『ARK: Survival Evolved』待望の新DLC、発表映像が“生成AIっぽさ丸出し”として困惑広がる。当初の開発元が「もう無関係」と突き放す中で

Snail Games USAは3月19日、オープンワールドサバイバルゲーム『ARK: Survival Evolved』の新DLC「ARK: Aquatica」を発表した。公開されたトレイラー映像が生成AIによって作られた可能性などを巡り、ユーザーの間では賛否の声が飛び交っている。
『ARK: Survival Evolved』は、Studio Wildcardが開発を手がけるオープンワールド恐竜サバイバルアクションゲーム。恐竜が闊歩する広大な島を舞台に、プレイヤーは狩りや素材収集、拠点建築や武器クラフトなどをおこないながら、この厳しい環境を生き抜くことを目指す。島には100種類を超える恐竜や古代生物が生息しており、捕獲し手懐けることが可能。仲間にした生物に騎乗することもできる。ソロプレイのほか、多人数マルチプレイにも対応。発売後もDLCを通じて、多くの追加マップがリリースされてきた。2023年10月には、次世代ハード向けにフルリマスターされた『ARK: Survival Ascended』が早期リリースで配信。続編『ARK 2』についても、度重なる延期がおこなわれているものの現在開発中とされている。

Snail Games USAは3月19日、米国・サンフランシスコにて開催中のGame Developers Conference(GDC)において「ARK: Aquatica」を発表した。同社のウェブサイトによると、「ARK: Aquatica」は水中を舞台にした『ARK: Survival Evolved』向けの新しいDLCだとされている。新たな17種の生物や60個のエングラムなどを含むこのDLCは、『ARK』シリーズの10周年記念アクティビティの1つとして、2025年6月に配信予定とのこと。
発表にあわせて公開されたトレイラー映像では、水中に広がる幻想的な風景とそこに住まう生物たちが映し出されている。プレイヤーがサメのような生き物にまたがって移動する場面なども見られるが、ゲームプレイ映像と思しきシーンは僅かであり、内容についてはまだ不明な点も多い。
この映像に関してユーザーの間では、動画の大部分が生成AIを用いて制作されたのではないかとの疑惑が浮上している。判断される根拠としては、まず「一貫性のなさ」が挙げられている。同じ要素を長時間保ち続けることが難しいという点は、生成AIで作られた映像の特徴の1つとして知られているからだ。たとえば、動画の26秒ごろの水中で銃を発砲するシーンでは、射出後の銃弾が細長く伸びてしまっている。銃を握る左手も不明瞭な描写になっている様子。また39秒ごろの海底火山地帯を泳ぐシーンでは、もともと素足であった部分が徐々にフィンのように変形しているようだ。一見すると幻想的な映像ながら、よく見ると不自然なシーンが散見されるわけだ。さらには、使用されているナレーションが機械音声である可能性も疑われている。

本映像を巡ってはコメント欄および海外掲示板Redditにおける投稿などにおいてユーザー間で物議を醸している様子。10周年を記念するDLCをお披露目するトレイラーながら上述したようにおかしな点が満載であり、生成AIを利用しつつ性急に作られた可能性もうかがえる。一風変わったトレイラーとして、品質に対する揶揄や批判の声も集まっている様子だ。またそもそも生成AI自体が、学習データの権利を巡る懸念などから、一部ユーザーに忌避されている状況もあり、そうした点からも批判されているようである。
なお、『ARK』シリーズの開発を担当するStudio Wildcardは今回の発表に先立ち、本DLCは親会社のSnail Games USAによって開発されており、Studio Wildcardは開発に関与していないとの声明をXにて発信。引き続き、リマスター版『ARK: Survival Ascended』および続編『ARK 2』の開発に専念していることを明らかにした。そのため今回のトレイラーは、Snail Games USAの判断で用意されたのかもしれない。
そんなStudio Wildcardは現在、『ARK: Survival Ascended』の大型DLC「ARK: Lost Colony」の開発も進めており、3月18日には日本のアニメーションスタジオMAPPAとコラボレーションした同DLCのティーザー映像を公開。件の「ARK: Aquatica」のトレイラーに対して、こちらは好意的な反応を得ているようだ。
ところで、リマスター版である『ARK: Survival Ascended』は、リリース当初から最適化不足や多くのバグなどが影響しユーザーの評価を大きく落としたものの、非公式データベースSteamDBによると、現在『ARK: Survival Ascended』は『ARK: Survival Evolved』にも遜色のないプレイヤー人口を維持している。両作ともに新展開が予定されており、今後の盛り上がりも期待されるだろう。特に今回発表された「ARK: Aquatica」についてはトレイラーをきっかけに一風変わった懸念も集まったものの、続報やゲームプレイ映像で懸念を払しょくできるかどうかも注目されるところかもしれない。
『ARK: Survival Evolved』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS4/Xbox One/Nintendo Switch向けに配信中。リマスター版『ARK: Survival Ascended』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに早期アクセスで配信中だ。