパガンダ(psyop)だ」と発言。ジョークなのか本気なのかは不明ながら、本作がポーカーをテーマに用いている点などの“ギャンブルっぽさ”を揶揄した発言ともとれる。


この投稿に対しLocalThunk氏が反応。『Balatro』が「真の意味でギャンブルゲーム(true gambling game)」になるのは絶対に嫌だという立場を表明した。ギャンブルを奨励しているといった考えに対して、強く反論したかたちだろう。

加えてLocalThunk氏は、最近遺言書を作成した際に、『Balatro』のIP(知的財産権)をいかなるギャンブル会社やカジノに販売・供与しないように定めたという。またこの内容を遺言書に定めるにあたっては、弁護士などの専門家が確認、対応してくれたとのこと。このことによって、将来LocalThunk氏が亡くなった後でも、『Balatro』が“ギャンブルゲーム”に転用されることはないようだ。


ちなみに本作では、一時期日本を含む一部地域でNintendo Switch/PS版が配信停止されるなど、購入不可となる事態が生じていた。これはダウンロードゲーム・アプリを専門とするレーティング団体IARCのレーティング区分において、当初全年齢対象にあたる「IARC: 3+」でリリースされたものの、突如「IARC: 18+」に変更されたためだった(現在はSwitch版が再度購入可能)。このレーティングの変更にあたっては、目立つギャンブルの画像(Prominent Gambling Imagery)が含まれるためとされていた(関連記事)。

一方でLocalThunk氏はかねてより「ポーカーをまったく遊ばないし、あまり興味もない」と伝えており、『Balatro』におけるポーカー要素は、あくまでテーマの統一性をもたせるためのモチーフにすぎないとの考えを以前から明かしていた(関連記事)。そのため同氏や販売元としては、本作の賭博性については意図したところではなかったようだ。

そんなLocalThunk氏が今回遺言書を作成してまで「『Balatro』をギャンブルには使わせない」と断言したことで、注目されている様子だ。改めて同氏が『Balatro』に賭博性をもたせたくない姿勢も垣間見える一幕かもしれない。

『Balatro』はPC(Steam)/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One向けに、ダウンロード版が現在配信中。Nintendo Switch/PS5向けパッケージ版が10月24日発売予定だ。