大型ゲームイベントSummer Game Festで「1分のトレイラー流すのに約4000万円必要」との報道。2分半なら約8500万円

 

大型ゲームイベント「Summer Game Fest」が、日本時間6月8日午前6時から開始予定。同イベントにおいては1分間のトレイラーを流すために25万ドル(約3900万円)もの費用が必要になるという。海外メディアEsquireおよびKotakuが報じている。

「Summer Game Fest」は、ゲームジャーナリストのGeoff Keighley氏が主催となって毎年夏に開催している、大規模なゲームの発表イベントだ。新型コロナの影響でE3やGamescomが中止されるなか、オンライン配信型のゲームイベントとして2020年にはじめて開催。2023年にはアメリカ・ロサンゼルスにあるYouTubeシアターにてオフラインイベントとしても開催された。4回目の開催となる「Summer Game Fest 2024」も昨年同様YouTubeシアターで開催される予定で、オンライン・オフライン双方でのイベントや発表がさまざまおこなわれる予定となっている。


「Summer Game Fest 2024」において紹介されるために必要な費用について海外メディアEsquireKotakuが報じ、話題となっている。両誌が伝えるところによると、「Summer Game Fest 2024」のメインとなるショーでトレイラーを流すためにかかる費用は1分で25万ドル(約3900万円)。そこから30秒長くなるごとに10万ドル(約1500万円)ずつ増加し、2分半のトレイラーでは55万ドル(約8500万円)の費用が必要だそうだ。Esquireによれば、昨年のSummer Game Festでもトレイラーの枠は同じ価格帯で提供されていたという。なお弊誌でも、こうした価格感であることは確認ができている。

Summer Game FestはThe Game Awardsと同様に集客力の高いオンラインイベントになっており、YouTubeのライブ配信だけでも同時接続者数は10万を優に上回り、視聴回数としては359万回におよぶ。2023年6月のライブ配信イベントの中ではXbox Games Showcaseに次ぐ視聴者数だったそうだ(Statista)。大型タイトルも続々と発表されるイベントであるだけに注目度が高く、それゆえにこうした価格が設定されているのだろう。

一方でKotakuによると、同イベントではトレイラーを無償で流してもらえる枠となる“earned editorial placements”も用意されているとのこと。この枠の少なくとも一部は、小規模開発や大規模開発ではないゲームやスタジオに向けて提供されているという。


ゲームのショーケースイベントにおけるトレイラー放映にかかる費用が公表される例は少ない。一方で、たとえばゲームイベントGamescomでは2022年に、オープニングライブである「Opening Night Live」にてトレイラーを放映するための費用が公開。イベントのパートナー費用という名目で、30秒で8万5000ユーロ(約1400万円)が必要となり、30秒増えるごとに4万ユーロ(約680万円)ずつ増加。90秒で16万5000ユーロ(約2800万円・いずれも現在のレート)という価格設定であったとされる(PC Gamer)。「Summer Game Fest」では同イベントと比較して、倍以上の価格設定がおこなわれているといえそうだ。ちなみに「Opening Night Live」もGeoff氏主催のライブ配信であった。

「Opening Night Live」の価格についての当時のPC Gamerの報道では、Gamescom側は詳細な回答を控えたものの、番組で紹介されるゲームの大半は無償での紹介であると説明されたことが伝えられていた。ちなみにPC Gamerもショーケースイベント「PC Gaming Show」を主催。同イベントも少なくとも2022年時点では大半は無償での特集紹介であり、一部有償のスポンサーからの出展がある形式だったという。

いずれにせよ、「Summer Game Fest 2024」では基本的にトレイラーを紹介してもらうためには結構な費用が必要となるようだ。またこうしたオファー額や放映確度はタイトルやメーカーによって変化する側面もあり、少なくともこの枠を確保するのはなかなか難易度が高いようである。

最近では各メーカーが独自にオンラインイベントを開催したり、インディーゲーム専門のショーケースイベント「The Triple-i Initiative」が発足したりといった状況もみられる。「Summer Game Fest」では、広告予算の大きい注目の大型タイトルの紹介を主眼に置く狙いもあるのだろう。

昨年には大型ゲームイベント「E3」が開催中止され、イベントそのものが幕を閉じることが発表された(関連記事)。“競合相手”といえる夏の大型ゲームイベントがなくなったことも、「Summer Game Fest」のブランディングや価格設定に繋がっているのかもしれない。