「生成AIはゲーム業界に悪影響とする業界関係者が52%」との調査レポート。AIへの風当たり強まる一方、日常業務では活用も
ゲーム業界の調査レポート「2026 STATE OF THE GAME INDUSTRY」にて生成AIに否定的な意見が昨年と比べて急増している。

世界的なゲーム開発者会議Game Developers Conference(GDC)を運営するInforma Techは1月29日、ゲーム業界の調査レポート「2026 STATE OF THE GAME INDUSTRY」を公開した。ゲーム業界関係者に広くアンケート調査した結果に基づいており、中でも生成AIに対してはゲーム業界に悪影響をもたらしているとする回答が52%と、昨年と比べて否定的な意見が急増している。
GDCは、1988年から毎年開催されているゲーム開発者の国際会議である。運営元はこれまでゲーム業界の年間調査として「State of the Game Industry」というレポートを作成してきた。今回の第14回目となる調査では、ゲーム業界関係者2300人以上に向けアンケート調査が実施された。許容誤差は±3%となる。
調査対象としてはゲーム開発者だけでなく、マーケティング担当、経営幹部、投資家なども含む、ゲーム業界全体を俯瞰するものとなっている。調査内容はレイオフ、生成AI、ゲームエンジンやプラットフォーム、予算や収益、労働時間や労働環境についてなど、多岐にわたる。今回は生成AIに関する調査回答に着目して、2025年までのアンケート結果と比較しつつ、ゲーム業界内で生成AIの使用状況や認識がどのように変化しているかを見ていきたい。

もっとも顕著な変化が表れたのは、ゲーム業界内での生成AIへの印象である。「生成AIがゲーム業界にどのような影響を与えていると思うか」という問いに対して、2026年の調査では過半数の52%が否定的な意見を示した。良い影響があるとする肯定的回答はわずか7%にとどまり、業界内では生成AIに対して厳しい視線が注がれている状況が見受けられる。なお2024年の調査では肯定21%、否定18%と、やや肯定的意見が多かったものの僅差であった。続く2025年の調査では肯定13%、否定30%と風向きが変わっていた。2026年にはさらに否定的意見が増加したことがうかがえる。
生成AIに対して否定的意見が特に多いのはアーティスト(64%)、ゲームデザインおよびシナリオ(63%)、プログラマー(59%)など。実際にゲームを作る立場にある役職ほど、生成AIがゲーム業界に悪影響を及ぼしていると考える傾向にあるようだ。懸念の内容としては、生成AIの学習に使われるデータの調達先の問題や、エネルギー消費の問題、仕事を奪うリスクなどが挙げられている。

いっぽうで、業務で生成AIを使っているかどうかという問いに対しては、36%が使っていると回答。この質問は2025年も36%であり、横ばいの状況だ。所属している企業での生成AI使用ポリシーについては、特定のツールのみ許可されているケースが2026年には22%となっており、2025年の4%に比べて急増した。生成AI利用そのものを禁止しているケースは2026年も前年と同じく16%となっており、一定の企業が依然として禁止の状態を保っている。ポリシーが定められていない企業は2026年には15%となっており、2025年の24%からは減少。使用できるツールを絞り込んだり、ポリシーを制定したりすることで各企業が生成AIに対してのスタンスを明確にしてきているようだ。
生成AIの用途については「調査・アイデア出し」が81%でもっとも多く、「メール作成・スケジューリングなどの日常業務」47%、「コードアシスタント」47%、「プロトタイピング」35%と続く。「アセット生成」は19%、「プロシージャル生成」は10%と、ゲーム開発自体への使用は比較的少ない傾向にある。あくまでも生成AIは業務の補助ツールとして使われることが多いようだ。
使用されているAIについてもその傾向が反映されており、対話型のChatGPTが74%ともっとも多く、Google Geminiが37%、Microsoft Copilotが22%と続く。画像を生成するAIとしてはMidjourneyが17%、Adobe Generative Fillが13%など比較的少ないが、業界全体が調査対象となっており、開発者以外も回答していることにも留意したい。

生成AIは学習データの権利問題に関する議論も絶えず、法整備も追いついていないのが現状だ。特にゲーム会社が開発に生成AIを用いる点について、海外ユーザー間では大きな反発を招く事例も見受けられる。そんな中、今回の調査結果からは、生成AIはゲーム開発に対しては良い影響を与えていないという認識が業界人の間でも広まりつつあることが示されている。いっぽうでゲーム業界内でも、周辺業務の補助ツールとしてはある程度活用されている傾向もうかがえる。
なお昨年11月にはSteamにおいて生成AIを開発あるいはマーケティング等に使用している作品が1万本以上あるとの独自調査結果も報告されていた(関連記事)。Valveも開発作業の効率化のために用いるAIツールについては、ストアページ上での開示を求めないことを明示するなど(関連記事)、業界内でAIの活用が一定の浸透を見せていることも垣間見える。各々がどんなスタンスを取るにせよ、これからも生成AIとのうまい付き合い方の模索が続けられていくことだろう。
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