「ゲームの実績を低難易度でアンロックさせてほしい」との意見に議論巻き起こる。高難易度ゆえに価値があるor自分の遊び方で取りたい


近年のゲームには数多く実装されている「実績」機能。その内容はゲームの進捗状況を示すものだけでなく、やりこみや収集要素のコンプリート、そして特殊な条件を満たすことによって解除されるものもある。そんな実績機能について、SNS上で議論が巻き起こっているようだ。

ゲームにおける実績は、XboxやSteamにおける「実績」、PlayStationにおける「トロフィー」といったかたちで各プラットフォームに実績機能が実装されており、一種の収集要素として作用しているといえる。これらは基本的に、クエストやタスクといったゲームシステムとは異なり、ゲーム内に直接変化をおよぼすものではない。とはいえ、なかには熱心にトロフィー収集にいそしむ「Trophy Hunter」と呼ばれるプレイヤーも存在しており、トロフィーを獲得していること自体が「やりこみゲーマー」としてのステータスを表すこともある。


そんな実績について、とある新作ゲームにて低難易度で獲得できる実績に“大きな制限”がかけられているとする投稿が話題となっている。その投稿はOleManLogan氏による、『Flintlock: The Siege of Dawn』(以下、Flintlock)の実績についてのもの。OleManLogan氏は、『Flintlock』をプレイしクリアしたものの、それが「ストーリーモード」、つまり用意された中で一番簡単な難易度だったために実績機能に制限がかけられていたと報告。そして同氏は、ストーリーを楽しむためにより簡単な難易度を選んでいるとはいえ、すべての実績やトロフィー機能に制限をかけないでほしい、と本作公式Xアカウントに向けて意見も述べている。

『Flintlock』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに7月18日に発売されたソウルライトRPGだ。プレイヤーは主人公ノルを操作し、熾烈な攻撃をおこなう神々に対し、斧や銃を駆使して立ち向かうこととなる。コンボ攻撃をおこない獲得したスコアで武器を獲得したり、経験値を消費してキャラクターを成長させるといった要素も存在している。本作には、収集要素や成長要素のコンプリートによる実績が実装されている。ほかにも、特定の条件を満たすことで達成される実績もいくつか設定されている。


本作の実績をSteam上で確認してみると、カフェで銃を撃つ「エスプレッソショット」や、丘を5秒間滑り降りる「ランド・サーファー」といったものがある。これらは特定の条件を満たすだけのものであり、ゲームプレイの腕前は関係しない実績だろう。上述OleManLogan氏の意見は、そうしたいわゆる「隠し要素」のように設定された実績さえも、ストーリーモードで取れないようになっていることへの不満のようだ。

とはいえ、同氏の意見に異を唱える反応も見られる。文字通りストーリーを楽しむためのモードなのだから、収集要素である実績が解除されなくても問題ないという見方だ。実績は「挑戦に対する報酬」という捉え方もあるのだろう。

難易度ごとに獲得できる実績に違いがあるどうかは、各タイトルによって違う。高難易度でゲームをクリアすることで獲得できる実績のほか、たとえば『TEVI』や『仁王』などでは、実績のいくつかは特定難易度での条件達成により解除される。つまり難易度により獲得できるトロフィーに制限が設けられていても「難易度を条件としたトロフィー」を別に存在しているゲームが多い傾向もあるということだ。そのため低難易度ではすべての実績獲得が制限される『Flintlock: The Siege of Dawn』の仕様の珍しさに賛否が寄せられているのかもしれない。


ちなみに、過去には逆に「実績が取りやすい」ことに批判が生じた例もある。シューティングゲーム『Whisker Squadron: Survivor』では、アクセシビリティ機能の導入により結果的に特定の実績取得率が上がり、実績の希少性が下がったといった不満の声が一部から寄せられる一幕もあった(関連記事)。実績はゲームをプレイするだけでなく、やりこみの動機にもなりうる。獲得率の低さに希少性があるという考えもあるわけだ。

近年ではPC・コンソール問わず幅広いゲームの基本機能として設けられている「実績・トロフィー」機能。先述の『Whisker Squadron: Survivor』のように、近年ではアクセシビリティ拡充の一環として幅広いユーザーが実績を取りやすくする方針をとるゲームも見られる。そうした傾向もある一方で、『Flintlock』では低難易度で取れる実績に大きな制限が設けられていることが賛否を分けているかたちだ。ゲームに設けられた実績にも、開発者それぞれがどのように遊んでほしいかが反映されているのだろう。一方でプレイヤーのゲームへの取り組み方もさまざまであり、バランスをとるのが難しい問題といえるかもしれない。