『アークナイツ:エンドフィールド』で“繰り上がり対応加算機”が発明される。集成工業システムはとうとう「足し算可能」に

『アークナイツ:エンドフィールド』の集成工業システムを利用し、桁の繰り上げにも対応した加算器の作成をおこなったユーザーが登場した。

HypergryphおよびGRYPHLINEが手がける『アークナイツ:エンドフィールド』(以下、エンドフィールド)にて、桁の繰り上げにも対応した全加算器を作成したユーザーが登場し、注目を集めている。

『エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけるHypergryphの3Dリアルタイム戦略RPGだ。巨大ガス惑星タロスの衛星「タロII」を舞台として、プレイヤーである「管理人」は、同衛星の開拓を進めていく。「管理人」はエンドフィールド工業の伝説的存在であるものの、記憶を失ってしまっている。そのため自身の足跡を追いつつこの星を巡るさまざまな脅威や陰謀に立ち向かうことになる。本作はアクションRPGの側面を持ちつつ、一方では「集成工業システム」として展開される工場建設ゲーム的側面も本作の持ち味だ。

集成工業システムにおいては、消費アイテムなどを作成可能な生産ラインが構築可能。さまざまな設備や物資を運ぶベルトコンベア、液体を運ぶパイプなどを駆使し、プレイヤーの自由に図面を組み立てられる。なお、図面の共有機能も存在しており、渾身の“作品”は他人と共有したり、便利な生産ラインを素早く適用することも可能だ。

そんな中、集成工業において全加算器を作成したユーザーが登場。全加算器とは桁の繰り上がりに対応した加算を実行、出力できる論理回路。本来は工学分野などに用いられる演算装置ながら、本作の集成工業に応用されたかたちだ。発明者であるフォンセ氏は2月17日、集成工業システムを用いて、2進数で何桁でも足し算が可能な加算器を作成したと報告した。

なおフォンセ氏は1月26日時点ですでに半加算器を作成していた。半加算器とは、下の位からの繰り上がりには対応せず、単に2つの数の和を求めるものだ。半加算器では蕎花の種がベルトコンベア上を流れている場合を1、流れていない場合を0として管理していた。

一方で全加算器では青鉄製ボトルが1、高晶製ボトルが0とアイテムの種類で1/0を区別するようになった。そのため出力のラインではそれぞれのボトルが並び、その順番で数値が表現されている。出力を表すラインにアイテムが順に並んでいく方式を採用したことにより、理論上何桁でも加算の結果が確認可能となっているわけだ。

今回、そんな加算器の作成に成功したフォンセ氏に話を伺うことができた。加算器作成にあたっての裏話や、同氏が注目している“仕様”などを訊いている。以下にその内容を記載する。

――フォンセさんは『マインクラフト』でもレッドストーン回路などを手がけていらっしゃったようですが、今回『エンドフィールド』にて全加算器を作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。

フォンセ氏:
そこにチューリング完全(※)なシステムがあったからです。

※計算完備とも呼ばれる。仮想の計算機モデルにあたる「万能チューリングマシン」と同等の計算能力を保持し、ほとんどすべての計算が可能なことを指す。本作以外にもゲーム内の仕組みによってチューリング完全な計算モデルを作れるタイトルはあり、『マインクラフト』や『マリオメーカー』、『マジック・ザ・ギャザリング』などが挙げられる。

――全加算器作成にあたって一番ネックとなった点はどこでしょうか。

フォンセ氏:
工業設備を置ける場所は限られていて、普段使いしている工業ラインを端っこに寄せたり配置を色々変えたりと、範囲内に収めるのに苦労しました。またコンベアを流れるアイテムを使って計算を行うのですが、アイテムの流れる速度が遅いので検証に都度時間がかかるのも大変でした。

――過去合流/分流器などや協約貯蔵箱に関する遅延や優先順位の仕様を発見されたようですが、そうした要素はどのようにして見つけていらっしゃるのでしょうか?

フォンセ氏:
工業設備に合流器を直付けすると出力に優先順が付く現象はYouTubeの動画で初めて知りました。これは色々なものに使えるぞと思い、自分でもこの現象が起こる配置や条件などを試しました。何がその現象に影響を与えるか分からないので、とにかく色々な可能性を考えて何度も検証して見つけました。

――ところで、自作/他人作に関わらず、「これは面白そう」と思った仕様、あるいは回路などはありますでしょうか。

フォンセ氏:
鉱物を2つのラインに流して、片方のラインを加工機械に通すと一見同時に流れているように見えますが、実はちょっとだけ加工機械を通したほうが遅延している、という仕様があります。そのため、加工機械を通していないアイテムと見かけ上同時に他の設備に入力しても加工機械を通した鉱物が後に処理されることになります。優先順やタイミングをより細かく制御できるポテンシャルがあると思い面白そうだと感じています。

また他人の手がけた図面では、時計を作っている方がいて、ビジュアル的にもインパクトがあり面白いと思いました。

――『エンドフィールド』にてさらに実現したい回路はありますでしょうか。

フォンセ氏:
武陵エリアからは液体要素が追加され、液体を使ったレシピやコンベアより流れる速度が速いという特徴があるので、これを使ってなにか作れないかなと考えていますがまだ具体的には思いついていません。実用性皆無のロマンに溢れたものを作りたいです。

――ありがとうございました。

『エンドフィールド』では、集成工業システムを利用したさまざまな生産ライン、そして回路の研究が日夜行われている。その方向性は多様で、生産ラインの省スペース化や“省電力化”が実施されてきたほか(関連記事1関連記事2)、論理回路の作成まで実現したユーザーが登場(関連記事)。弊誌でもそうした集成工業システムの“研究者”をたびたび取り上げてきた。

今回、その中でもついに「計算」の分野にまで進出したユーザーが登場したかたちだ。ゲームの攻略や効率化とは異なる方向にもユーザーの創造力が発揮されていることもうかがえる。本作で設備を配置できるエリアは限られた区域ながら、独自の工夫によって理論上何桁でも加算ができるようになったことは興味深い事実といえる。フォンセ氏によれば、液体を利用した回路の作成も前向きに検討しているようで、今後の回路研究から目が離せなそうだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』はPC(公式サイト/Epic Gamesストア)/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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