Wii U向けゲーム『XenobladeX(ゼノブレイドクロス)』にて、今年4月に新たなRTA(スピードラン)世界記録が樹立。その直後のオンラインプレイサービス終了により、同記録は「永遠に打ち破れない世界記録」となっていた。この記録についてとある国内プレイヤーがSNS上で伝え、現在改めて話題となっている。
『ゼノブレイドクロス』は、モノリスソフトが手がけ、任天堂からWii U向けに2015年にリリースされたオープンワールドRPGだ。本作では、地球が異星文明間の争いに巻き込まれ、逃れた地球人たちは惑星ミラへと不時着する。プレイヤーはアバターとして自分のキャラを作成し、地球人のひとりとして、惑星ミラの調査を進めていくことになる。
本作はネットを利用した「ゆるくつながる」オンライン要素を盛り込んでいる。ほかプレイヤーのアバターを「スカウト」して仲間に引き入れたり、同時協力プレイで敵を倒したりといったプレイが可能。プレイヤーが集まる部隊「スコード」への参加や、バトルで獲得した装備品をスコードメンバーと受け渡しする「トレジャーディール」といったシステムもある。しかし、同オンライン要素は、任天堂による今年4月9日のWii U/ニンテンドー3DS向けオンラインサービス終了に伴い利用できなくなった。
そんな本作において、オンラインサービス終了のわずか2日前となる4月7日に、RTA世界記録が樹立されていた。カテゴリーは、本作をオンラインに接続し、達成度問わず最速でのゲームクリアを目指す「Any% Online」。同カテゴリーにて2時間56分46秒の世界記録を達成したのは、国内走者のYMG-C(やまぎし)氏だ。集計サイトSpeedrun.comによれば、この記録はYMG-C氏による自己ベスト更新となっている。なお、同カテゴリー2位は同じく日本人走者であるBlue氏が名を連ねている。
前述のとおり、本作『ゼノブレイドクロス』を含むWii U/ニンテンドー3DS作品のオンラインプレイは4月9日をもってサービス終了されている。すなわち、Wii Uによるオンラインプレイが必要な本作Any% Onlineカテゴリーの世界記録は、実質更新不可能に。もしもサービス再開といったことがない限り、“永遠に打ち破れない記録”となったわけだ。
この記録について5月21日、本作プレイヤーのゼノブレイドオモロイド氏がX(旧Twitter)上にて紹介。後にGamesRadar+といった海外メディアに取り上げられる話題となった。
この世界記録は走者のYMG-C氏のほか、複数の協力者の存在があって達成できた記録となっている。というのも、同カテゴリではオンライン要素によるほかプレイヤーの協力を得ることが可能。世界記録となったランでも、YMG-C氏がスカウトを利用したり、ディールで装備を入手している様子がわかる。
同ランにおいては、7人のプレイヤーが協力者としてクレジットされている。その中には、上述のゼノブレイドオモロイド氏のほか、世界2位の記録を保持するBlue氏の名前もある。本作に思い入れのあるプレイヤーたちが一丸となって、終焉を間もなく迎えようとするオンラインの『ゼノブレイドクロス』にて記録を樹立したかたちなのだろう。
なお、Wii U/ニンテンドー3DS作品のオンラインサービス終了にあたっては、ほかにもオンライン要素の終了を惜しむプレイヤーの活動が見られる。たとえば、ニンテンドー 3DS向けタイトル『ポケットモンスター X・Y』のオンライン要素に、サービス終了後も約1か月間居残り続けるプレイヤーなどがいた(関連記事)。
そして、現在も数名のプレイヤーたちが『マリオカート7』や『スプラトゥーン』といったWii U/ニンテンドー3DS作品でオンライン上に残留している様子だ。また、今回の記録に携わったゼノブレイドオモロイド氏も、4月9日のサービス終了から5月21日までの長きにわたって『ゼノブレイドクロス』オンライン上に残り続けていた。Wii U/ニンテンドー3DS作品のオンラインサービス終了は喪失の侘しさとともに、プレイヤーたちのゲーム愛も浮き彫りにしている。