「Epic Gamesストアは『Alan Wake 2』の独占販売にこだわり開発元を大損させた」との批判に、開発元が直々に反論。そもそもEpic Gamesのお陰で存在するゲームだとして
Remedy Entertainmentはフェアな取引であったとして、Epic Gamesへの批判に反論している。

『Alan Wake 2』がSteamで販売されなかったことで開発元であるRemedy Entertainmentが“大損した可能性がある”として、ある業界人が同作のパブリッシングを手がけたEpic Gamesを批判。一方で、当のRemedy Entertainmentはフェアな取引であったとしてこれに反論している。
『Alan Wake 2』はRemedy Entertainmentが手がけるサイコスリラー『Alan Wake』の続編。前作とは異なりEpic Games Publishingが販売を担当し、PC向けにはEpic Gamesストアでの独占販売となっている。Remedy Entertainmentの過去作『Control』の3倍にものぼる好調な初動売上が報告されていたものの、発売後約1年間をかけてようやくマーケティング費用を含む開発費が回収されるに至ったという。2024年第4四半期からはRemedy Entertainmentが、売上に対応するロイヤルティ収入を得られているとのこと(関連記事)。

そんな『Alan Wake 2』の売上について、『バルダーズ・ゲート3』の開発元として知られるLarian Studiosのパブリッシングディレクターを務めるMichael Douse氏が触れている。Douse氏は同作がSteamで販売できなかったことにより、Remedy Entertainmentは潜在的に数億ドル(数百億円)の収益を失った可能性があると指摘。そしてその結果として、現在の同社の財政的な厳しさに繋がったようにもみえるとの考えを示した。
Remedy Entertainmentについては昨年6月に発売した新作『FBC: Firebreak』の売れ行き低迷が伝えられており、当時のCEOであったTero Virtala氏が解任される事態となっていた(関連記事)。Douse氏としては、もしSteamで『Alan Wake 2』が販売されて売上を上乗せできていれば、そうした損失も埋め合わせできたかもしれないと考えているのだろう。また同氏は、独占販売にこだわらずSteamでも販売してその取り分を得ていれば、Epic Gamesにとっても開発費の回収以上の収益も得られた可能性があるとして、同社の方針を批判している。
なおこの発言は、Epic GamesのCEOであるTim Sweeney氏の発言を受けたものだ。Sweeney氏は、Epic Gamesストアでの無料配布施策によりSteamでの売上が上がったというあるゲームの話を踏まえ、ユーザーや開発者に選択肢があるのは良いことだと反応。無料配布というかたちで開発者のために収益の再投資を進めているとして、Epic GamesストアがSteamよりも「開発者向け」のプラットフォームだとアピールしていた(関連記事)。これに対してDouse氏は、『Alan Wake 2』のケースを取り上げ、Sweeney氏の発言に懐疑的な姿勢を見せたわけだ。
ただし、そんなDouse氏の発言に向けてRemedy Entertainmentが反論。同社は、Epic Games Publishingがいなければ『Alan Wake 2』は実現していなかったと主張した。というのも同作の開発・マーケティング費用の大部分は、Epic Games Publisingが出資するかたちで賄われた経緯がある(資料pdf)。そもそも同社とパブリッシング契約を結んでいなければ、開発が実現しなかった可能性もあるわけだろう。なお同社によれば、そうした複雑な契約は締結されるまでに通常1年程度はかかり、常に開発者にとってフェアかどうかはわからないとのこと。とはいえ『Alan Wake 2』の契約については数か月しかかからず、かつフェアであったという。Steamがいてもいなくても、Epic Gamesは当時も今も素晴らしいパートナーであるとして、Epic Gamesを擁護した。
ただDouse氏が指摘したように、もしもSteamでリリースされていた場合には同作がより大きな売上を上げていた可能性はあるだろう。たとえばEpic Gamesストアでの時限独占販売を経てSteam展開を果たしたゲーム『Witchfire』の開発者は、インタビューにて開発初期にEpic Gamesからの支援を受けたことで資金難から救われ、スタジオとしての独立性を維持できたと報告。一方でSteamの方がレビューやフォーラム機能など単なる販売プラットフォームではない強みがあり、売上面での優位性があることを示していた(関連記事)。なおSweeney氏も2024年8月、ゲームの独占販売契約についてはその多くが良い投資ではなかったとの見解を述べていた(関連記事)。Epic Gamesストアにおける独占販売の施策は続けられているものの、現状では“Steamより売れない”という課題が開発者とストア側の双方に影を落としているのだろう。

今回はEpic Gamesストアの立場を巡り、異なるスタジオのスタッフ同士がSNSで意見を交わし合うという珍しい状況となった。Epic Gamesストアでの独占あるいは時限独占販売契約による資金でゲームの開発自体が実現されるケースもある一方で、同ストアでのゲームの独占販売については、真に開発者のためとなっているのか疑義を呈する意見もあるようだ。Epic Gamesは無料配布や手数料の引き下げなどの施策を通じてSteamとの差別化をおこなっており、今後シェアを伸ばすなかで“独占販売”が抱える課題が解消されていくかどうかも注目される。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。



