NASA「アルテミス計画」のリアルタイムビューワーはUnity製。“ゲームデザイン専攻”の元インターン生が作っていた

Unityで制作されたこのツールは、もともとゲームデザインを学んでいた元インターン生が作ったという。

NASAは有人月ミッション「アルテミスII」の実施に先駆けて、インタラクティブアプリ「Artemis Real-time Orbit Website(AROW)」の同ミッション向けのページを公開。Unityで制作されたこのツールは、もともとゲームデザインを学んでいた元インターン生が作ったという。

「アルテミスII」は、アポロ計画以来約半世紀ぶりとなるNASAの有人月ミッションだ。今回のミッションでは、月でのフライバイに挑戦することとなっており、将来的には有人での月面探査や、火星探査なども見据えている。

Image Credit: NASA

ミッションを遂行するのは、有人宇宙船「Orion」に搭乗した4人のクルー。Orionは日本時間4月2日7時35分に、ケネディ宇宙センターより発射されたロケット「SLS」により打ち上げに成功した。本日4月6日の13時41分には月の重力圏に入ったとされ、明日4月7日未明2時にはアポロ13号により打ち立てられた人類の最遠飛行記録を更新する見込みだ。

そんなアルテミスIIについて、NASAは今年3月にAROWを公開。AROWは、Orionの軌道や位置、速度などをリアルタイムかつインタラクティブに追跡することが可能なビューワーだ。Web版とアプリ版が用意されており、アプリ版ではAR機能も搭載。ユーザーの現在の位置から見て、Orionがどこに位置しているかを確認することができる。なおこれらのデータは、Orionに搭載されているセンサーが収集し、NASAジョンソン宇宙センターのミッションコントロールセンターに送信されているデータだという。

このAROWだが、起動時のローディング画面にゲームエンジンであるUnityのロゴが登場することからもわかるように、実はUnityで制作されている。2022年の「アルテミスI」ミッションにおいてもAROWは公開されており、その際には、Unityの公式ブログが採用事例として紹介している。

AROWを作成したのは、NASAのインターンだったSeth Lambert氏だ。先述したUnityの公式ブログやLambert氏の母校であるFinger Lakes Community Collegeの紹介によれば、学部時代にゲームデザインを学んでいた同氏は100件以上のインターンで不採用となっていた一方で、NASAのジョンソン宇宙センターで8か月のインターンに参加することに成功。その後フルタイム雇用されて、AROWを手がけるなどアルテミス計画に携わっているそうだ。

Unityをはじめとする汎用ゲームエンジンは、ゲーム開発だけでなく、近年では建築やアートなどさまざまな分野で活用されている。AROWのようなインタラクティブツールもそうした例の一つといえるが、もともとゲームデザインを学んでいた人物がこれを手がけたというのは興味深い。

ところでNASAによれば、「アルテミスII」のミッション終了後には、AROWで公開されていたものよりも詳細な飛行データが公開予定。ユーザーは独自のソフトウェアなどに組み込むなど、自由に利用することができるそうだ。冷戦下にあったアポロ計画当時とは異なり、インターネットが発達し情報を誰もが広く利用できるようになった現代では、宇宙開発もよりオープンなものへと変わっているようだ。

「AROW」はNASAの公式サイトまたは公式アプリ(iOS/Android)から無料で利用可能だ。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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