Valve、“『Counter-Strike』などのガチャは違法賭博”だとする集団訴訟をまたも提起される。ニューヨークに続きワシントンでも

Hagens Berman法律事務所は現地時間3月9日、Steamを運営するValve社に対する集団訴訟を起こしたことを発表した。

アメリカのHagens Berman法律事務所は現地時間3月9日、消費者を代表してSteamを運営するValve社に対する集団訴訟を起こしたと発表した。Valveのゲームにおけるルートボックスは賭博行為に該当するという主張に基づき、損害賠償金と、違法な賭博に当たる行為の差し止めなどを求めている。

ValveはゲームプラットフォームSteamを運営するほか、現在『Dota 2』『Team Fortress 2』『Counter-Strike 2』など複数の基本プレイ無料ゲームの開発・運営をおこなっている。これらのゲームでは、有償の「キー」を購入してルートボックスを開封、アイテムなどが獲得できるといういわゆる「ガチャ」に近いシステムが存在。特に『Counter-Strike』シリーズでは希少なアイテムが高額で取引されていることでも知られている(関連記事)。

Valveは2月25日にも、運営するゲームにおけるルートボックスが賭博行為に当たるという主張でニューヨーク州から訴訟を提起されたばかりだ(関連記事)。今回の集団訴訟でも主張の内容は似通っており、同社が子供を含む消費者から金銭を搾取するため、カジノと同様の心理戦術を用いたルートボックスの収益システムを故意に設計したと主張されている。

また、今回の訴訟が提起されたのは米国ワシントン州西部地区連邦地方裁判所。ワシントン州にはValve本社が籍を置いているが、同州では州法で認可されていない賭博行為が禁止されている。訴訟においては、ワシントン州で事業を行うValveが運営するゲームにおけるルートボックスが、実質的に州内でギャンブルを運営していることに当たるのかも争点となるようだ。

今回の訴訟で原告側代理人となるHagens Bermanは「自分の支配または影響の及ばない、偶然の勝負や将来の不確定な出来事の結果に対し、価値のあるものを賭けたり危険に晒したりする行為」という州法におけるギャンブルの定義が、Valve社の運営するゲームのルートボックスにも当てはまるとの主張を述べている。Valveの本社はワシントン州に所在しており、Steamの利用規約でも、利用者とValveとの関係から生じる紛争や請求については、ワシントン州法に準拠することが明記されている。

原告は、ルートボックスには「予測できないタイミングで報酬を与えるという、プレイヤーに支出を続けさせる手法」、および「実際のスロットマシンと似た演出」を採用していると説明。また「プレイヤーに興奮を与える視覚・音響効果」や「もう少しで当たりそうだったという錯覚を与えるニアミスの演出」があり、これらを24時間利用できる環境が用意されているとしている。こうした点から、カジノゲームに利用されているのと同じ心理的手法が取り入れられていると主張されている。また、12歳までにギャンブルに触れた子供は、ギャンブルに関する問題が4倍発生しやすくなるという統計報告を例に挙げ、特にプレイヤー層の多くを占める子供や青少年に悪影響を与えうると強調している。

また原告は、これらルートボックスで得られる仮想アイテムはゲーム内アイテムにとどまらず、実質的に金銭的価値を持ち、これがValveの意図的な設計によるものだとも主張されている。というのも『Counter-Strike』シリーズをはじめとするValve作品の装飾アイテムはSteamウォレット残高で取引できるSteamコミュニティマーケットにて取引が可能。アイテムは通常、キーの価格を下回る数セント程度の価値しかない一方で、数百、数千ドルの価値がある希少なアイテムも存在する。Steamウォレット残高はゲームなどの購入に用いることができるだけでなくSteam Deckなどの物品と交換も可能であり、転売により換金が可能と言える。

さらにValveはプラットフォーム外での仮想アイテムの取引を禁止しているが、実際には現金で取引しているサードパーティのマーケットプレイスが存在。そうした点から、装飾アイテムを容易に現金化可能な環境が整っているといえる。これらのサイトが規約の執行対象外になっており、同社が取引を認識したうえで黙認しているとの見方も述べられている。

なお原告は、Valveが『Counter-Strike』シリーズだけでも数十億ドル相当のルートボックスキーを販売していると推定。加えてマーケットプレイスでの15%の販売手数料でも利益を得ており、Valveは“ルートボックスというギャンブル要素”を軸にした綿密な収益モデルを設計しているという主張が展開されている。

そうした点から原告はValveに対し、違法賭博にあたる事業の運営停止を求めたほか、不当に受け取った利益の返還などを要求。さらには裁判中に確定された損害賠償を求めており、消費者保護法に基づき適切な場合には3倍額の支払いを要求している。

先述のとおり、Valveは2月25日にもニューヨーク州から類似の内容で提訴されたばかりだが、今回はその判決を待たずに早くも追随する訴訟が提起されたかたちだ。訴訟の行方に加えて、今後さらに別の州や地域で類似の訴訟が発生するかどうかも注目される。

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Hiroyuki Furukawa
Hiroyuki Furukawa

好きなゲームがマイナーと言われると喜ぶ天邪鬼なゲーマー。アーケードゲームも嗜み、ゲームセンターにもひっそりと出没する。

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