元Activision Blizzardのボス、訴えられるも「訴訟に大手ライバル企業が関与している」と“陰謀めいた”主張で反論。「焦って安値でマイクロソフトに売った」との主張を全面否定

マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収に関して提起された裁判における、元Activision BlizzardのCEOの反論が注目を集めている。

マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収は、2023年10月に両社の手続きが完了し、昨年5月には各国・地域の規制当局との争いも終結。一方で、同買収契約のActivision Blizzard側の承認手続きに関して、実は現在も継続している訴訟が存在する。その中で同社前CEOが、この訴訟について陰謀めいた主張をして注目されている。海外メディアGame Fileが報じている。

この訴訟の原告は、スウェーデンの国民年金資産を運用している投資ファンドSjunde AP-Fondenだ。Activisionの株主を代表して買収契約の正当性を問い、Activision Blizzardと当時の同社CEOのBobby Kotick氏、マイクロソフトなどを相手取り、米国デラウェア州衡平法裁判所にて2022年11月に提訴した。

Bobby Kotick氏

マイクロソフトがActivision Blizzardの買収を発表した当時は、Activision Blizzard社内での有害な職場文化や性的ハラスメントの氾濫などについて従業員から告発され、さらに行政機関から訴訟を起こされている状況にあった。CEOを務めるBobby Kotick氏に対しても、そうしたハラスメントなどを黙認していたとの告発があり、退任を求める声が上がっていた(関連記事)。

今回の裁判における原告Sjunde AP-Fonden側の主張は、そうした状況の中でKotick氏が自らの引責辞任を避けるために買収手続きを急ぎ、会社を安値で売却して株主に損害を与えたというものである。なお、買収発表当時にはKotick氏のCEO留任が伝えられたが、その後2023年12月に退職している。

そしてKotick氏は先日1月9日、Sjunde AP-Fonden側の主張に対する反論を裁判所に提出した。海外メディアGame Fileが入手した裁判資料によるとKotick氏側は、本買収においてマイクロソフトは当時の株価に対して45%のプレミアを上乗せした1株あたり95ドル、計800億ドル(約12兆7500億円・現在のレート)の現金を株主に支払った事実を提示。また、この買収契約は全株主の98%に支持されていたとして、株主に損害を与えたという主張を否定した。

さらにKotick氏は、本訴訟を提起したSjunde AP-Fondenの判断に対する疑問も呈している。同ファンドの取締役副会長を務めるEmma Ihre氏が、提訴当時にActivisionと競合関係にあるEmbracer Groupの幹部を務めていた、というのが理由だ。Embracer Groupはスウェーデンに拠点を置くゲーム企業。スタジオやIPの買収を重ねて急成長したことで知られ、THQ NordicやPLAION、Crystal Dynamicsなどを傘下に持つ。

Kotick氏は、Emma Ihre氏がEmbracer GroupのPR&コミュニケーションチームに抜擢された2日後に本訴訟が提起されたとした上で、労働環境に関する問題はEmbracer Group内にも存在したが、ActivisionやRiot Gamesなどの競合企業に当局の注目を向けることで、自らは処分を免れることができたと主張。そして、原告とEmbracer Groupの関係性に触れ、原告は独立性と公平性を持って提訴したのか疑問があるとした。

なお、Embracer GroupはGame Fileの取材に対し、Activisionと競争するにあたってスウェーデンの年金基金からの支援を必要としたことはないとし、Kotick氏側の主張を真っ向否定している。現時点で真偽のほどははっきりしないが、Kotick氏は裁判所に対し本訴訟の棄却を請求し、またSjunde AP-Fondenによる訴訟手続きの濫用を認定することなども求めている。

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Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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