ゲーム開発者が「グラフィックよりアートディレクションが大事」として自作品をアピールする流れが大賑わい。“超豪華3D”じゃなくても美的に見せる

ゲーム開発者がX上で、「Art direction > Graphics」としつつ自分の作品を紹介する流れが賑わいを見せている。各々が自信のあるスクリーンショットなどをアピールしている模様だ。

Xにて「Art direction > Graphics」との文言と共に、ゲーム開発者が自分の作品を紹介する流れが賑わいを見せている。“グラフィック品質よりもアートディレクションの方が重要”といった考えに基づき、開発者各々が自信のあるスクリーンショットなどをアピールしている模様だ。

今回流行を見せている「Art direction > Graphics」という考えは、一部ゲーマーなどから根強く支持を受けてきた様子がみられるアイデアだ。ハイポリゴンの3Dモデルといった大きな開発リソースを要する高品質なグラフィックそのものよりも、美的な芸術表現や個性の際立つデザインテーマを実現するための全体的なアートディレクションが重要だとする見方だろう。

そうしたアイデアにちなんで、インディー開発者を中心に自分の作品を紹介する流れがにわかに賑わっている。発端と見られるのは、Xユーザーのchosen undead氏の9月12日のポストだ。投稿では『ダークソウル3』のさまざまな場所を映し出したTikTok動画が紹介されており、同作での美しくも独創的な、多彩なロケーションが確認できる。


そして、2016年発売の『ダークソウル3』をchosen undead氏が唱えた「Art direction > Graphics」という考えは改めて共感も呼んでいる様子。約8年前に発売された作品ながら世界観の表現力や芸術的な画作りの上手さなどが2024年の現在でも称賛されているかたちだろう。

この投稿を受けて、開発者たちが自分の作品のアートディレクションのこだわりをアピールする流れが生まれ、賑わいを見せている。たとえばゲームライター生活サスペンス『APARTMENT STORY』の開発者Sean Wenham氏や(関連記事)、2.5Dのポイント&クリックADV『Phoenix Springs』を手がけるCalligram Studioのほか、カートゥーン風のFPS『The Explorator』を手がけるRemnant games studioなど(関連記事)。開発中の作品がさまざま紹介されている。


また高評価サイバーパンクFPS『SPRAWL』や、先日9月12日に発売されたばかりのオープンワールド探索ゲーム『Caravan SandWitch』の公式Xアカウントなど(関連記事)、発売済みの作品もこだわりのアートスタイルをアピールする機会になった様子。それぞれ大きな予算をかけた3Dグラフィックではないとみられるものの、手描きアニメ風のグラフィックやローポリゴンなどで、特徴的な世界観や作風が巧く表現されている。限られた予算や人員、時間の中で工夫しながら画作りがおこなわれているのだろう。キャラクターや背景・環境、UIなども含めてアートワークでこだわったり、シェーディングやライティングといったポストプロセスを活用したりするのもそうした方策のひとつかもしれない(関連記事)。


なお、「Art direction > Graphics」という考え自体は、ゲーム開発において常に意識されているかどうかは疑問符のつくアイデアかもしれない。今回の賑わいの発端となった『ダークソウル3』も2016年の発売当時の作品と比較すれば、3Dグラフィック面でもかなり高品質な部類であり、予算や人員を割かずに作られたわけではないだろう。また同作に限らず、グラフィックとアートディレクションのどちらか一方を重視するというより、目指すアートスタイルを実現するためにグラフィック面もこだわりをもちリソースを割きながら各作品は開発されていると考えられる。

とはいえ、たとえば大きな予算が注がれた美麗な3Dグラフィックのゲームの方が、“見栄え”の面で注目されやすい傾向もある。そうした状況に対抗するかのように、今回はインディー開発者を中心に、大規模開発級のグラフィックでなくとも、アートディレクション次第では美しい画作りができるとアピールされている格好だ。アートスタイルにこだわりのありそうな多種多様な作品が紹介されているため、興味のある人は「Art direction > Graphics」とするXポストをチェックしてみるといいかもしれない。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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