デベロッパーのAggro Crabは11月2日、公式Xアカウントにてポストを投稿。新作の開発資金の確保に苦戦していると明かした。苦戦の背景には開発費の高騰や、海外ゲーム業界の厳しい現状などがあるようだ。GamesRadar+などが報じている。
Aggro Crabはアメリカ・シアトルを拠点とするインディースタジオだ。『Another Crab’s Treasure』などを手がけたことで知られる。『Another Crab’s Treasure』は、ヤドカリが主人公のソウルライクアクションゲームである。プレイヤーは広大な海底を探索しながら敵となるカニなどと戦い、強大なボスに立ち向かう。
同作は今年の4月にリリースされると発売後4日間で10万本を売り上げ、瞬く間に人気を集めた。さらにその後も順調に売り上げを伸ばし、今年の8月には売上が50万本を突破したことが報告されている。またSteamユーザーレビューでは、本稿執筆時点で約1万件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。ゲーム内容も好評を集めている。
そうしたスマッシュヒット作を手がけたAggro Crabではあるが、次回作の開発費の確保に苦戦しているという。Aggro Crabは11月2日、公式Xアカウントにてポストを複数投稿。ポストによると、同スタジオは新作ゲームの開発資金調達に失敗してしまったという。同ポストではパブリッシャーと出資者を募集しており、どうやら次回作に向けた契約がうまくいっていないようである。
同アカウントに寄せられたリプライへの返答によると、『Another Crab’s Treasure』の売上自体は好調で、手元にいくらかの資金はあるという。しかしながらゲームの開発は高価なものであり、また次回作は野心的な作品にする計画でもあるため、新作の開発費をすべてカバーするのに十分な額ではないという。Aggro Crabによるポストでは「2024年は無慈悲な年である(I guess 2024 is really taking no prisoners)」として、嘆きの声も伝えられている。
近年はゲームの開発費が高騰しているとされており、昨年から今年にかけて、特に欧米のゲーム業界では大規模な人員削減やスタジオの閉鎖などが相次いでいる。人気作を手がけた実績のあるインディースタジオにおいてもパブリッシャーが見つからず、レイオフや新作開発の中断などを強いられている事例が複数報告されている(関連記事1、関連記事2)。Aggro Crabによるポストもまた、そうしたゲーム業界の現状を受けたものなのだろう。
なおAggro Crabは先述のポストののち、ゲーム業界よりDMが寄せられたと伝えている。詳細は不明ながら、出資についてなんらかの打診がおこなわれているのかもしれない。Aggro Crabが開発資金を確保し、野心的なものになるという新作の開発が無事に進むことが期待される。
『Another Crab’s Treasure』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Nintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。