「2024年のゲーム業界の人員削減は、昨年より激しい」との調査分析結果。今年はまだ半分なのに失職者数は前年の合計超える
近年、欧米を中心としたゲーム企業による人員削減が加速している。2023年全体では、100件を越えるレイオフで1万人以上のスタッフが職を失ったとされた。さらに、今年2024年も引き続き人員削減の流れは激しさを増しており、すでに昨年を上回る1万800人のスタッフがレイオフを受けたとの調査結果が出ている。海外メディアVentureBeatのゲーム部門GamesBeatが伝えている。
今回伝えられたのは、有志によるゲーム業界のレイオフ情報データベース「Game Industry Layoffs」のデータを元にした分析だ。同サイトでは、2022年から現在までの、さまざまな規模のゲーム企業によるレイオフやスタジオ閉鎖の情報を集積している。
同サイトによれば、2022年にゲーム業界での職を失ったスタッフは、全体で約8500人に及ぶと試算されている。さらに、2023年には人員削減がさらに拡大傾向に(関連記事)。Amazon Games、Unity Technologies、Epic Gamesといった大手による大規模レイオフも目立ち、最終的には約1万500人が職を失った試算となっている。同年には、ゲーム業界で働く人々を中心に、こうした人員削減続きの傾向や企業姿勢を危惧・批判する声も徐々に高まっていった。
しかしながら、今年2024年はさらなる人員削減の波が、欧米を中心としたゲーム業界に訪れているようだ。まだ今年も折り返し直前である6月17日現在で、すでにレイオフを受けた人材は約1万800人となる試算だという。すなわち、業界における人員削減の傾向は緩和されるどころか、昨年のおよそ2倍のペースで進んでいると見られる。前年に続いてのUnity Technologiesの大規模レイオフや、Activision Blizzard、TakeTwo Interactive、Electronic Arts、PlayStation Studiosといった大手による人員削減も業界に衝撃を与えた。
GamesBeatの記事においては、起業家のMatthew Ball氏による分析を紹介。コロナ禍では拡大していたゲーム消費の冷え込みや、金利上昇、ビジネスモデルの変化などさまざまな理由が数多く複雑に絡み合い、現在の傾向を生み出していると分析されている。
また、職を失った人々の、ゲーム業界における再就職も課題となっているようだ。Tencent Gamesにてビジネス開発ディレクターを務めているAmir Satvat氏は、ゲーム業界の失職者が新たな職を見つけるサポート活動もおこなっている。同氏の試算によれば、現在ゲーム企業におけるひとつのポストには、およそ508件の応募が届く状況だという。
そして、職を失った人がゲーム業界で再就職できる可能性はおよそ5.4%だとのこと。こうした中でゲーム業界の職を失った者は、低い確率に賭け続けるか、別の業種を探すしかなくなる状況があるようだ(Satvat氏のLinkedIn投稿)。今後もゲーム業界の人員削減傾向は続くだろうか。また、失職者を助ける動きも活発化していくだろか。