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Steamのゲーム価格、メーカーによってどれだけ違う?筑波大の研究で“大手ほど独自路線”“インド・ブラジルは高め路線”など「値付けの4タイプ」くっきり
筑波大学の研究によると、Steamにおける販売元の価格設定については、4つの特徴的なパターンが存在するという。

Steamでは、ゲームを販売するメーカー向けに価格換算ツールが提供されており、米ドルでの価格を設定すれば、ほかの国・地域の通貨には“推奨価格”が自動的に適用される。ただ、販売元自ら各通貨での価格を個別に設定することも可能だ。
そんなSteamにおける販売元の価格設定については、4つの特徴的なパターンが存在するという。筑波大学の吉田光男准教授と村上智洋氏が今年8月27日に研究結果を発表している。

世界中の国・地域で利用できるSteamは、約40の通貨での販売をサポートしており、各通貨の価格を設定するメーカーの手間を省くために価格換算ツールが用意され、先述したように推奨価格を自動適用できる仕組みになっている。推奨価格は、単に為替レートで換算しただけの数字ではなく、それぞれの国・地域における購買力平価や消費者物価指数などの指標も参考に決定されている。ただし、推奨価格を使用せず、メーカー独自の値付けをおこなうことも自由だ。
今回の筑波大学の研究では、まず背景として、国や地域によって購買⼒、通貨、税制、規制、決済環境などが異なるため、Steamのようなデジタルプラットフォームでは、同じ商品でも地域ごとに価格を変える「地域別価格」が広く⽤いられていると指摘。一方で、地域間の価格差が⼤きくなると、価格の安い地域から購⼊しようとする越境的な価格差利⽤の動機が⽣じる可能性がある。そこで販売元企業が、Steamの推奨価格にどの程度沿っているのかを調べたそうだ。

研究では、Steamで2023年8〜9月に収集した価格データを用い、ブラジル・中国・フランス・英国・インド・日本・韓国・米国の8市場について、実際の販売価格がSteamの推奨価格に対してどのように設定されているかを分析したとのこと。ちなみに当時は、『バルダーズ・ゲート3』や『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』『Starfield』などが発売された時期にあたる。価格データは、268社7375タイトルのもので、パブリッシャーごとの価格設定の傾向を安定して捉えるためとして、10タイトル以上を販売しているパブリッシャーに限定されている。
分析では、まず⽶国以外の各市場について、実際の販売価格をSteamの推奨価格で割った価格⽐率を算出。100%の場合は、実際の価格と推奨価格が⼀致することを意味する。すると、フランス、英国、⽇本、韓国では平均的な価格が⽐較的推奨価格に近く、パブリッシャーごとに見たタイトル間の価格⽐率のばらつきも⼩さい傾向が⾒られたという。
⼀⽅で、新興市場では国による違いが⼤きく、中国は平均約111%と平均的な価格⽔準は⽐較的推奨価格に近いが、ばらつきは上記市場よりやや⼤きい結果に。またブラジルでは約128%、インドでは約130%となり、推奨価格を上回る傾向が特に強く、ばらつきも⼤きいことが分かったそうだ。

次に、8市場における価格⽔準の平均やばらつき、中央値、最⼤値・最⼩値などの特徴をパブリッシャーごとに算出し、階層クラスタリングという⼿法を⽤いて、価格設定の似たパブリッシャーを分類。その結果、268社の価格設定は4つの特徴的なパターンに分類されたという。
⼀つ⽬のパターンは、各市場でSteamの推奨価格に近い価格を設定し、市場間のばらつきも⼩さい「ベンチマーク追随型」。⼆つ⽬は、推奨価格から⼩幅に調整しながら、市場間のばらつきは⽐較的⼩さい「調整型」だ。三つ⽬は、特にブラジルやインドで推奨価格を上回る傾向を⽰す「新興市場プレミアム型」で、四つ⽬は市場間やタイトル間で価格設定のばらつきが⼤きい「⾼分散ポートフォリオ型」である。
また、世界的に規模の⼤きいゲーム企業との系列・関連が確認された19パブリッシャーについて各パターンへの所属状況を調べたところ、「⾼分散ポートフォリオ型」では29社中11社(37.9%)が該当。ほかのパターンは1〜4社となっており、大きな企業ほど独自の価格調整を広範におこなっている傾向がうかがえる。ただし今回の研究では、企業規模との実際の因果関係までは確認されていない。

こうした分析結果から、デジタルプラットフォーム上の国際価格設定は、プラットフォームの推奨価格を⼀律に採⽤するものでも、各企業が完全に独⽴して地域別価格を設定するものでもなく、共通の価格基準を利⽤しながら企業ごとに異なる形で調整されていることが明らかになったと結論づけられている。
なお、Steamでは今年3月に価格換算ツールがアップデートされ、価格換算データの更新と、新しい換算方法の追加が実施されている(関連記事)。今回分析対象となった2023年8~9月当時の推奨価格は、アップデート前のものであることを留意しておきたい。
また今回の研究では、通常時の販売価格が分析されており、各価格設定パターンが販売実績などとどのように関連するかは未検証。今後は、販売実績やほかのデジタルプラットフォームのデータも含めた分析を進め、国際的なデジタル価格設定の仕組みをさらに明らかにしていく予定とのことである。
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