人気ケモノARPGで“ケモノスリム化疑惑”が生じ、一部豊満ケモノ好きに大混乱広がる。しかし開発元が超スピード対応、むしろもっとふくよかに
Kiseff氏は日本時間6月2日、早期アクセス中のゲーム『ATLYSS』に向けアップデートを配信。同作については、モデルの見た目変更疑惑などを通じ、一部ユーザーによる騒動があった。

個人デベロッパーのKiseff氏は日本時間6月2日、早期アクセス中のゲーム『ATLYSS』のアップデートを配信した。さまざまなアップデートの中には、キャラクタークリエイト画面とモデルの改善がある。このアップデートの裏側には、一時コミュニティが混乱に陥るほどの騒動があったようだ。GamesRadar+が伝えている。
『ATLYSS』は擬人化されたかわいらしい動物キャラクターが活躍する3DアクションRPGである。プレイヤーは近接戦闘に長けた「Fighter」、魔法を操る「Mystic」、遠距離攻撃が得意で素早い「Bandit」から好きなものを選択し、それぞれ違ったスタイルのゲームプレイを楽しめる。戦闘はスピーディーで、相手をスタンさせる技を使う戦略性や、パリィのようなテクニカルな要素も存在。キャラクターのコミカルな動きも相まって、高い評価を獲得してきた。本稿執筆時点でのSteamユーザーレビューは約1万4000件、そのうち97%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。

そんな『ATLYSS』が高い評価を受けている理由の一つに、キャラクタークリエイトがある。身長や身体の横幅はもちろんのこと、腕や脚の筋肉量、マズルの長さなど、非常に細かなパラメータを設定できる。ベースとなる種族は5種類、悪魔のような水棲種族「Imp」、哺乳類に似た「Poon」、爬虫類に似た「Kubold」、鳥類に似た「Byrdle」、げっ歯類に似た「Chang」である。かわいらしい動物キャラクターの見た目にとことんまでこだわれる点がfurries、いわゆるケモナーと呼ばれるような、熱狂的なファンに愛される結果につながっている。
『ATLYSS』の開発はKiseff氏が個人でおこなっている。コミュニティからのフィードバックを受けながら柔軟に続けられており、専用のDiscordサーバーでの意見交換が活発におこなわれているほか、Patreonで定期的な支援をおこなっているプレイヤーは開発版にいち早く触れることもできる。そんな中、5月下旬に開発版へ向け加えられた調整を理由に、一部ユーザーが反応した。ユーザーによれば、キャラクタークリエイトにて、ボディ幅を決めるスライダーの上限がわずかに小さくなり、キャラを豊満にできなくなったとの主張がされていた。

実際にはキャラクターモデルの変更により、お腹が小さく見えるようになっていたようだが、いずれにせよ開発版では以前ほどキャラクターの見た目について、丸みを帯びた、豊満なボディにできない状態となっていた。これを理由にコミュニティの一部からは反発が巻き起こった。開発版での変更であり、まだSteam版への本実装に至っていないにも関わらず、一時はSteamストアページにネガティブなレビューが投じられるといった混乱も生じた。
Kiseff氏は混乱が生じてから間もない5月21日に「Regarding all this(今回の件すべてに関して)」という声明を発表。声明の中で同氏はコミュニケーション不足やアップデートに時間がかかっていることを謝罪するとともに、モデルの見栄え変更は決定事項ではなく、必ず修正すると述べた。
また、混乱のもととなった開発版はもともと公開するつもりがなく、開発中の問題を整理するために一時的に公開したものだったとも説明している。つまり、一時的に公開したに過ぎない開発版の「見栄え変更」がRedditなどのSNSを通じて拡散され、キャラメイクにおける“スライダー上限変更疑惑”として一部ユーザーが過激に反応した、というのが実態のようだ。


そして日本時間6月2日、『ATLYSS』のアップデートが配信された。キャラクタークリエイト画面の刷新がおこなわれ、すべてのキャラクターモデルがより丸みを帯び、やわらかく、ギザギザ感のないものに改善された。一連の騒動を受けてか、キャラクターの見た目サンプルとして「もっとも痩せたもの」「もっとも太ったもの」も紹介されている。furriesも大満足の内容だったのだろう、すでに事態は収束しているようだ。開発段階の些細な変更が呼んだ今回の騒動からは、小規模開発におけるユーザーコミュニティとのコミュニケーションの難しさも垣間見える。
『ATLYSS』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。