Activision、『CoD』などの大手チートツール業者に勝訴。チート業者は約23億円の損害賠償支払いへ
Activisionがチートツール開発・販売業者のEngineOwningおよびその関係者に対して提起していた訴訟について、欠席判決によりActivision側の勝訴となったことが明らかになった。EngineOwning側には、合計約1474万ドル(約23億円)の損害賠償請求がおこなわれるという。
EngineOwningは、ドイツに拠点を置くチートツール開発・販売業者だ。同社のチートツールは、いわゆるオートエイムや、相手プレイヤーの位置を表示するウォールハックといった機能を搭載するとされる。『Call of Duty』シリーズや『Overwatch』シリーズ、『Battlefield』シリーズなど複数のタイトルに対応するチートツールとして、不正なプレイに使用されてきた経緯がある。
Activisionは2022年1月、EngineOwningおよび関係者に対して訴訟を提起。チートツールがコンテンツ保護プログラムを回避したとするDMCA(デジタルミレニアム著作権法)侵害や、市場における不正競争を招いたことなどから、損害賠償請求およびチートツールの開発・販売の差止命令を求めていた。さらに同年9月には、コンピューター詐欺・濫用防止法に基づく請求と、組織的犯罪に対する制裁の要求が追加されていた。
その後Activisionは、関係者2名と和解金合計300万ドル(約4億7000万円・現在のレート)などを条件に合意(TorrentFreak)。一方でEngineOwning側との係争は続けられていたようだ。今回、『CoD』シリーズの情報メディアCharlie INTELのXアカウントは裁判資料とみられる文書とともに、訴訟はEngineOwning側の欠席判決となったことを報告した。
判決においてはActivision側の訴えが認められ損害賠償約1445万ドル(約22億円)、および弁護士費用約29万ドル(約4500万円)がEngineOwning側に請求されるという。文書によると、米国ではチートツールが約7万2000回ものダウンロード数を記録していたといい、損害賠償額はDMCAに基づきダウンロード1回につき200ドルとして計算されているとのこと。さらに差止命令についても認められ、EngineOwning側はActivisionに対してチートツール販売に用いられていたWebサイトの引き渡しが求められるとのこと。
ちなみに先日には、『Destiny 2』などを手がけるBungieが、チートツール販売業者および開発業者を相手取る訴訟にて勝利をおさめたことが明らかになっていた(関連記事)。オンラインゲームを運営する各社はチート事業者に対して毅然とした対応をとっており、訴訟もしばしば提起されている。そうした対応が実を結んだ事例がBungieに引き続き報じられたかたちだ。
なお今回Activisionが訴訟を提起したEngineOwningは先述のとおりドイツに拠点を置く企業だ。Activisionはアメリカでの裁判以前にドイツ側でも訴訟を提起しており、ドイツでの裁判が継続していたことを理由に今回の裁判においてはEngineOwning側から取り下げが要求されたこともあった(関連記事)。結果として取り下げ要求は通らず、そのまま欠席判決によりEngineOwning側の敗訴に至ったものの、EngineOwning側で判決を受けた対応が速やかにとられるかどうかは注目されるところだろう。